第21話 初めての戦闘報告
「夜分遅く失礼します。どうしても今、確認して頂きたいのです。村長さん。」
「それで、本当かね。牛泥棒が、誰なのか分かったと言うのは。ニック殿。」
「『見る事は信じる事』と言います。まずは、ご自身の目で確認すべきです。村長さん。」
こうして、村長を現場まで連れて来たニックだった。
「ややや! これは、どう言う事ですか! この死体の山は! ニック殿!」
「こいつらが、牛泥棒の正体です。『ゴブリン』と言う『魔物』ですよ。村長さん。」
「ごぶりん? ……おお! それなら、聞いた事があります。こいつらが、そうなんですか。」
「では、次に彼等を視え下さい。村長さん。」
「やや! 今日の見回り番です。ニック殿の指示通り急遽順番を、牛を盗まれた夜の担当者に、変更しましたが、こいつら、何をぼーーっとしているんです。ニック殿。」
ここで、ゴブリン・シャーマンの死体を、指さすニック。
「こいつが、かけた『魔法』のせいです。見聞きした事を、記憶できないのです。村長さん。」
「『魔法』……よく分かりませんし、自分の目で見るまでは、信じられませんでした。が、こうして、自分の目で見たからには、信じる事ができます。ニック殿。」
「では、彼等の疑いは、晴れましたね。村長さん。」
「勿論です。しかし、何故こいつらが、見回り番の夜を、狙ったのでしょう。ニック殿。」
ここで、再度ゴブリン・シャーマンの死体を、指さすニック。
「恐らく、こいつが、プロパティの『魔法』を使ったのでしょう。それは、『魔法』のかかり易さを計る『魔法』をです。彼等は、比較的『魔法』にかかり易い体質なのです。村長さん。」
「そんな『魔法』まであるのですか……では、事件解決ですな。ニック殿。」
「実は、そこが問題なのです。未だ事件は、解決していませんよ。村長さん。」
「え! それは、どう言う事です! 牛泥棒は、全て成敗したのでしょう! ニック殿。」
「実は、ゴブリンは、他にもいるのです。村長さん。」
「そんな事、何故言えるのです! まさか、逃げられたのですか! ニック殿。」
「恐らく、こいつらは、転売などしない。なら、前回盗んだ牛は、連中が食べた事になります。が、小柄な体格の連中だけで、牛一頭を3日で、完食できましょうか。村長さん。」
「……確かに、言われて見れば、無理がある。それで、他にもいる訳ですな。ニック殿。」
「この近くに洞窟は、ありませんか。恐らく連中は、そこにいますよ。村長さん。」
「それなら、詳しい者が、村にいます。後程案内させましょう。宜しいですか。ニック殿。」
「ならば、僕達は、一休みして朝から行動しましょう。連中は、夜行性ですから。村長さん。」
こうして、次のステージへと、進めたニックと、ラージャーだった。
* * *
次回予告
第22話 初めての洞窟
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