Season 2 - Episode 8: Dharma Beans Celebration
登場人物
田所家
健一/元ハリウッド映画主演、原作者
カヨ/健一の妻、カリスマ、管理魔
トシキ/健一の息子、パン屋でバイト
シンディ・ゴールドバーグ/トシキの彼女、カヨの弟子、ルイーズの娘
ルイーズ・ゴールドバーグ/シンディの母、UCLA教授、マッドサイエンティスト
アラン・ゼンズバーグ/詩人、ルイーズの兄
ジェイク・ケンドリック/作家、詩人、アランの親友
サーシャ(アレクサンドラ・カラマゾヴァ)/ベーカリー三姉妹三女、心優しいカトリック、神様憑き
ミーチャ(ドミトリア・カラマゾヴァ)/ベーカリー三姉妹長女、陽気な店の看板娘
ブレイディ・ヴァーデン/役者の卵、おバカ
スティーブン・シュピーガー/ハリウッド巨匠監督
地獄谷・劫火/謎の便所詩人、便所のスナフキン
他
シーン1: 到着
Dharma Beans、深夜
カフェ、薄暗い照明。
全員、続々と入ってくる。
アランが、ドアを開けた。
「Welcome to Dharma Beans!(ダルマ・ビーンズへようこそ!)」
店内、いつもの日本風カオス。
仏像、禅の掛け軸、7-Elevenのポスター。
日本文化が不自然に並べられ、もはや異世界だ。
スティーブン・シュピーガー、店内を見回した。
「This is… unique.(これは…ユニークだ)」
ジェイクが、笑った。
「That’s one way to put it.(そう言えるかもな)」
エマとルピタ、興奮している。
「Oh, I remember this place! The weird poetry reading café!(ここ、久しぶり!変な詩の朗読の店!)」
カヨ、健一、トシキ、シンディも入ってくる。
ヴィクター、イヴァンナ、ミーチャ、サーシャも続いた。
ブレイディ、まだ興奮している。
「This place is AMAZING!(ここ、スゴいな!)」
アランが、カウンターに向かった。
「Alright! Coffee, tea, sake, beer! What does everyone want?(よし!コーヒー、お茶、日本酒、ビール!みんな何がいい?)」
シーン2: 注文と座席
カウンター
ヴィクターが、声をあげた。
「Beer. Cold.(ビール。冷たいやつ)」
アラン、笑った。
「Coming right up.(すぐ出す)」
イヴァンナ「Green tea, please.(緑茶をお願い)」
ミーチャ「I’ll have a beer.(ビールを)」
サーシャ「Water is fine.(水で大丈夫です)」
ブレイディ「Beer, obviously!(もちろんビール!)」
健一「Same. One beer.(同じく。ビール一杯)」
カヨ「Green tea.(緑茶)」
スティーブン・シュピーガー「I’ll try the sake.(日本酒を試してみる)」
エマ「Beer!(ビール!)」
ルピタ「Same!(同じく!)」
ルイーズ「Black coffee.(ブラックコーヒー)」
ルイーズは、タブレットを取り出した。
トシキが、小声でシンディに。
「Your mom… is she…?(君のママ、もしかして……)」
「Looks like it.(また始めてるみたいね)」
アラン「Toshiki! You drink, right? Try the sake!(トシキ!お前も飲めるんだろ?日本酒いってみろ!)」
「Uh… I mean, I can, but…(え?まあ飲めますけど…)」
「Hey, don’t worry about Kayo and Cindy’s faces! You’re young — enjoy it!(おいおい、カヨとシンディの顔色なんか気にすんな!若者ももっとアルコールを楽しめ!)」
カヨは、無言でそのやり取りを見ていた。
シーン3: ジェイクの朗読
アランが、立ち上がった。
「Alright, everyone! Jake’s going to read something new!(よし、みんな!ジェイクが新作を読む!)」
拍手。
ジェイク、少し照れくさそうに立ち上がった。
ノートを取り出した。
「This is… something I’ve been working on. It’s about going back. To face what you left behind.(これは…取り組んでたもの。戻ることについて。置いてきたものに向き合うために)」
深呼吸。
そして、読み始めた。
“Naked in New York”
I haven’t been back in a long time.
