85
a・b・cの3人は何か雰囲気が変。眼の下にクマがあり、瞳にも輝きがありません。まるでゾンビのよう。どうやら催眠術にかかってるようです。
「すみません、家を破壊してきました」
いきなりのaの発言に、受付にいた男性警官はびっくり。
「ええ?・・・」
ここは警察署内、入ってすぐのところにある受付。aの後ろにはbとcもいます。受付の警官は、
「と、とりあえず中へ」
と言って、署内に招き入れました。こうして3人は逮捕となりました。
さらに3人は旧真土勝之邸を破壊したグループの一部だったとも自白し、そこから他の真土勝之邸を破壊した犯人も判明。芋づる式の逮捕となりました。
警察は真土勝之邸毀損事件の捜査はまったくやる気がなかったのですが、ここまで判明するとやらざるを得ません。ずーっと未解決、正確に言えば、放置されていた事件は、あっという間に解決してしまいました。
翌日、ここはテレストリアルガードがいつも使ってる病院。その最上階の廊下。ちなみに、このフロアはテレストリアルガード専用となっていて、一般人は立ち入り禁止となってます。
今この廊下にペタペタペタという不思議な音が響いてました。その音の発生源は掌。2つの掌が床を歩いてるのです。
この掌の持ち主は入院服を着た少女でした。が、少女に両脚がありません。完全に両脚が欠けてるのです。両掌で床に体重をかけて歩いてました。その少女の顔を見たら、日向隊員でした。
日向隊員はあるドアの前で停止。右手を伸ばします。が、届きません。
「あはは、届かない・・・」
日向隊員は両掌を使って、思いっきりジャンプ。
「よいっしょっと!」
が、ドアノブに手が届きません。床に着地した日向隊員は思わず、
「ちぇっ!
よーし、もう1回!」
日向隊員は再びジャンプ。が、今回も届きません。
「あ・・・」
日向隊員は床に着地した瞬間、バランスを崩してしまい、転倒。
「うぎゃ~!」
転んでしまった日向隊員は苦笑い。
「あははは・・・」
と、ここでガチャッという音が。続けてドアが開きました。はっとする日向隊員。
「へっ?」
日向隊員は両掌で立ち上がり、真上を見ました。
「え、何?」
そこには隊長がいました。
「え、隊長?・・・」
隊長はドアノブを握ってます。
「これでいいのか?」
日向隊員は苦笑。
「はい」
「お前も大変だな」
1人用の病室。開いたドアから日向隊員と隊長が入ってきました。日向隊員は相変わらず両掌でペタペタと歩いてます。隊長はそれを見て、頭の中がもやもやしました。日向隊員はベッドに向かいます。
ベッドの脇には踏み台が置いてあり、日向隊員はその台を両掌で踏みしめ、ベッドに上りました。
ベッドの上にはエレキギターが立て掛けてありました。真土灯里モデルです。小型アンプまで用意されていて、それにつないでありました。
日向隊員はギターを掴むと、勢いよくストロークでジャーンと弾き始めました。隊長はそれを見て呆れました。
「おいおい、ここは病院だぞ」
日向隊員はギターを爪弾きながら、応えます。
「あは、大きな音出さないから大丈夫ですよ」
日向隊員は昨日真土灯里から教えてもらった余弦ミュートを練習してるようです。が、うまく行ってないようです。
「ここで薬指と小指を・・・
あは、難しいなあ・・・」
日向隊員は隊長を見て、
「隊長、私の身体に組み込まれてる人工脊髄反射だけど・・・」
「ああ、今いろいろと収集してるらしいよ」
「あの~ その中にア〇〇ィーの高〇〇さんのデータも入れてもらえませんか?」
隊長は思いっきり呆れました。
「はぁ~?・・・」




