その5
前回のあらすじ
いつの間にか、寝てしまったみたい…
誰が、部屋に連れてきたんだろう…?
小鳥達が鳴いている…。
日差しが眩しい…。
外は今日も晴れか…。
今、春奈はまどろみの中にいた…。
うっすらと目を開ければ、どこか見覚えの無い天井…
『あぁ、これは夢なんだ…。』
『……ゆ…め……。』
『……ゆ…め……?』
『………?………?』
勢い良く、ガバッと起き上がる。
「夢じゃないよっ!此処どこっ!?」
キョロキョロと辺りを見回していると次第に頭が覚醒していく。
「…そうだ…、アタシ…異世界に…来ちゃったんだ…。」
それを思い出すと、急に不安に覆われる…。
『…無断…外泊…いや…それ以前に…帰れるの…?』
『此処の人達は優しくしてくれるけど、やっぱり帰りたいよぉ…』
自然と涙が流れる…
今、自身が置かれている立場を考えてしまうと、抑えが利かなくなり涙が溢れてくる…。
一度溢れ出してしまうと、もう、止められない。
遂には春奈は、小さな子供の様に泣き出してしまった。
時を同じくして、屋敷の主であるウォルストールは、早足で春奈の部屋へ向かっていた。
朝早くから女性の部屋を訪ねるなど少々失礼な事だが、何故か言い様のない胸騒ぎがした為、彼女の部屋を訪ねたのだが、ドアの向こうから春奈の泣き声を聞いてしまい、胸騒ぎが的中してしまった事を悟った。
その後、ウォルストールは軽くノックをして部屋に入った。
「…ウォルストールさん…」
「すまん、ハルナ。そなたの泣き声が聞こえたので、返事を待たずに入った事を許してくれ。それよりも、どうしたのだ?何故そんなに泣いている?」
春奈を優しく抱き寄せると、
「…不安…なんです…。このまま…帰れないんじゃないかと…思うと…。」
泣きながら答える春奈を見てウォルストールは何故か、[この娘の悲しい顔は見たくない…。この娘の…笑顔が見たい…。]と言う想いが湧き上がって来ていた。
その頃、牧村家では結局帰って来なかった次女についてどうしたものか頭を抱えていた。
お待たせしまして申し訳ないです!
しかも、短いし…。