高額賞金首と盗賊団
詰所の薄暗い壁に、手配書が乱雑に貼られている。
その中でひときわ目を引くのは、赤い縁取りがされた一枚の紙だった。
「これが……高額賞金首か」
ショウイチは額に汗を滲ませながら、手配書の男の顔写真を見つめた。
盗賊団の頭領、サリオン。多くの盗賊を従え、周辺の村を震え上がらせている危険人物だ。
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準備は万端だった。
防刃ベストは腹部をしっかりガードし、ヘルメットが頭を守る。
木刀は手に馴染み、ナイフは鋭く光った。
「さあ、行くか」
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盗賊団の拠点は山奥の廃墟。
夜の闇に紛れ、ショウイチは静かに忍び寄った。
最初に出くわしたのは二人の盗賊。
「なんだ、誰だ!」と叫ぶ間もなく、ショウイチの右ストレートが顎を捉え、二人は地面に崩れ落ちた。
一人、また一人と、剣術と格闘技の技術を駆使し、ショウイチは盗賊たちを次々と倒していく。
息を切らす暇もない。
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そしてついに頭領サリオンと対峙した。
彼は両手に短剣を持ち、二刀流の構えでにらみつける。
「俺の縄張りに踏み込む奴は許さねぇ!」と叫び、狂気じみた目で襲いかかってきた。
ショウイチも木刀を構え、互いの刃が火花を散らす。
激しい攻防の中、サリオンの刃が防刃ベストに何度も当たり、衝撃が腹に響く。
木刀と短剣の高速の攻防に、ショウイチは苦戦を強いられた。
「クッ……!」
一瞬の隙を突かれ、サリオンの短剣が肩に浅く切り込む。
「まだだ……終わらせねぇ!」
ショウイチは冷静に間合いを取り直し、逆襲の一撃を繰り出した。
サリオンの狂気じみた目が揺らぎ始めた。
ショウイチはひたすら「面」を連打する。
木刀が頭部に叩き込まれるたび、金属音のような衝撃が走り、サリオンの動きが鈍くなる。
「ぐ……うああああ!」
サリオンの体が徐々に崩れ、地面に膝をつく。
だが、完全には意識を失わず、倒れ伏す寸前で必死に抵抗する。
「終わりだ……」
ショウイチは冷静に最後の一撃を放つと、サリオンは力尽きた。
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その瞬間、遠くから駆けつけた衛兵の足音が響く。
「ショウイチ殿、状況はどうだ!」
衛兵たちは倒れ伏したサリオンを押さえ、無事捕縛。
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報奨金の袋には、ずっしりと金貨20枚が詰まっていた。
ショウイチの目が輝く。
「これで、しばらく食いっぱぐれはないな」
しかし詰所で治療を受ける段になって、状況は一変する。
衛兵の一人が民間療法らしいものを取り出した。
「これが最高の薬だ」
次の瞬間、ショウイチの傷に塩が塗られ、続いて馬糞を薄く伸ばし始めた。
「な……なんだこれは!」
ショウイチは激しく身をよじった。
「異世界の療法はな……侮れんぞ」
その夜、彼はうめきながらも異世界の恐ろしさを身をもって知ったのだった。
その後、まるふく商店に戻りしっかり消毒したのだった。