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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode1 赤い羊捕獲編
19/424

19 1-19 簡単な仕事

盗っ人視点です。

 今日はペンギンパークのオープン初日。

 凄い人混みだ。

 浮かれている奴しかいない。

 そこらじゅうのズボンのポケットに、取ってくれと言うように入っている財布。

 入場料は余裕で帰ってくる位には稼げるだろう。


 そう思って楽しくスリをしていたというのに、俺が2つ目の財布を手に入れた時、後ろから声を掛けられた。


「お兄さん、盗みはダメですよ」


 フードを深く被っていて、前髪も長く、マスクもしていたので、顔もよく見えない男だった。


「兄ちゃん何言ってんだ?」

「とぼけてもダメですよ。写真も撮ってしまいましたから」

「なっ!?」


 そう言って携帯に写る写真を見せてきた。

 俺が財布を抜き取るところがしっかりと写っている。

 どうするか……

 コイツ弱そうだし、この携帯を奪うか?

 だが、この人混みだと目立つしな……


「でも、安心して下さい。警察に知らせたりしませんから」

「はぁ?」

「実は簡単な仕事をして頂きたいんです。やって頂ければ写真も消しますし、お礼もお支払致します」

「簡単な仕事?」

「はい。実は僕、あそこで案内をしている子が好きなんです。だから、あの子に絡む役をやっていただけませんか? 僕があの子を助けに入るんで、やられたふりをして逃げてください」


 そんなことか……

 確かに可愛い子が目立つ服で案内をしてるな。

 そんなことで金が入るなら余裕だ。


「いいぜ! その仕事やってやるよ」

「ありがとうございます! では、準備ができたら連絡するので、よろしくお願いしますね」


 電話番号を交換しその男は離れて行った。

 俺は連絡が来るまでその子を見ていた。

 ニコニコと笑顔を振り撒き、道を案内をしたり、1人でいる小さな子どもと話したりしている。


 しかし、近くに男も一緒にいた。

 雰囲気的にはあの子の彼氏に見えるが……

 美男美女カップルでお似合いな感じだ。

 確かにあの美男君に勝つには、不良をやっつける位のインパクトが必要なのかもしれないな。

 だからといって盗っ人に頼るとか、なかなかクレイジーな兄ちゃんだ。


♪♪♪♪♪


 連絡が来た。

 さて、やってやるとするか……


「おい、姉ちゃん。俺にこの店の行き方教えてくれよ」

「こちらはすぐそこのお店ですよ」

「そうか、なら姉ちゃんも一緒に来てもらおうか。奢ってやるから」

「いえ、遠慮致します。私、仕事中ですので」

「いいから、いいから」


 俺は無理矢理に連れて行こうとした。

 さぁ、そろそろだろ。

 来いよ兄ちゃん。


「おいっ! その手をはなせっ!」


 あー、美男君……

 君は違うんだよ。

 こっちも仕事なんでな、君には痛い目にあってもらう。


「うるせぇ! 関係ねぇ奴は引っ込んでろ!」


 俺は美男君に殴りかかった。

 しかし手応えはなく、流されるような感じで手を捕まれ、柔道か何かの投げ技のようなものをされていた。

 美男君強すぎだろ……

 くっそ、いってぇ……


「こんなの、聞いてねぇぞ……」

「おい! 聞いてねぇってどういうことだ!? 誰かに麻里奈の所に行けって頼まれたのか? まさかっ、葵!?」


 何を勘違いしたのか、美男君は携帯で誰かに電話し始めた。


「葵っ! どういう事だよ! こんなことして、もし麻里奈が怪我でもしたらっ!」


 俺は体が痛く動けずにいた。

 美男君は電話で誰かを怒鳴り付けていた。

 周りの奴等は関わりたくないといった様子で、去っていった。


 美女ちゃんが、落ち着いてと美男君に近づいた時……


バーン!


 遠くで花火のような音がして、目の前で真っ赤な液体が弾けた。

 そして、美女ちゃんは倒れた。


 違う、おかしいだろ……?

 俺は簡単な仕事をやるだけのはずだったんだ……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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