(ニューヨークにはずっと行ってない)
But lately I find myself thinking about it more.
(だが最近は考える事が増えたんだ、あの街の事)
The days I ran wild.
(騒ぎまくっていた日々)
The days I did only what I wanted, wherever the wind took me.
(気の向くまま、やりたい事だけをしていた日々)
I thought that was beautiful.
(それこそ、自分に正直に生きる、美しい事だと思っていた)
Living honest. Living naked.
(正直に。剥き出しで生きていた)
I hurt a lot of people.
(多くの人を傷つけた)
Some of them mattered.
(傷つけた人の中には大切な人も混じっていた)
And I lost them.
(そして失った)
The book sold.
(本は売れた)
But nothing inside me was filled.
(だが心は満たされる事はない)
So I’ve decided to go back.
(今度こそニューヨークに行こうと思った)
Maybe no one remembers me anymore.
(もう誰も俺のことなんか覚えていないかもしれない)
Maybe some still hate me.
(今でも恨まれてるかもしれない)
I know what this is.
(分かってるさ)
This is self-indulgence.
(これは単なる自己満足だ)
No one’s going to forgive me.
(誰に許される訳でもない)
Nothing’s going to be resolved.
(何も解決することもないんだろう)
But I’m done postponing.
(ただ、これ以上の先延ばしはもうしたくないんだ)
ジェイク、読み終わった。
静寂。
そして。
拍手。
小さく、でも温かい。
スティーブン・シュピーガーが、言った。
「Jake…that was beautiful. I felt your naked heart in that.(ジェイク…美しい詩だ。君の剥き出しの心を感じたよ)」
ジェイクは、少し笑った。
「Thanks. I’ve been thinking about it a lot lately. Maybe I’m just getting old.(ありがとう。最近ずっと考えてたんだ。年なのかな?)」
アランが、グラスを置いた。
「You’re actually going to do it?(本気かよ)」
「I’ll regret it if I don’t. I’ve had that feeling for a while.(行かなきゃ後悔するんじゃないかって気がしてたんだ)」
「What’s Stella up to these days? Still in New York?(ステラは今何してるんだ、まだニューヨークにいるのか?)」
「Still there, apparently. The guy in Taos told me.(いるらしい。タオスのアイツが言ってた)」
カヨが、小声で健一に。
「何十年も前の事なのよね」
「ああ。だけど彼にとっては必要なことなんだと思う」
シーン4: シュピーガーのアドバイス
スティーブン・シュピーガーが、ブレイディを呼んだ。
「Brady. Can I talk to you for a minute?(ブレイディ。ちょっと話せるか?)」
ブレイディ、少し緊張している。
「Of course.(もちろんです)」
スティーブン・シュピーガー、話し始めた。
「Do you remember what I said earlier? You’re not a film actor. Your performance is big. The camera can’t contain it.(さっき言ったのを覚えているかな?君は映画俳優向きじゃない。君の演技は大きいんだ。カメラでは伝わりづらい)」
「I remember. You said that.(覚えています。おっしゃってましたね)」
「But.(だが)」
ブレイディ、顔を上げた。
「But?(だが?)」
「Have you ever thought about sitcoms?(シットコムを考えた事はあるかな?)」
「Sitcoms?(シットコム?)」
「Yes. Multi-camera sitcoms. Performed in front of a live audience. Like theatre — but on TV.(そう、マルチカメラ・シットコム。観客の前で演技する。演劇みたいなものだ。だがテレビだ)」
「I…I never thought about that.(それは考えたことなかったです)」
「You should. Your energy, your timing, your ability to switch between characters? That’s PERFECT for sitcoms. Think about it. Live audience. Immediate reaction. You feed off their energy.(君は本気で考えるべきだよ。君のエネルギー、間の取り方、キャラの切り替え…どれもシットコムにうってつけなんだ。想像してみてくれ、実際観客がいて、反応もスグに帰ってくる。君はその空気を感じて、更に力を発揮できるタイプだ)」
ブレイディ表情が少しずつ明るくなる。
「Like… like a stage. But also TV.(舞台みたいにライブで。でもテレビって事ですね)」
