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さて、隊長のクルマを追い駆けてきたバイクは3台いました。もう1台はどこに行ったのでしょうか?
少し時間を巻き戻しましょう。デパートの地下駐車場に入って行く隊長のクルマ。それを追い駆け、地下駐車場に入って行く2台のバイク。
が、最後の1台はスロープの手前で停車。乗ってるライダーはヘルメットのシールドを上げ、スロープを下りていく2台のバイクを見ました。
「ここ、たしか出入り口が2つあったな。もう1つの出入り口から出てくるつもりだな、あいつらは、きっと!」
ライダーはシールドを下げると、バイクが急発進。デパート沿いの路上を走り、角を曲がってもう1つの出入り口のスロープの手前で停止。ライダーはシールドを上げ、スロープの下を凝視します。
10秒もしないうちに1台のクルマがスロープを上がってきました。隊長のクルマと同じ車種。ライダーはそれを見て、
「ふっ、来た!」
が、隊長のクルマはアズキ色でしたが、今スロープを上がって来たクルマは薄紅色でした。ライダーは残念そう。
「ち、違う色か・・・」
クルマの運転手はキャップを被り、サングラスをかけてます。同乗者はいないようです。
クルマが地上に出ました。そのままバイクをあとに走り去りました。
薄紅色のクルマが角を曲がりました。その車内、運転手がキャップを取り、サングラスを取りました。するとなんとその人物は隊長でした。隊長は呼びかけます。
「おい、もういいぞ!」
すると後部座席から2人の少女が現れました。日向隊員と明石悠です。2人は足下にうずくまってたのです。明石悠。
「あは、まさかクルマの色が変わるなんて・・・」
そう、このクルマ、地下駐車場でアズキ色から薄紅色に一瞬で色が変わったのです。隊長が応えます。
「ふ、もっと違う色に変わればいいんだけどな。今のテレストリアルガードの技術じゃ、色のトーンを変えるだけで精いっぱいなんだ」
隊長はスロープの上で待ち構えていたバイクのライダーを思い出し、
「しかし、あいつもバカだなあ。ナンバープレートを確認すればいいものを」
そう、隊長が駆るクルマは色が変わりましたが、ナンバープレートは変わってはなかったのです。隊長の発言が続きます。
「あいつ、探偵にはなれないな」
今は真夜中に近い夜。ここは日向隊員の家とされてる住宅の敷地。道路を挟んで反対側にテレストリアルガード基地が見えます。
今門を開け、1人の男性が入ってきました。20歳前後のようです。胸には固定されたゴープロらしきムービーカメラがあります。
若者は建物の角を曲がりました。
テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。巨大なモニターに先ほどの若者が映ってます。防犯カメラのようです。これを隊長、橋本隊員、倉見隊員、寒川隊員、宮山隊員が見ています。
寒川隊員は警備会社のガードマンの服を着てます。それ以外の隊員は隊員服姿。その中の宮山隊員。
「また入ってきましたねぇ」
隊長が応えます。
「これで3人目だなあ。よっぽどヒマなんだな、あいつら・・・」
寒川隊員は歩き始めました。
「追っ払ってきますよ、また!」
寒川隊員は引き分けの自動ドアを開け、出て行きました。
住宅の敷地に忍び込んだ若者は道路と反対側の庭に出ました。ここには3mほどの庇があり、その下にはイスとテーブルがあります。
若者はイスとテーブルを確認すると、胸のカメラに触れました。どうやらカメラを止めたようです。次にチラシを取り出しました。
サブオペレーションルームのモニターが一瞬眩く光りました。隊長はそれを見て、
「ん?」




