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明石悠は何か思い出したよう。
「そう言えば、高浜さん、さっき注文するとき、いつものて言ったような?」
それを聞いた日向隊員ははっとして、高浜さんに質問。
「こんなに美味しいご飯、毎日食べてんの、高浜さんて?」
高浜さんはちょっと顔を赤らめ、
「ふ、まあな」
その言葉に日向隊員の脳裏にある疑問が。それを解決するためか、隣りに座ってる真土灯里に質問。
「真土さんもこんなに美味しいステーキ、食べたことあんの?」
すると真土灯里はゆっくりとしゃべり始めました。
「あは・・・ 私の家は小さいときは貧乏で、あまり豪華なものは食べさせてもらえなかった・・・ けど、undercoverが売れ出すと、一気にお金が入るようになったんだ。
父は喜んで毎日毎日こんな豪華なお店に連れてってくれたんだ。あの頃はほんと幸せだったよ。あんな生活、またしたいなあ」
明石悠が応えます。
「へ~ 1曲当てただけでそんなにお金が入ってくるんだ?」
今度は代官さんが、
「この世界、1曲でも売れると大きいんだよ。莫大なお金が入ってくるんだ」
日向隊員はその話を聞いて、
「へ~・・・」
けど、高浜さんは別の考えのようです。心の中でつぶやきました。
「ふ、1曲でも売れたらたくさんお金が入ってくるって・・・ それは作詞や作曲をした人のことだろ? けどなあ、人の琴線に触れることができる作詞や作曲ができる人はほんのわずか。へたくそはやらん方がいいな。
この世界は適材適所。自分が何に適してるのか見極め、それをとことん突き詰めていかないと! ギターが得意な人はギターを、ヴォーカルが得意な人はヴォーカルを突き詰めていかないとだめだ!
でないとオレと真土勝之みたいに、実力があるのにいつまでも売れない事態になっちまうからな!」
高浜さんは談笑してる真土灯里を見て、
「灯里ちゃん、君は真土勝之の娘だ。きっと作曲もできるはずだし、作詞もできるはず! ギターの腕前はすでに超一流だ! きっと父親以上のミュージシャンになれるはず!
君は前途洋々だ。君を邪魔するやつは、全部オレが排除する! たとえ相手がネットであっても! 君を超一流のミュージシャンに育てる。それが今オレができる真土勝之への唯一の謝罪だ!」
食事は一段落したようです。みんな自然に談笑に移ってました。ただ、明石悠だけは小さなメモ書き(カンペ)を出して、それを小声で読んでました。そう、それは明石悠が今日歌わないといけない曲の歌詞です。
高浜さんはそれに気づき、にこっとして、
「ふふ、がんばってんな、あの娘!」
とつぶやきました。
それから1時間、2時間・・・ 明石悠以外の談笑は止まりません。と、日向隊員が壁に掛かった時計に気づきました。現在午後2時ちょっと前。日向隊員は高浜さんに、
「あの~ 大丈夫ですか、そろそろ行かなくっても?」
高浜さんはふっと笑って、
「じゃ、行くか、みんな!?」
高浜さんは立ち上がりました。そして8人はまたミニバンに乗り、ステーキ店を後にしました。
折り紙コンサートホールの地下駐車場。ここに件のミニバンが現れました。ミニバンは停車。中に乗ってた8人は、ミニバンを降りました。
「さあ、行くぞ、お前ら!」
その高浜さんの激に、真夜中のノックの一同応えます。
「おーっ!」「はい!」
一同がステージ上に現れました。ステージにはすでに楽器類がセッティングされてました。日向隊員、真土灯里、明石悠はそれを見て、
「あは、みんなセッティングされてるよ!?」