「Exactly. And sitcoms need actors who can commit fully. Who can be big, funny, emotional, all at once. That’s you.(その通りだ。シットコムには全力で振り切れる役者が必要なんだ。大きく、面白く、感情も出せる人間。まさに君だよ)」
ミーチャ、隣で聞いていた。
興味深そうに。
「I agree. His gestures are always big, and his expressions are so rich.(確かに、私もそう思います。彼は仕草もいつも大きいし、表情も豊かです)」
スティーブン・シュピーガーが、続けた。
「Film is subtle. The camerawork is different. But sitcoms require a different kind of talent — performances big enough to reach the back row. And you have that.(映画は繊細だ。カメラワークも違う。だがシットコムはそれとは違う才能が必要なんだ。遠くからでも伝わるような、大きな演技が必要だ。そして君にはその才能がある)」
「I can’t believe you’re saying that. I love film, but I love sitcoms too.(そんな風に言ってもらえるなんて。映画は大好きだけど、シットコムも大好き)」
「Good. I think it’ll work out. Because tonight, you showed me exactly why.(それはよかった。きっと上手くいくよ、そう思えるパフォーマンスを今夜君はしていたからね)」
ミーチャが、言った。
「You were wonderful tonight, Brady. And honestly? You’re already like a sitcom character — the way you talk, the way you move, all of it.(今夜あなたは素晴らしかったわ。それに、あなた自身、シットコムのキャラクターみたいじゃない?普段の話し方や仕草全て)」
「Really? Now that you say it… I kind of see it.(ホントに?言われてみると、そんな気がしてきた)」
「Right? And tonight, you played so many different characters — I lost count. It was the perfect stage for your talent, looking back.(でしょ?それに今夜の舞台、色んな人格をやってたでしょ?1人何役やってるのかわからないくらい。あなたの才能を発揮するための舞台だったわね、今思えば)」
「Thank you. Both of you. I think I know where I’m headed now.(ありがとう、2人とも。目標がハッキリしてきたよ)」
スティーブン・シュピーガーが、肩を叩いた。
「Good. If you need introductions, just say the word. I know people.(どういたしまして。もし紹介が必要なら相談して、知り合いもいる)」
「You’d… introduce me?(あなたが僕を。紹介してくれるんですか?)」
「Of course. Talent deserves to be seen.(もちろんだ。才能は見られるべきだ)」
シーン5: トシキ、シンディ、サーシャのテーブル
別のテーブル
トシキ、シンディ、サーシャが座っている。
エマとルピタも加わった。
シンディが、サーシャに聞いた。
「Sasha, what did you think? About the play?(サーシャ、舞台の感想は?)」
サーシャ、少し考えた。
「It was a strange story. Incredibly chaotic — but I felt like there was something important in it.(不思議な話だったわ。ものすごく混乱した話だったけど、大切なメッセージもあった気がする)」
トシキが、頷いた。
「Yeah. It was pure chaos, but somehow it ended up meaning something.(そうだね、めちゃくちゃなコメディなのに、結果は深い意味があった、みたいな)」
サーシャは、微笑んだ。
そして。
声が、少し変わった。
穏やかに。
でも、深く。
「Interesting. This kind of chaos… it’s not something I’ve observed much. Disorder, embraced rather than eliminated.(なかなか興味深かった。混乱、無秩序、それらは取り除くべき対処のはずだ。だがこの劇では受け入れるべきものとして描写されていた)」
シンディが、気づいた。
「…God?(神様?)」
サーシャ(God)、頷いた。
「Yes. I saw a set of values different from the order I created. But I sensed no malice.(ああ、私の作り上げた秩序とは違う価値観をみた。だが、悪意は感じない)」
エマとルピタ、目を丸くした。
「Wait — what did she just say?(え?何言ってるの?)」
「Did she say… God!?(神様って言った?)」
トシキが、小声で説明した。
「It’s not a split personality or anything like that. She’s actually God. Literally residing in Sasha.(二重人格とか、そういう事じゃないんだ。本当の神様みたい。サーシャに宿ってる)」
