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「そうだ、中学校の門の前で歌おうよ!」

 明石悠はこの発案に失望してしまいました。明石悠は学校にいい思い出がありません。けど、日向隊員にそむいたらその先にまたひどい毎日があるかもしれません。ここは黙って従うしかないのです。

「今日はここまでにしよっか!」

 と言うと日向隊員は立ち上がりました。その状態で発言を続けます。

「家まで送って行くよ!」

 明石悠も立ち上がり、

「ええ? い、いいよ。私の家、30分(くらい)歩かないといけないんだよ、ここからだと・・・ 往復だと1時間はかかるよ・・・」

 日向隊員はその発言に若干の不信感。

「ええ~? 私を拒んでる?・・・」

 日向隊員の脳裏に明石悠の父親の顔がぽっと浮かび上がりました。

「あの人がうちに連れて来るなと言ったんだな、きっと、私を?・・・」

 ま、それは考え過ぎなのですが。

 日向隊員は今度は声を発しました。

「あなた、今誰に襲われるのかわからないんだよ」

「で、でも・・・」

 今の日向隊員のセリフ、明石悠は重々承知してます。けど、日向隊員にこれ以上迷惑をかけたくないのです。

 と、日向隊員はひらめきました。

「あ、そうだ!」

 日向隊員は財布を取り出すと、そこから1枚の小さな紙片を取り出し、それを明石悠に見せました。

「じゃ、これ!」

「え?」

「タクシーのチケット!」

「ええ~!?」

「それで家まで帰って!」

「もしかして、これ、テレストリアルガードの?」

「さあ」

 日向隊員はすっとぼけました。けど、明石悠は紙片の端に書いてある文字に気づき、呆れました。

「テレストリアルガードて書いてあるじゃん・・・」

  日向隊員は言葉を続けます。

「あ、私、スマホ壊されちゃったから、そっちのスマホでタクシー呼んでね」

「はい・・・」

 明石悠は仕方なく自分のスマホでタクシーを呼びました。


 数分後タクシー到着。ここは日向隊員の家とされてる建物の門の前。明石悠はタクシーに乗り込みました。そして門のところで見送りしてる日向隊員を見ます。日向隊員。

「ちゃんと真っ直ぐ帰ってよ!」

「あ、はい!」

「じゃ、また明日!」

 バタン! タクシーのドアが閉まり、走り出しました。

 ちなみに、明石悠は住んでる(マンション)まで徒歩で30分くらいと言ってましたが、実際はその半分、15分くらいのところにありました。タクシーだと10分もかかりません。


「ただいま~!」

 テレストリアルガードサブオペレーションルーム。今引き分けの大きな自動ドアが開き、隊員服に着替えた日向隊員が入ってきました。

「お帰り!」

 大きな卵型のテーブルに座ってテレビを見ていた隊長が振り返り、あいさつを返しました。なお、他の隊員ですが、奥のオペレーションルームに宮山隊員がいるのみです。その宮山隊員は横目で日向隊員を確認しました。

「隊長、これ見てくださいよ!」

 と言うと、日向隊員は丸めたハンカチを取り出し、それをテーブルの上で開き、中身を隊長に見せました。中から出てきたものは、ズタボロにされたスマホでした。

「こんなにされちゃいました・・・」

「ああ、こいつはひどいなあ・・・ 犯人は生徒会だろ?」

 隊長は右手の指で自分の胸のポケットを指差しました。

「見てたよ」

 そう、隊長の指は日向隊員の胸のポケットに刺さってる万年筆に似せたビデオトランスミッターを示したのです。日向隊員は応えます。

「ええ。もう信じられない・・・」

「あは、そっか。その生徒会、丸ごと警察行きになったよ」

「ええ?・・・」

 隊長は横目でテレビを指し示しました。壁に設置された巨大なモニターです。

「県議会議員の娘だったみたいだな、生徒会長は。今父親がテレビに出てんよ」

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