第2話
自分の部屋で眠ったと思ったら、何故か何もない黒い空間にいてお前は死んだと聞かされた。
「死んでしまったのに本当は死ぬはずじゃなかったって、どう言うことですか!」
「まあ落ち着け。ここはワシの様な神の使いの部屋みたいなものだ。因みにこの姿はお主のイメージで出来ておるから本当の姿ではない」
神の使いと名乗るお爺さんの話では、神のミスで私が死んでしまった。本来死ぬはずじゃなかった私が死んだ事で、輪廻転生の輪から外れてしまい、修正しなければ魂が消滅してしまうと説明を受けた。
「だからの、お主には本来の寿命通り再度生きてもらうのだ。但し地球ではない別の世界でな」
「え・・・、別の・・・世界?」
それってもしかして異世界転生か!? まさかそんな小説みたいな事があったなんて!
「まあそれは、別世界の女神が担当しとるんでそちらに聞いとくれ。こやつだ。まぁ女神と言うても総称みたいなものでな、実際はワシと同じ神の使いだ」
「はいはいどうもー」
そこに現れたのは落ち着いたお爺さんとは違う、ノリの軽そうなお姉さんだった。服装を見れば何とか言うか、お爺さんは白いローブだが、女神様は和風な感じだ。しかも日本神話とかに出てきそうな感じの。
「えーと、じゃあ君は私の管理する世界の一つに行ってもらうわね。日本人に合いそうな和風な世界よ。ああそうそう、今回はお詫びとして貴方に何でも一つお願いを聞いてあげるわ」
「何でも!? チートもですか?」
「ええそうよ。但し不死などの死ななかったり貴方の魂をその世界に留まらせるのは禁止よ。不老はOKだけどね」
不死は禁止か。でもまあ寂しく一人で永遠に生きるとかなんて事も嫌だし、興味はないかな。
しかしそれ以外なら、前々から夢だった事を頼もう!
「じゃあ私がやっていたオンラインゲームで育て上げたキャラになりたいです! ステータスも反映させて下さい!」
こんな風になりたいと憧れたファーストキャラの侍。あのキャラで是非無双したい!
「ふむふむ・・・ふ~む。なるほどね。一応聞いておくけど、キャラになると言うことは、赤ん坊から始める訳ではないのね?」
「はい。赤ん坊でなくキャラと同じ容姿で転生させて下さい!」
女神は私の言葉をうんうんと頷きながら聞き入れると、ニコリと微笑んだ。
「よろしい。じゃあその願いを叶えましょうか」
そう言うと女神は目を瞑り、光のオーラの様なもので自分を包んで力を使い始めた。同時に私の足元にも魔方陣の様な光の紋様が現れ、そこから光の柱が上へと伸びる。
「それじゃあ新しい人生を満喫しなさい。冒険とかもロマンだから、それらしい場所に転生させるわ。ちゃんと自分の力を考えて使いなさい!」
女神はグッと親指を立ててサムズアップで送り出してくれた。目の前が光に包まれていき、私の意識は途切れてしまった。
そして、次に目を覚ましたときには、何やら暗い部屋の中だった。まさかのハードモードかと思ったけど、あの女神がそんな酷いことする感じには見えなかった。しかし薄明かりが辛うじて入って部屋だと分かるくらいで、自分の手すら見えない程の暗さだし、早く外にでないと。
そう思い扉と思われる光が入る場所に向かおうとした時、扉がひとりでに開き急に明るくなった事で目を詰むってしまった。
目が明かりに慣れてきて開いた扉に目を向けると、そこには一人の少年が驚いた様子でこちらを見ていたのだった。
よろしければご意見・ご感想をお待ちしています。