エマ、完全に固まった。
「No way. That’s impossible.(冗談よね、ありえないでしょ?)」
ルピタも頷いた。
「I can’t process this. You mean THE God?(ちょっと頭が追いつかない、ホントにあの神様って事?)」
サーシャ(God)、穏やかに。
「That depends on how you interpret what I am to you.(どうだろうな、君たちにとって私が何であるのか、という問いには多くの解釈がある)」
周囲のテーブルも気づき始めた
アランが、振り返った。
「Wait — did she just say God?(今、神様って言ったのか?)」
ジェイクも驚いた。
「Oh my God. There’s actually a God in this café?(オーマイゴット!この店に神がいるって事か?)」
カヨが、落ち着いて続けた。
「Yes. There’s a God inside Sasha. We don’t fully understand it either — but apparently He’s observing humanity. Learning.(そうなの、サーシャの中に神様がいるのよ。私たちも完全には理解してないけど、人を観察して学んでるって事みたい)」
「Is that… actually true?(本当なのか?)」
「Apparently.(そうみたい)」
ジェイクが、少し笑った。
「Hey… I’ve got a Buddha statue at home. Is that gonna be okay?(おい、大丈夫かよ、仏像の置物は置いておいていいのか?)」
スティーブン・シュピーガーも、笑った。
「This night just keeps getting stranger.(この夜はどんどん奇妙になっていくね)」
ブレイディ、完全に混乱。
「Wait — Sasha is God? And Mitya… is God’s sister?(待って、サーシャは神様?ミーチャは?神様のお姉さん?)」
ミーチャが、落ち着いて。
「Calm down. I don’t fully understand it all either — but God is kind, and thoughtful, just like Sasha.(ちょっと落ち着いて。私も完全に理解してる訳じゃないけど、サーシャと一緒で神様も理解の深い、優しい人よ)」
サーシャ(God)、続けた。
「Tonight’s performance was interesting. The idea of accepting chaos rather than eliminating it. The values of this era shift. Perhaps this way of thinking is what saves people now.(今夜の公演は興味深かった。混乱を排除ではなく、受容するという考え方。世の中の価値観は移り変わっていく。今の時代はその思考が人々を救う、という事なのか)」
エマが、恐る恐る。
「So… you liked it?(気に入った、という事ですか?)」
サーシャ(God)、少し考えた。
「I felt it was important for understanding people. Humans hold contradictory thoughts. But that may not be a flaw — it may be what keeps them in balance.(人を理解するのに重要なものだと感じた。矛盾した思考を人は抱えている。が、それは欠陥ではなく、バランスを取るために必要なのかもしれない)」
ルイーズ、データを取りながら。
「Fascinating. God is engaging in psychological reasoning.(興味深い。神が心理学的な思考を巡らせている)」
トシキが、小声でシンディに。
「Your mom is trying to counsel God.(君のママ、神様をカウンセリングしようとしてるよ?)」
「I know…(そうね…)」
「Most people would be praying right now.(手を合わせて懺悔するでもなく)」
「She’s not most people.(まあ、ママは普通じゃないから)」
シンディは、苦笑いした。
サーシャ(God)、穏やかに笑った。
「Curiosity is what drives human growth. Humans have studied the idea of Me for millennia. But being observed directly as data? That’s new.(好奇心は人を成長させる。人間は何千年も私という概念を研究してきた。だが直接データとして観察されるのは初めてだ)」
声が、普通に戻る。
サーシャ、少し照れくさそう。
「Sorry. He gets excited when He sees something new.(ごめん。彼は新しいものを見ると興奮するの)」
エマ、まだ呆然としている。
エマが、呟いた。
「Tonight is the strangest, most amazing night of my life.(今夜は最高に奇妙な夜ね)」
シーン6: 地獄谷・劫火、到着
その時
カフェのドアが開いた。
地獄谷・劫火が入ってくる。
黒い服。
無表情。
アランが、気づいた。
「Gouka! You made it!(劫火!来たか!)」
劫火、小さく頷いた。
