17 1-17 的変更
赤い羊視点です。
聖人ちゃんサヨナラ作戦の計画は完成したというのに、ここにきて依頼人はお願いがあると言ってきた。
決行日当日に俺に直接会いたいという要望だったが、これは一応了承しておいた。
会うとなると俺にもそれなりのリスクが伴うが、会うとは言っても顔を見せるつもりはない。
依頼人が約束を破り、1人で来なかった場合は即依頼人を殺せばいいだけだし、逃げる算段も整えてあるので特に問題はない。
だからこの要望は聞いてやる事にしたが、更にもう1つ頼みたいのだという……
「既に作戦を決めておりますので、あまり変更は……」
「このお願いは無理にとは言わないわ。出来ればでいいのよ」
「出来れば、ですか? 内容は?」
「あなたは遠くから頭を撃つのが得意らしいわね。けれど今回は、心臓を狙って欲しいのよ」
「心臓、ですか? それだと即死ではありませんが?」
「そうね。でもだからといって助かる訳じゃないでしょ? もちろんあなたがターゲットの頭を撃つ事に拘りがあるのなら、別に頭のままで構わないのだけれど……」
別に拘りがあるわけではないが、頭の方が的として綺麗だし、確実に殺せる。
服越しになる心臓は的として微妙だし、即死はしない……
それなのに態々心臓を狙うように頼んでくるんだからな。
「つまり、苦しみながら死んで欲しいということですか?」
「えぇ、まぁそういう事ね。この間アイツ、言ってたのよね……空音といると胸がドキドキして止まらないって。だから止めてあげるの」
そういえば、盗聴器からそんな話し声が聞こえたな。
依頼人と話していた訳ではなさそうだったが……
「それに、赤い羊は頭を狙うって誰もが思っているでしょうし、心臓を撃たれて死んだのなら、赤い羊が依頼されてやった訳じゃないかも知れないって、警察も思うんじゃないかと思ってね」
「分かりました。では心臓を狙うとしましょう」
「ありがとう、お願いはそれだけよ。それじゃあ、よろしくね……」
そして電話は切れた。
その後も盗聴器を確認していたが、依頼人が何処かへ連絡することはなかった。
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