第20話 初めての博打
「GoooBw!」
準備が、終わった頃、例の3匹が、牛舎に戻って来た。
「成程、どうやって牛を柵の外へ運び出すのかと思いましたが、牛運搬用の荷馬車ですか。
しかも、牛を荷馬車に乗せる為の渡し板まで、持ち出している。
すると、一旦荷馬車に乗せてから、柵の外へ渡し板をかけ直すつもりか。
この柵は、防衛用では無く、鹿や猪除けでしか無い。それを上手く利用しているな。」
すると、ニックの予想通り、荷馬車を柵に横付けするゴブリン共。
更に、1匹だけ、牛舎にやって来る。準備完了の報告に来たのだろう。
牛舎の出入口をくぐった瞬間、ニックの長剣で、人生の終焉を迎えたゴブリンだった。
素早く、ゴブリンの死体を、入り口の死角へと引っ張り込むラージャー。
「GoWBwww?」
牛舎から誰も出て来ない事を、いぶかしむ2匹のゴブリン。そこで、駄目を押す事にした。
ゴブリン・シャーマンの死体の首根っこを、持って戸口で、ぶら下げるラージャー。
更に、ゴブリン・シャーマンの死体の右腕を、動かす。
「後は連中が、ゴブリン・シャーマンに呼ばれている。そう勘違いしてくれれば……。恐らく、遠目だし良く見えない。その可能性は、十分在る筈だろう。頼む、騙されてくれ……。」
等と言う無駄口を叩かないニックだった。
牛歩戦術。
牛舎へ歩を進める2匹。は、牛歩戦術。と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。
某懐古な国会運営とも無関係に相違ない。
連中が、牛舎に歩を進めた事で、さっと、ゴブリン・シャーマンの死体を、出入口の死角へと隠すラージャー。後は、運を天に任せるしかないニックと、ラージャー。
結果、賭けに勝ったのは、彼等の方だった。
牛舎の出入口をくぐった瞬間、ニックと、ラージャーの手で、息絶えたゴブリン共だった。
「ふぃーーっ……やぁーーっと、終わったぜ。やったな。ニック。こんな風に手を出しな。」
「こうですか。ラージャーさん。」
「そうそう、いいぜぇ。オラァッ!」
威勢のいい音を響かせて、手と手を打ち合わせるニックと、ラージャー。
「やったな。ニック!」
「はい。ラージャーさん!」
ああ、仲間っていいなぁ。そんな事を考えるニックだった。
* * *
次回予告
第21話 初めての戦闘報告
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