「Heard there was poetry. And chaos. Couldn’t miss it.(詩とカオスがあるって聞いたからな、来ない理由はないだろ)」
ジェイクが、笑った。
「You’re just in time. I just read something new.(ちょうどいい。新作を読んだところだ)」
劫火、座った。
便所の方を見た。
「How’s the wall of truth? What’s it like now?(真実の壁は?今はどうなってる?)」
「Still sacred, of course. People keep writing on it. You started that.(もちろん神聖なままさ、みんな書いてる。君が始めた事だ)」
劫火、笑った。
「Good to hear. Truth needs to be written down.(そうか、そいつは嬉しいな、真実は書き留めなきゃな)」
スティーブン・シュピーガーが、劫火を見た。
「Who’s this?(この人は?)」
アランが、紹介した。
スティーブン・シュピーガーが、劫火を見た。
「Who’s this?(この人は?)」
アランが、紹介した。
「Gouka Jigokutani. Philosopher, poet. Writes on toilet walls. Shows up out of nowhere and cuts straight to the truth — the Snufkin of the bathroom.(地獄谷劫火だ。哲学者、詩人。便所の壁に書く。たまに現れて本質を語る、便所のスナフキンてとこだな)」
スティーブン・シュピーガー、驚いた表情を浮かべた。
「Toilet walls?(便所の壁?)」
劫火、頷いた。
「Yes. Toilets are where people are honest. No masks. No performance. Just truth.(ああ。便所は人が正直になる場所だ。仮面なし。演技もない。ただ真実だけだ)」
アランが、続けた。
「He wrote something beautiful on our toilet wall a while back. So I declared it sacred. The ‘Wall of Truth.’ Now anyone can write on it.(しばらく前に彼が便所の壁に美しいものを書いた。だから神聖だと宣言した。『真実の壁』。今は誰でも書ける)」
スティーブン・シュピーガー、興味深そう。
「A sacred toilet. That’s… fascinating.(神聖な便所、それは、興味深い)」
「That’s right. Truth lives there.(そうだ、そこには真実が宿っている)」
ジェイクが、言った。
「I’ve written on it too. About the past. About what lies beyond the road.(俺も書いた。過去や道の彼方の事を)」
アラン「I wrote about dharma. And zen.(俺も法について書いた。そして禅について)」
劫火、少し笑った。
「Zen. Your own kind of zen.(ああ、君独自の禅だな)」
エマが、興奮した。
「Can I see it!? The wall!?(見ていい!?その壁!?)」
アラン「Of course! It’s open to everyone.(もちろん!みんなに開かれてる)」
ルピタ「I want to write something!(何か書きたい!)」
ブレイディも立ち上がった。
「Me too! After tonight, I have to!(俺も!今夜は、書かなきゃ!)」
アランが、笑った。
「Go ahead. The wall is waiting.(どうぞ。壁が待ってる)」
シーン7: 便所の壁
便所
エマ、ルピタ、ブレイディ、トシキ、シンディが入ってくる。
壁一面、落書き。
でも、ただの落書きじゃない。
詩。
哲学。
真実。
地獄谷・劫火の最初の詩
便所は真実の壁だ
俺たちは此処で嘘をつかない
糞と共に、虚栄も流す
残るのは、ただの人間
ジェイクの詩:
I walked every road I could find.
Took what I wanted.
Left what I didn’t.
The road doesn’t end.
It just turns
into someone else’s beginning.
アランの詩:
The dharma doesn’t shout.
It waits.
In the noise.
In the space between words.
Did you find it?
I’m still looking.
エマ、感動している。
「This is… beautiful.(これは…美しい)」
ルピタ、ペンを取り出した。
「I’m writing something.(何か書く)」
壁に書き始めた。
I came to LA looking for stories.
I found truth in chaos.
Thank you.
- Lupita
エマも書いた。
Kayo taught me strength.
This place taught me honesty.
Both are sacred.
- Emma
ブレイディ、少し考えた。
そして、書いた。
I kept failing.
I kept going.
In the people I met, there was a chance.
Beyond the chance, there was a dream.
Thank you, everyone.
シンディも書いた。
I'm learning to see chaos as beauty.
Maybe that's wisdom.
