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 寒川隊員は、

「おいおい、まじかよ?」

 と戸惑うばかり。高浜さんは言葉を続けます。

「尾崎豊の曲を歌いましょう!」

 それを聞いた途端、寒川隊員の表情が変わりました。寒川隊員は尾崎豊の曲を聴いて人生が変わりました。その曲をここで歌わせてもらえる?・・・

 寒川隊員はステージに向かいたくなりました。けど、自分はテレストリアルガードの隊員。行っていいのか? そんな思いが頭の中に渦巻きました。行きたい。あのステージに上がって歌いたい!・・・

 そういやオレ、隊長から許可をもらって音楽活動してた時期があったっけ?・・・

 寒川隊員は振り返りました。視線の先の隊長はうなづきました。それを見て寒川隊員はニコッと笑います。次の瞬間寒川隊員は駆け出し、ステージに向かいました。

 寒川隊員がステージに上がりました。日向隊員は思わず苦笑い。

 高浜さんは笑顔で、

「ようこそ!」

 寒川隊員が応えます。

「いいんですか、真夜中のノックに尾崎豊の曲を演奏させて?」

「もちろん!」

 高浜さんは横目で日向隊員を見て、

「実は以前こんなこと言ってたんですよ、彼女。私にギターを教えてくれた人は尾崎豊が好きで、尾崎豊の曲しか教えてくれなかったって」

 日向隊員はまたもや苦笑い。

「あは・・・」

「こんなに素晴らしいミュージシャンを生みだしてくれてありがとう! お礼に今ここであなたが尊敬する尾崎豊の曲を真夜中のノックに演奏させます! 思う存分歌ってください!」

 その高浜さんの言葉に寒川隊員は赤くなりました。そして日向隊員を横目で見て、心の中でつぶやきました。

「こいつ、オレがギターを教える前から、十分プロ級のミュージシャンだったって・・・」

 高浜さんは振り向き、真夜中のノックのみんなに、

「みんな、大丈夫だよな、尾崎豊の曲?」

 と質問。千石さんが応えます。

「15の夜と僕が僕であるためには、以前演奏したことがあるから、大丈夫じゃないか?」

「OK! じゃ、15の夜から!」

 日向隊員はピアノのキーを見つめ、

「まさかここでこの曲を弾くことになるなんて・・・」

 日向隊員がピアノのキーにタッチ。イントロが始まりました。マイクを握ってる寒川隊員は思います。

「まさか折り紙コンサートホールでまた尾崎豊の曲を歌えるなんて。しかも大ホール・・・」

 寒川隊員は横目で背後の日向隊員を見ました。

「ふ、あいつにギターを教えておいて正解だった、かな?」

 寒川隊員の熱唱が始まりました。するとその脳裏に2人組が現れました。1人はギターを弾く寒川隊員自身。もう1人は熱唱する黒部すみれ。そう、バイオレット&ユタカです。

「あいつ、今どこで何やってんのかなあ?・・・」

 総立ちの観客の中にサングラスをかけた女がいます。これは・・・ 黒部すみれです。黒部すみれもこのコンサートに来てたのです。黒部すみれはふっと笑うと、

「寒川さん、あなたはテレストリアルガードのユニホームを着てるより、こうやってステージの上で尾崎豊の曲を歌ってる方がずーっと似合ってるって・・・」

 15の夜が終わりました。間髪インターバル入れず次の曲へ。僕が僕であるために。寒川隊員は再び熱唱します。日向隊員はそんな寒川隊員の背中を見て、つぶやきます。

「あは、寒川さん、熱中してるなあ・・・ やっぱいいなあ、この曲・・・

 そうだ、新生真夜中のノックのデビューアルバムに収録する私の曲は、この曲にしよう!

 別に私が作った曲でなくてもいいんだ。私が作った曲なら、あとでいくらでも収録することができる。自分が作った曲にこだわる必要はないんだ!」

 寒川隊員が歌い終わりました。観客は少ないながらも割れんばかりの拍手。寒川隊員は照れ笑い。

 舞台の袖から高浜さんが出てきました。そして寒川隊員に、

「いい熱唱でしたよ!」

 寒川隊員は応えます。

「ありがとうございます!」

 この後もコンサートはつつがなく進み、無事終了しました。

これでお終いです。長い間ありがとうございました。

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