『夏のかき氷大繁盛』
盗賊団を捕まえてから数か月、暑さが街を包み込んだ。
まるふく商店の店先には、涼を求める人々の列が途切れなく続いている。
厨房の片隅には、昔ながらのかき氷機が鎮座していた。
ショウイチは在庫整理の際に見つけたその機械を、夏に向けて試運転していたのだ。
「これを使わない手はないな」
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シロップは市場で見つけたレモンが命だ。
ショウイチはレモンの外皮だけを丁寧に剥ぎ取り、砂糖水の中でじっくり煮詰める。
皮から出る爽やかな香りとほのかな苦味が、甘さの中に絶妙なアクセントを添える。
「これが本物のレモンシロップだ」
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かき氷は単純だが、絶妙なシロップが評判を呼んだ。
子供たちは歓声を上げ、大人たちは冷えた甘さに顔をほころばせる。
常連客は当たり前のように注文し、涼を楽しんでいた。
だが、貴族の来客は違った。
「夏にこれほど氷を使うとは……」
侯爵家の若き令嬢は驚きの声を隠せず、氷の冷たさに手を震わせた。
「まるで別世界の飲み物のようだわ」
彼らにとって氷は贅沢品。
そんな氷を惜しげもなく使う庶民の店に、敬意と驚嘆が混じった視線が注がれた。
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材料費はレモンだけという驚異のコストパフォーマンス。
ショウイチは売上を計算しながら、思わず笑みを漏らす。
「材料費はレモンだけ、これで行列ができるんだからな……この世界、本当に美味い話ばかりだ」
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夏の終わりまで、まるふく商店のかき氷は街の風物詩となった。
そして、ショウイチは新たな挑戦を胸に秘め、次の一歩を踏み出すのだった。




