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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
世界危機

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ダイダロを追って

急いで祠へ戻ってきたおれ達だが、獣人領に来た時にはいなかった獣人達が祠の前にいた。


「人、人、ガキ。奴隷候補筆頭だな。 獣人が奴隷にされる時代は終わった‼ これからは人族が虐げられる時代だ。」


犬のような猫みたいなどっちか分からない獣人が数人いて、そのうちの1人が力強く声を上げた。69の2人は不思議そうに目を見合わせる。


「正規の手段を取っていれば、契約の時に奴隷の身の保証がされているし、人が人に売るのは違法だから、基本は魔人アーゴンでしか取り扱ってないはずだぞ。」


それを聞いた別の獣人が激怒した。


「人族が連れて行った仲間たちは一人もかえって来ない。それに戦闘能力の低い種族を狙って、言葉で騙したり、変な道具で強制的に連れて行ったりしたくせに、なにを保証してるって言ってるんだ!」


69の2人からは驚きと憂いのある表情を浮かべていた。


「ダイダロという人間が言っていた。これから世界が変わる、と。おれ達の時代が来るんだ、と」


「この腕輪に誓って、お前たちをここから先には通さない。」


獣人達はいかにも怪しそうな腕輪を押さえながらこちらを睨んでくる。

(100%ダイダロに騙されてんじゃん)

思わず口に出そうなのをこらえた。


「あの腕輪、なんか嫌な予感するから気を付けて。命を取らずに戦闘不能にしてね。できなければ無理に攻撃しなくていいから」


おれはアロンソンとナサニエルにお願いをして魔法の準備を始めた。

リックを召喚して、獣人達を土魔法で囲んでもらう。

その外側に、魔法の氷の壁カードと風魔法カードを投げて、展開準備をする。土壁が壊された時の保険だ。

前アロンソンと戦った時には、マチカの水魔法と風魔法カードで氷の牢獄を作ったのだが、メリアスに意味が分からないと言われ、氷魔法をいくつかもらった。


コンコンと壁を叩く音が聞こえるが、壊れそうな気配がないので祠へ進む。

そして、祠までもう少しの所で岩が飛んできた。

振り返ると先ほどの獣人達のように見えるが、目つきが鋭くなっており、着ていた服が破けるほどに筋肉が膨らんでいた。

よく見ると先ほどの見るからに怪しかった腕輪が赤く光っているように見えた。


「典型的なやつだな。2人ともあの腕輪の破壊を第一優先でお願い。できるよね?」


おれはアステリオを召喚して69の2人にまた指示を出す。

この人族2人はすごく優しい。おれを魔王と知っている上で、指示通り協力してくれている。

おれも刀を抜いて作業に入る。リックの土魔法で拘束してもらって腕輪を破壊。

アステリオが締め技を使って動きを封じているときに破壊。

アステリオに破壊そのものを頼むことは難しかった。腕輪だけを破壊するような器用なことは難しく、全身を一刀両断しかねないからだ。


腕輪を破壊すると、案の定獣人達は意識を失ってその場に倒れ込んだ。

獣人達をそのまま放っておれ達は祠の中へ移動する。

ここで問題が発生した。カロンの舟が待機している水場が見つからないのだ。

守護獣の姿も見つからない。


「ガンブー!!カロンの舟に乗りたいんだけど、どこかなー!」


うろ覚えの名前を叫ぶと、大きな岩がゆっくり動いて、水場が見えた。


「つかさ。小さき魔王よ。この世界を救えるのは異世界人であり、多数の神器を有するお前の他にいないだろう。 いのちだいじに」


大きな岩亀に圧倒されている69の2人を連れておれ達はカロンに乗る。


「おれ達以外の人族を他に見なかった?」


「ここは通ってない。が、領地を渡る人族がいると、我らの中で話が上がっている。本来はここを通り、許可がなければ強制送還なのだが、何らかの手段で我らが守護獣としての役目を果たせずにいる。不甲斐ない」


ガンブーはいつもゆっくり喋るが、今回はそれに加え長話だった。

しかしカロンの舟が見つからなかった理由は分かった。ダイダロ達がどんな手段で領地を渡っているかは知らないが、今は注意しておくことしかできない。

おれ達は舟を出してもらった。


着いた先にはロープのようなもので赤い鳥が地面に押さえつけられていた。

おれと69の2人で解こうとするが、ロープに触れると力が抜けてしまう。

結局69の2人が全部解いてくれた。


「手間かけたな。 魔王が変わったのか… この世界は今大きな分岐点に立っているようだな。」


シュザック。確かそんな名前だった気がするこの守護獣は、状況の把握が半端なく早いとパトラと来た時に思ったが、今回もすごいしガンブーと似たようなことを言っている。


「この先におまえ達の追いかけている人族はもういない。しかし、精霊王の代理をしている者が待っている。少しだけ話を聞いてやってほしい」


頼まれ事を断れないのが、おれの悪いところなのは分かっているが、弱っている守護獣からの頼みだ。聞くしか選択肢はないだろう。


おれ達が祠から出ると、角が3本ある大きなカブトムシがいた。


「やっと来てくれた!!精霊王ーー」


カブトムシは鋭い角をこちらに向けながら突進してくる。

おれと69の2人が咄嗟に地面に伏せると、凄まじい風だけ残してカブトムシは通りすぎる。

カブトムシは振り返って、今度はゆっくり近づいてきた。


「精霊王!お待ちしておりました!!」


カブトムシは、おれに向かって角を地面につけながら大きな声で言った。

おれ達は全員、現在の状況をまるで理解できなかった。

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