はじまりの日
穏やかな田舎町。
小さな町に唯一存在する中学校。
町の住民が巣立ってきた場所。
仲間と出会い、共に笑って、共に泣いて、そうしてみんな、大人になっていく。
そして今年も、新たな出会いがやってくる。
あの扉の向こう側で。
四月、幼さの残る子供達が、ぴしっと制服を着て自転車に乗っている。
まだぶかぶかなそれは着ている、というより着せられている、という表現が合う。
今日は中学校の入学式。
皆がはやる気持ちを抑えて登校してくる。
一年生は、どうしようもなくどきどきして、いつもより大人しくなる。
二年生は、初めて出来る後輩という存在に、そして初めて先輩になれるということに、わくわくしている。
三年生は、中学生活最後の部活のため、新入部員獲得に燃えていた。
自転車小屋が、真っ黒な服の人と、ぴかぴかの自転車でいっぱいになっていく。
小学校時代の友達を見付けては、安堵し、みんな、運命のクラス発表を見に行く。
ざわざわと騒がしい校舎前。
友人との久しぶりの再会に喜ぶ声、一緒のクラスになりたいね!という声、友人とクラスが離れてしまって落胆する声。
このクラス発表は、とても大切なものだ、最初からひとりになってしまうか、一緒にいる子ができるか、それはクラスの居心地のよさによると思う。
今日はいい天気。
新しい生活が始まるにふさわしい、出会いの季節。
桜が舞い散り、新鮮な出会いをもらたす日。
新しい制服に新しい生活。
見慣れた顔、知らない顔。
少し古びたこの校舎。
どきどき、わくわく、そして緊張。
ここからはじまる物語。




