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氷の重要性


店では「侯爵!」と名付けられたブルーベリーとイチゴのダブルシロップかき氷が大人気となり、連日売り切れ続出だった。客たちは「これは夏の風物詩だ」と喜び、まるふく商店はすっかり賑わいを更に増していた。





ある日、医者がまるふく商店を訪れた。手に診療道具を抱えながら、少し困った顔でショウイチに話しかける。


「ショウイチさん、ちょっとお願いがあります。打撲や捻挫の患者さんたちの腫れを冷やすために氷が必要なのですが、病院には氷を作る機械がなくて…。もし氷を分けてもらえたら助かるのですが」


ショウイチは製氷機の存在を知っていたが、医者はまったく知らなかったことに気づいた。


「なるほど、氷を冷やすために使いたいんだな。しかし、今うちの製氷機と冷蔵庫で作れる量は、店のかき氷でいっぱいなんだ。これ以上は簡単には増やせそうにない」


医者は顔を曇らせた。


「そうですか…。でも、患者のためにどうしても氷が必要なんです。何とかならないでしょうか?」


ショウイチは一瞬考え込み、店の中を見渡した。


「氷の需要は増えるばかりだ。医療用も、夏のかき氷も、どちらも大切だ。設備を増やすか、保存できる環境を作るか、何か策を考えなければならないな」


そこへリナがやってきて、


「侯爵の倉庫には涼しい場所があると聞いています。そこを活用できれば、氷の保存が効率的になるかもしれません」


ショウイチは頷いた。


「よし、侯爵に相談してみよう。うまく協力してもらえるはずだ」


こうして、医療現場にも欠かせない氷の増産に向けて、ショウイチは新たな動きを始めたのだった。



ショウイチはリナとともにグランツ侯爵の居城を訪れた。侯爵は膨大な書類の山と執務に追われていたが、氷の問題を聞くとすぐに顔を上げた。


「医療用の氷の需要が増えているとな。これは看過できぬ問題だな」


侯爵は書類を脇に置き、じっと考え込んだ。


「この世界に製氷機はない。まるふく商店での製氷も限界があるだろう」


「はい。今ある設備で作っている氷は食用と区別できず、医療用としては流通が難しい状況です」


侯爵は言った。


「ならば、医療用氷には塩を混ぜて冷却効果を高め、なおかつ味を変えて食用には適さぬようにせよ。転売対策になるはずだ」


ショウイチは納得し、


「確かに塩入り氷なら溶けにくく、医療用として差別化もできる。転売防止にも効果的です」


侯爵は執務の合間に、


「まるふく商店が領内の健康を支える重要な役割を果たしているのは知っている。支援は惜しまぬ」


リナも力強く、


「侯爵様のお言葉に感謝します。私たちも製氷の作業効率を上げる工夫をして、安定供給を目指します」


侯爵はにっこり微笑み、


「まるふく商店の名に恥じぬ活躍を頼むぞ」


こうして侯爵の執務の隙間を縫い、医療用塩入り氷の製造が始まったのだった。


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