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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
おれと鬼と時々魔獣

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人が人払い

拳一視点 ①

黒蝶 舞・剛力 拳一vs前金 鉱平・黒虎



「たいがくん!」


坊っちゃんが大きな声で黒い虎に向かって叫ぶと、虎と隣を歩く男は止まった。

男は振り返りざまに魔法を唱えた。


「ラキースター☆」


男の指鉄砲からたくさんの星が飛んできた。

坊っちゃん達は難なくいなしている。

おれと舞は最初避けたが、通りすぎた星が戻ってきて当たってしまった。

星は弾けるように消えたが、ダメージも状態異常も感じない。


「アン☆ラッキー。おれの名前は、前金 鉱平。転移者で勇者と王子とこの街にきたわけなんだけど、勇者死んじゃってたね。おれのオリジナルスキル、ラキースター☆の確率が0なんて、運を黒虎に極振りしちゃったかね。」


言っている事の意味は分からないが、勇者はさっきえぐい死に方をしていたな。

謎の魔法は効果が発動しなかったのだろうか、少しホッとした。


「坊っちゃん、ここはあたし達がやるから他をお願いしていいかな。黒虎くんには悪いことしたと思ってるし、ここでチャラにしておきたいからさ。」


舞が残ると宣言した。

まだ手足に付いている枷はこいつにやられた物だし、悔しいがおれ達では王子には勝てない。

正直なところ頼るしかなかった。


「それならおれも残るぜ。パピノア無しで1人じゃしんどいだろ。おれも舞と一緒の方がスキル発動するしな」


おれの固有スキル、ボディガードは何かを守りながら戦うことで発動する。

坊っちゃん達が去って、おれ達は黒い虎と相対することとなった。



「おまえらさぁ、しぶとくね?男の方は王子にボコられてたよな。女の方も、おれの枷があってここまでこれただけで大健闘だよ。ただ面倒だからさ、もう死んで☆」


男は先端に輪っかの付いた鎖をおれに向かって投げてきた。

ジャラジャラ言わせながら飛んでくる輪っか。

前回舞が不意をつかれて当たってしまったら、枷が付けられ鎖によって行動制限されてしまった。

ただ直線行動だから、不意打ちじゃなければ避けることは容易い。

注意するのは戻ってくる時と、枷と繋がった鎖にも触れてはならないことだ。


舞に付けられてしまった枷はおれが外してやる。

そう強く決意したのに…


ジャラララと、うるさい鎖を避けたら、おれの後ろの舞に当たってしまった。


「おまえはバカだねぇ。脳みそまで筋肉マッチョなんじゃないの?」


言い返す言葉がない。


「クソ!」


おれは悔しくって地面を殴った。

闘いは始まったばかり。

それなのに、早々に大失態をしてしまった。ついさっき守ると決めたのに…


精神的なダメージが大きく足に力が入らないおれに、真っ正面から黒虎が体当たりをしてきた。

そのまま鋭い爪でされるがままに引っ掻かれる。


「おまえ見た目だけで、なんにもできないじゃん。弱すぎじゃない?黒虎、そのまま殺っちゃって☆」


一旦戻ってた黒い虎がこちらに迫ってくるらしい。

おれは仰向けで空を見ていたが、諦めて目を瞑った。


ドゴッと大きな音がして思わず飛び起きた。

おれの目の前には枷を付けていながらも逞しい舞が立っていた。


「拳一、あたしは大丈夫だから。元々あんたよりも強いし。でも、あの黒虎に早く勝って、帰ってきてくれたら…うれしいかな。」


全身が奮い立った。

おれは舞の事が昔から大好きだった。

だからこの世界に来ても一緒ですごくうれしかった。

こんな時にも舞に守ってもらうなんて、情けない。


何もできずにここで死んでいいはずがない!


おれは立ち上がり、拳を強く握る。


「あんたは昔っからメンタルが弱すぎるんだよ」


ボソッと舞が呟いたが、その言葉はおれの耳に届かなかった。



おれは黒い虎の肩を狙ってパンチをぶちこんだ。

黒い虎を吹き飛ばして、追い打ちをかけるように殴りかかった。


黒い虎も反撃して噛みついてくる。

噛みつき、ひっかき、体当たり、黒い虎はどの攻撃も威力が高い。

だがおれだってもう下がるわけにはいかない。

殴って蹴って、対抗する。


しばらく殴り合って、おれも黒い虎もまあまあの血を流していた。


「はぁはぁ。 しぶといな。おれは負けられねぇんだよな」


そう言いながらも次の体当たりを受けて片膝をつけると、立てなくなってしまった。


守られてばかりじゃなく、今度こそは必ず守るんだ。


全身の力を振り絞って立とうとする。

すると、黒い虎の後ろから1人の子どもが歩いていた。


(坊っちゃんよりは大きいな。あんな子どもこの街にいたっけ?)


子どもはおれの前で止まった。


「力が欲しいか?この人属領で魔物に負けるのは見過ごせないな。おまえが諦めないなら、拳を突き合わせてみろ。武運を祈る」


子どもはそう言って、おれを通りすぎて行った。

目が霞んでよく見えなかったが、なんか言ってたな。

あの子どもを信じて、最後の力を振り絞り拳を突き合わせてみた。

すると突き合わせた拳が激しく光った。

光りが落ち着くと、おれの拳にメリケンサックが装着されていた。

傷がみるみる癒えていき、力がみなぎってくる。


新しく手に入ったメリケンサックで、満身創痍の黒い虎に打ち勝った。


「舞~!終わったぞ」


振り返って、ガッツポーズをしたおれの視界には、鎖で拘束された舞が映っていた。


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