第5話
女神「えーと、あの人のゲームのデータ資料は・・・」
女神「あら、女の子を死ぬ間際まで使っていたのね。男もいるわね」
女神「あら! 天照大御神装備? じゃあ私の信仰者なのね! なら姿はこれにしてあげないと!」
女神「でも女の子の体は不安だろうし、男のキャラと合わせて体を男にしてあげましょ。あと色々能力とかにサービスしてあげなきゃね」
女神「まさかこの私の姿になろうとするほど信仰してくれるなんて、嬉しいものね」
彼の知らないところで、変な勘違いが起こっていたが、それを彼が知ることはない・・・。
少年改め、タケル君からの懇願を聞き入れることにした私は、お爺さんとタケル君に連れられて村へと向かっていた。
正直ゲームでない今の現実たるこの世界で、実際私の能力がどれ程役に立つかは分からないが、彼のあんな必死な様子で頼まれて、嫌だと断るのは心苦しい。
私はお節介な性格だとよく言われていたし、私に出来ることがあるならやっておきたい。そんな性格だから介護職なんて続けてられたのだろう。
まぁ、死んでしまったのだからもう関係ないけど。
しかしなんでこの容姿で女じゃないんだ。そっちの方が残念だ。
ここまで来たならいっそ体が女性になった方が清々しいのだが、あの女神様は何を聞き間違えて、更に何を考えてこの体にしたのか?
だけど良かった所もある。
この声だ! この声は限られた者しか手に入らない大人気アイドル声優NANA様が収録された音声だ。キャラクター作成時にこの声に変更しといたんだった。
まさか自分の発した声に萌えてしまうことになろうとは・・・。
歩きながらほわぁ~とした表情をしていたか,少年の件もあるためまずは気を引きしめないと思い気持ちを切り替えた。
「あの、病人の方々について話を聞きたいんですけど・・・」
「ああそうか、話しとこうかの」
そして村へと向かう道すがら、私はお爺さんから事のあらましを確認していた。
この場合で考えれば病原菌やウイルスの集団感染が考えられる。少年とお爺さんの服装を見る限り、江戸時代っぽい雰囲気がある。ならば衛生観念も低く、二次感染もあったのかもしれない。でもそうなると、少なからず死人がいなかったり話の中にあった四人に症状が出ないのが妙な感じかする。
うんうんと考えながら歩いていると、お爺さんから声を掛けられた。
「ここが村になります」
「あ、はい・・・ッ!」
考えながら下に向けていた顔を上げたとき、私の目には異様な光景が写っていた。
「つかぬことお伺いします。あなたに村を覆うものは見えますか?」
私の質問にお爺さんは「え?」とした表情を返してきた。
やはり私にしか見えていないのだろう。
それは、この村を覆う淀んだ瘴気だった。
「もしかしてこれは・・・」
私はまだ地球に住んでいた時の考え方をしていた。だが目の前の光景がここは地球ではないと訴えてくる。
そう言えばあの女神も和風ファンタジーって言っていたっけ。
だから私の中である結論に達した。これはゲームでもよくイベントであった状況だ。
「お爺さん、まず結論から言います。ここで流行っているのは病ではありません」
私の言葉にお爺さんは怪訝な顔をするも、少年は驚いた表情をした。
「これは“呪い”です!」
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