第17話
タケル視点です。
従者としての契約を受け入れると、法術士様はなにかを唱え出した。
すると僕の体がぼんやりと光を帯び始めた。
法術士様から呼ばれて顔を上げると、僕の額に文字を書くような動作をされた。
そして僕の額に口付けをされたのだ。
ドクンと胸が高鳴るのを感じ、同時に頭の中に色々な事が流れ込んできた。
体が軽く感じ、これからやるべき事が分かる気がした。
光の空間が消え始めたとき、僕は怪物に向かって走り出す。
怪物の気を引くために木の棒を拾い、それを怪物の顔へと投げると、素早く横を通りすぎた。
顔に棒を当てられた事に怒ったのだろうか、怪物は僕へ狙いを定めて刃物を振り回して追ってきた事で、『かかった!』と僕は思った。
これで少しでも法術士様から離すことが出来るからだ。
僕がコイツを引き付けることで、きっとあの方が村の時のように何とかしてくれる。
不思議とそう感じた。
怪物は何度も刃物を振り下ろすが、僕はなんとか避けていた。
体はいつもより軽く動きやすいが、何度も避けていると疲れが出て来てしまい、肩で息をしていた。
そのせいで遅れてしまったのか、怪物が地面に刃物を叩きつけて土や石を辺りに飛ばしてきた。
咄嗟の事で目をつぶってしまった僕は、気づくと鬼が目の前で刃物を振り上げて迫っていたことに恐怖を感じてしまった。
さっきまであんなに体が軽く感じたのに、恐怖したとたんに動けなくなってしまったのだ。
「タケル君! 目を閉じて!」
その言葉に僕は咄嗟に目を閉じた。
それと同時に、「閃光!!」と声が聞こえると、瞼越しでも眩しいほどの光が広がり、思わず手で顔を覆いながら顔を反らしてしまった。
光がおさまってすぐに目を開いて見たものは、両手で目を押さえながらもがく怪物だった。
おそらくさっきの光を直接見てしまったのだろう。
「タケル君は暫くそいつを引き付けておいて! あなたの援護をした後に、私が全力でそいつを浄化するから!」
「──はいっ!!」
この時には恐怖は少なくなっていた。
あの方がいてくれる、そう考えると僕の心に勇気が湧いてくるのだ。
怪物は苦しみながらも体を起こすと、目を瞑りながら刃物を振り回し始めた。
まだ目は回復していないみたいだけど、見境がなくなってきた感じがした。
刃物が危ないが、僕は今だ! と思い動き出した。
先程よりも更に体が軽い。それに疲れもとれてなんだか力が湧いてくるようだった。
動き回るなかで、武器がいると感じた。それが僕のやるべき事なのだと理解できたのだ。
僕は目に入った地面に突き刺さる刀の下に走ると、両手で掴み地面から引き抜いた。
僕にとっては大きかったが、重さは多少な程でそんなに感じなかった。
僕は刀を持ったまま怪物の下へと走った。
ただ今しかないとばかりに力を注ぎ込んで、脇目もふらなかった。
足にも自然に力が入り、ドスドスと地面を踏みしめる音が聞こえてきた。
その音に気づいたのか、怪物も相変わらず目を閉じたまま僕の音がする方へと身構えたのだ。
抱けど僕は止まらなかった。なぜなら怪物は目を閉じたままの他に、武器を振るう腕の動きもゆっくりだったからだ。
僕は武器を握る力を強め、駆け出した。
怪物の膝に足をかけ思い切り跳躍すると、怪物の顔へと迫る。
僕は怪物の顔目掛けて、勢いよく刀を振るった。
次回は4日後に投稿します。




