はじめまして
なつめ達の部隊を壊滅させたおれ達は、違う場所に参戦するため移動を開始した。
ラパンがシュバルに乗ってるので、おれは違う獣魔に乗る。
乗り心地を考えると、バインフーか、イルコス、マチカ、リックなんだろう。
悩んでいるとマチカがおれの近くに来て、地面に伏せた。
「ありがとう」
おれはお礼を行ってマチカに跨がった。
マチカが他の獣魔に向けて、ニヤッと笑みを浮かべた気がした。
リックが先頭で上機嫌に走っている。まさに猪突猛進って感じだ。
それに付いていく形で、おれ達は最後尾を走っていた。
そのはずだったのだが、大きな爆発音がした後、黒くなったリックが近くに降ってきた。
「なあにやっとるんじゃ?」
ビテスが近くに寄って声をかけた。
ビテスはイヴトに頻繁に通っているせいか、最近話し方が龍神に近づいている。
「ほんとっスよ。なにやってるんスかぁ?」
スーリはバインフーに乗ったまま声をかけた。
バインフーは前足でリックを転がして遊んでいる。
「大丈夫か!?おれと同じ色になってるじゃないか」
バインフーと一緒にいた太牙くんだけが心配しているかとも思ったが、笑いを必死に堪えているのがバレバレだ。
みんなでリックを囲うように集まった。
マチカが水玉でリックを包み込み、洗濯機のようにグルグル回して汚れを落とした。
バインフーとビテスで温風をかけ、乾かしてあげる。
なんだかんだみんなが仲間思いで少しうれしかった。
リックが起き上がってぶるぶると体を振った。
「油断したわぁ」
リックが一言口にして、また進もうとした。
そんなリックの前にシュバルとラパンが立ちはだかる。
「毛色を変えて飛んできて、何があったんですか?」
「モーー!」
問い詰めるラパンとシュバル。
久しぶりにシュバルの鳴き声を聞くと、おもしろくて少し笑ってしまった。
「いやぁ完全に油断してたね。地面のトラップに引っ掛かるとは」
そう答えたリックを先頭に、トラップがあったという場所まで進んだ。
「ここに仕掛けてあったんだよ」
マチカも、残っていたリックの匂いを確認してここが現場だということは分かった。
だが、他に痕跡は無いし、違う場所にもトラップが隠されている可能性があるから、どっちに進むかを相談していた。
「誰か来る」
マチカの声と共に、全員が警戒態勢になった。
遠くの方から人影が突進してくる。
全員が散り散りに避けると人影は来た方向に帰っていった。
「全員戦闘準備。構えなさい!」
ラパンが大きな声で指示を出した。
おれも言われるがまま戦闘準備をした。
魔神の神器で防具を生成することはできたが、魔力の残量が心許ないのでミルクを飲んで少し回復しておいた。
「な~んか避けられてたわぁ」
「あんた見えてんなら当てなさいよ!」
「まあまあ落ち着きなよ。トキソのせいじゃないし、アロンソンの魔法も起動してたならいいじゃない」
3人の人影が喋りながら近づいてきた。
「あーんたは何もしてないからいいよねぇ?」
「2人と歩くの、結構しんどいよ」
「ポゼリ?うちの子貸してあげようか?」
女の子の露骨に嫌がる顔がはっきりと見える距離まで来た。
男は細マッチョで、袖の無いレザージャケットを羽織っている。風が吹いたときに、内側までポケットがあるのがチラッと見えた。
嫌な顔をした女の子は、右乳の上部に69と書かれていること以外は特に変哲の無い普通の女の子だ。
もう1人の少し背の高い女の人は、袖の無いシャツに、ズボンも後ろから見たら臀部がはみ出ているのではないかと思うほど短いものを履いている。
「やあ!人1人と魔獣が12匹かな?私は【シックスナイン】の一員でアロンソン。短い時間だけどよろしくね!」
ボーーーン
右足の付け根にある69という数字を見せながら自己紹介をした後、指を鳴らすと3人の後ろで激しい爆発が起きた。
やはり尻がはみ出ていた。
「おれもこっちのお嬢も【シックスナイン】なんだわ。トキソとポゼリっちゅうんだけど、まあよろしく。そしてバイバイ」
「勝手にまとめないで」
細マッチョが自分の右手を左手で掴んで、力を入れながら見せてきた右肩にも69と書かれていた。
ちょっと変わった人達だが、おれの従魔達の警戒っぷりは半端じゃない。
正直今までに見たこと無いほどの緊張感が伝わってくる。
いつ始まっても対応できるよう、おれも気を引き締めて構える。




