新たな問題三
大会は大成功に終わり、翌日には盛大な表彰式が執り行われた。
グランツ侯爵自らが壇上に上がり、ショウイチとカイル、そしてその他優秀な騎士たちに勲章を授与した。
「皆の努力があってこその勝利だ。今後も領地のために尽力してほしい」侯爵の言葉に会場は拍手喝采に包まれた。
夜の宴会では酒が振る舞われ、料理人が腕を振るった特製料理に舌鼓を打ちながら、参加者たちは和やかに語り合った。
だが宴の終盤、侯爵は珍しく泥酔していた。
「ショウイチよ、今宵もう一度勝負だ!今度は本気で挑むぞ!」と絡みだし、周囲の笑いを誘った。
ショウイチは苦笑いしながらも、「今度は勘弁してくださいよ、侯爵」と返した。
しかし、宴の賑わいの裏で、領地に新たな緊張が漂い始めていた。
近隣の強国が兵を動かし、戦の気配が日に日に濃くなっているのだ。
グランツ侯爵は静かに報告を受けていた。
「我々は直接の戦闘は避けたいが、王からは必ず派兵や支援物資の提供を求められるだろう」侯爵は重い表情で話した。
保存食工場とまるふく商店は、戦時の兵站を担う重要な拠点となる。
ショウイチとリナも、これからの厳しい時代を覚悟せざるを得なかった。
「今こそ領地の結束を固め、万全の備えをしていく時だ」侯爵の決意に、皆が頷いた。
戦いの影が迫る中、穏やかな日々は終わろうとしていた。
数週間後、ついに隣国との戦争が正式に勃発したという報がグランツ領にも届いた。
戦端は開かれ、王から正式に派兵と戦時物資の供給要請がなされたのだ。
グランツ侯爵は重々しい面持ちで執務室にて会議を開いた。
「我々が直接戦場に出ることはない。しかし、戦争を支える兵站を完璧にしなければならん」
男爵ショウイチ、そしてリナ、騎士団長たちも参列し、緊張感が会議室を包んだ。
派兵される兵士たちはまず厳しい訓練を経て戦地に向かう。
一方、まるふく商店の保存食工場はフル稼働で兵士向けの食糧を製造し、グランツ領からの支援物資として戦線に送られた。
保存食は缶詰や味噌汁、ビーフシチューなど日持ちと栄養に優れたものばかり。
兵士たちの士気を支える重要な役割を担った。
リナは工場の運営に目を光らせ、ショウイチは派兵された部隊の訓練支援に奔走した。
毎日届く戦況報告は緊迫感を増し、侯爵領全体が戦時体制へと突入していった。
「我々の力はまだまだ必要とされている。領民のためにも、しっかり支えていこう」侯爵の言葉に全員が心を引き締めた。
こうしてグランツ領は、戦場で戦う兵士と、背後から支える食糧と物資の供給拠点として激動の時代を迎えたのだった。




