69パーティ
最初に仕掛けてきたのは向こうだった。
細マッチョがレザーの内ポケットから何かを投げてきた。
おれ達のいるところまで届かず、地面に落ちるはずの軌道だったのが、こちらに向かって急接近してきた。
近づくにつれて大きくなり、先頭にいたリックに体当たりした時には、おれと変わらない大きさの人形になっていた。
リックは体当たりを頭突きで受け止め踏ん張ったが、反動でかなり後ろまで下がってきた。
「おれだって良いとこ見せるからね! ボアアップ」
リックが意気込んで魔法を発動すると、体が大きくなって、周りの地面が体を覆った。
岩が弾けると、リックの猪ボディにフィットした鎧が装備されていた。
そのままリックは人形に突進し返し、吹き飛んだ人形を追ってシックスナインのパーティに突っ込んだ。
「おいおい全部無視かよ」
細マッチョのぼやきを無視してリックは猛進した。
3人までもう少しと迫った時、後ろから発生した泡に人形が包まれた。
リックはその泡のコーティングに衝撃を吸収され、こちらに戻ってくるように大きな体を跳ね返される。
「まさに猪突猛進」
なんの変哲もない女の子が、笛を鳴らすと大量の泡がおれ達の周りに発生した。
みんな各々に対応するが、リックとモンシューと太牙くんが泡に包まれてしまう。
「イクスプロジオン」
尻出しが指を鳴らすと、泡の中で爆発が起きた。
しかも泡は破裂することなく、むしろ誘爆が起きるかのようにずっと、爆発が続く。
3匹の危機を感じたおれはマチカを走らせ、外側から泡を斬った。
泡から出てきた3匹は煙を上げながら光って消えていった。
「リック!モンシュー!たいがくん!」
3匹がいたところには、泡が消え何も残っていなかった。
「ラパン、シュバル、スーリ、もどってサージュをおねがい。なにごともなければそれでいいから」
ここを突破される危険を感じたおれは、城に残っているサージュの護衛を頼んだ。
太牙くんは、パトラの能力で城に戻っていて、リックとモンシューも問題はないはず。
それより今問題なのは、3匹をたった1つの魔法で瞬殺したあいつ。
おそらく他2人もそれなりの実力のはず。
「仲間減らして大丈夫~?」
残されたアステリオ、バインフー、ビテス、クテク、イルコス、マチカ。とおれ。
減ったとはいえ、数だけみれば2倍の差がある。
そしてさっきみたいに連携をとられると厄介だから、まずは分散させたい。
(アステリオとイルコスが笛。ビテスとクテクで細マッチョ。バインフーとマチカはおれと尻出しで分担するぞ)
念話で指示を出した後、おれはメリアすからもらった魔法の1つを本から取り出した。
「みんなまけるなよ。 リベレ」
手に持ったカードを解放すると、熱を帯びた大きな岩が3人に向かって飛んでいく。
両端にいた細マッチョと、尻出しが外側に回避したことを確認。
おれはマチカに乗ったまま、他2人と距離をとるため、魔法で牽制しながら尻出しを追った。
「離されちゃったね~。 でもお姉さん強いよ?」
尻出しの足元に円形の魔方陣が発動した。
それはすぐに大きくなり、おれ達の足元を通りすぎて広がった。
円が止まり、尻出しが指を鳴らして「イクスプロジオン」と唱えると、おれとバインフーの間で爆発が起きた。
マチカがとっさに水魔法を使って、おれ達とバインフーを包んだ。
爆風によってそれぞれが吹き飛ばされた。
マチカはおれ達を包んでいた水を形状変化させて、追い風の如く背中に勢いよく追い水をして突進した。
おれは刀を抜き、尻出しに攻撃を仕掛けると、足元に魔方陣が現れた。
マチカはおれを水に乗せてバインフーまで届けた。
それと同時にマチカ自身を守る水牢を展開していた。
マチカの足元の魔方陣から激しく火柱が立った。
火柱が消え、水牢で守られていたはずのマチカが姿を現すと、毛が少し焦げて、体から煙が上がっていた。
「だいじょうぶか?」
おれは風魔法で宙に浮いているバインフーの上から声をかけた。
「なんとか。でも次は自信無いですね」
「あれ食らってもなんともないの!?カウンターで倒せる予定だったんだけど。」
カウンターの魔法だったのか。
マチカの対応が早かったけど、それを上回る威力だったみたいだ。
カウンターに警戒しながら次はバインフーと攻めに回る。