- Cindy
トシキ、少し考えて書いた。
神聖な便所。
禅カフェに神様。
LAは狂ってる。
最高にストレンジだ
- Toshiki
全員、壁を見た。
静かに。
ブレイディが、小声で。
「This is sacred.(これは神聖だ)」
エマも頷いた。
「Yeah. It really is.(ええ。本当にそう)」
シーン8: 深夜の終わり
Dharma Beans、メインエリア
全員、便所から戻ってくる。
ブレイディ、まだ感動している。
「That wall… it’s special.(あの壁は…特別だ)」
アランが、微笑んだ。
「That’s right. Truth has to be written down somewhere.(そうだ、真実はどこかに記さないとな)」
劫火、カウンターでビールを飲んでいる。
「Not bad. Everyone’s true voice.(いいじゃねぇか、みんなの真実の声だ)」
スティーブン・シュピーガー、立ち上がった。
「I should get going. Long drive back to San Francisco. But this… this was a remarkable night.(そろそろ行かないと。サンフランシスコまで長いドライブだ。でもこれは…驚くべき夜だった)」
ブレイディ、立ち上がった。
「Thank you. Your words meant everything to me. And now I have a real goal.(ありがとうございます。あなたの言葉に僕は救われました。そして改めて目標ができました)」
スティーブン・シュピーガー、肩を叩いた。
「You’ll do well. I believe your goal is anything but a dream.(君は上手くやれるだろう。君の目標は決して夢じゃないと信じてるよ)」
「Thank you. I won’t let you down.(ありがとうございます、必ず期待に応えます)」
スティーブン・シュピーガーが、カヨに向き直った。
「Kayo. Tonight was a pleasure, as always.(カヨ、今日も楽しかったよ)」
「Thank you for coming, Steven.(来てくれてありがとう、スティーブン)」
「Kenichi — tonight was tough on you. But you made it entertaining.(健一、今日は大変だったな。だけど楽しませてもらった)」
健一、少し笑った。
「Kenichi — tonight was tough on you. But you made it entertaining.(健一、今日は大変だったな。だけど楽しませてもらった)」
「Thank you. But I never want to do it again.(ありがとうございます。もう二度とやりたくないですけど)」
「Fair enough. But you have a talent for writing. I’ll be watching.(まあいいさ、君には執筆の才能があるからな。これからも注目してるよ)」
「Thank you. That means a lot.(ありがとうございます)」
エマとルピタも立ち上がった。
「We have to get going too. Early flight tomorrow.(私たちも行かなきゃ。明日のフライト早いし)」
アランが、手を振った。
「Safe travels. You’re always welcome here.(気をつけて、いつでも遊びに来て!歓迎するよ)」
「We’ll be back!(また来ます!)」
数分後
スティーブン・シュピーガー、エマ、ルピタが去った。
静かな雰囲気。
ヴィクターが、ビールを飲み干した。
「Good night. Lots happened today.(いい夜だったな、今日は色々あった)」
イヴァンナが、少し笑った。
「Papa, you’re in a good mood tonight.(パパ、今夜は機嫌いいわね)」
「Because you’re not nagging me.(お前にぶつぶつ言われてないからな)」
ミーチャが、ブレイディを見た。
「Brady, you were truly wonderful tonight.(ブレイディ、今夜は本当に素晴らしかったわ)」
「Thanks, Mitya. Hearing that from you means the most.(ありがとう、君に言ってもらえるのが1番嬉しいよ)」
サーシャが、静かに言った。
「I thought so too. Having something you can throw yourself into completely… that’s remarkable.(私も素晴らしかったと思う。あんなに打ち込めるものがあるって、すごいなって)」
「Thank you. All of you.(みんな、ありがとう)」
アランが、立ち上がった。
「Alright, it’s getting late. But before we go — one last toast.(もうかなり遅くなったな、それじゃあ最後に、乾杯するか)」
全員、グラスを持った。
ビール、日本酒、コーヒー、お茶。
何でもいい。
「To Brady, who gave us one hell of a show. To truth. To chaos. To the God who embraced it. And to Kenichi, who took hit after hit and kept standing.(最高の舞台を見せてくれたブレイディに、真実に、カオスに、それを受け入れてくれた神に、殴られ続けた健一に)」
全員、笑った。
そして。
「Cheers!(乾杯!)」
カメラ、ゆっくりと引いていく
Dharma Beansの外観。
看板が光っている。
「Dharma Beans - Where Truth Lives」
暗転
シーズン2
完
読んでいただきありがとうございました。
次回から新連載、シーズン3が始まります。
6月4日 8時公開です。引き続きよろしくお願いします!




