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魔剣と聖剣の勇者  作者: 佐久間
9/13

8話:新たな仲間


 それから俺達は二階層、三階層、四階層と順調に進んで行き、ついに十階層に辿り着いた。

 迷路では十階層ごとにボス部屋があり、そのボスを倒さないと先の階に行けない仕組みになっている。

 そのボス部屋の前には、一組のパーティーが順番を待っている。


「よぉ、お前もボスに挑戦するのか?」


 そのパーティーの、リーダーらしき男が俺に声をかけてくる。


「ああ、そうだ」

「ソロで潜ってるのか?」

「まあな。お前らは何層まで行ったことがあるんだ?」

「俺達は、二十五層までだ。前は食料が保たなくてな。でも今回は、アイテムボックス持ちを雇ったから、三十層までは行くつもりだ」

「そうなのか。まあお互い頑張ろうぜ」

「おう」


 そう言って男は、踵を返してパーティーに戻っていく。一応鑑定しておくか、二十五層まで行ったからには、それなりだろう。

 俺はそう思い、パーティーを順番に鑑定していく。リーダーの男のレベルは30、他は25、28、24、26、平均26ぐらいか。

 一応アイテムボックス持ちの女も、鑑定しておくか。


名前:イリス

種族:竜人

性別:女

年齢:18


LV.35

HP:500

MP:470

STR(筋力):670

DEF(防御力):550

AGL(素早さ):600

LUK(運):50


スキル

身体強化LV3

威圧

物理攻撃耐性LV2

魔力撃


固有スキル

竜化

アイテムボックス


 ブッ!!!なんじゃこれ!どうなってんだ。俺は思わず吹き出してしまった。いや、普通おかしいだろ、リーダーよりも強いって。

 雇ったって言ってたけど、こんなに強いなら、一人でも金は稼げるだろうに。

 何か事情があるのか?それに竜人族って初めて見たな。

 たしかに肌が鱗みたいになってるな。しかも筋力高すぎだろ!それに竜化ってことは、竜になるってことだよな。なんか凄いな。

 

 暫く立つと、ゴゴゴ… そんな音とともに、扉が開く。

 

「そんじゃ、俺達は先に行くぜ」

「ああ、気をつけろよ」


 パーティー全員が中に入ると、扉が閉まる。


『あの女は、竜人族じゃ』

「わかるのか」

『うむ、肌が鱗みたいになっておるのが、特徴じゃ』


 そんな会話をしていると、ゴゴゴ… と扉が開く。

 まだ入って、数十秒しか立ってないぞ。流石におかしい。


「クレア、レイナ、どう思う?」

『絶対に何かあるのじゃ』

『はい、私もそう思います』

「だよな。でも、ここで帰るわけにはいかない。行くぞ!」

『うむ』

『はい』


 そうして俺達は扉をくぐると、一瞬の浮遊感の後に、ボス部屋に着く。そしてそこには・・・・・


「逃げろ!」「うあぁぁぁ」「た、たすけ・・・て」「く、くるなぁぁぁ」「も、もうだめだぁぁぁ」


 そこはまさに地獄絵図だった。

 体育館くらいの大きさの部屋に、魔物が溢れかえり、冒険者を襲っている。そこには、さっきのパーティーもいたが、残っているのはリーダーの男と、竜人の女だけだ。


「な、なにが起こっているんだ⁉」

『魔物の大量発生じゃな。む?おい伸弥!あれを見るのじゃ』


 クレアが指を指しているところを見ると、そこには小さい壺みたいなところから、変な粉が出てきている。


「あれは何だ?」

『あれは魔寄せの粉じゃ。あれを使うと、あの壺を中心に、魔物たちが集まって来るのじゃ』

「なんでそんなものがここに?」

『それは分からんが、早くあの壺を壊したほうが、いいと思うのじゃ』

「ああ、そうだな」


 俺は部屋の中央にある壺めがけて走るが、四方向から魔物が接近する。


「邪魔だぁぁぁ」


 俺はクレアとレイナを抜刀し、迫り来る魔物たちを斬り捨てていくが、数が多すぎる。

 斬っても斬っても、次から次へと魔物たちが襲い掛かってくる。

 これじゃあいつまで立っても、壺のところに辿り着けない。


「埒が明かねー、一気に行くぞ!」


 “魔力解放”


 俺はクレアとレイナの魔力を解放して、壺めがけて魔力を乗せた斬撃を飛ばす。

 斬撃は魔物たちを切り裂き、壺めがけて飛んでいき・・・


 パリーン


 そんな音とともに、壺が壊れる。


「よし、これで魔物はここから離れるんだろ?」

『いや、壺は壊れたが、まだ粉がこの部屋に充満している。この粉が消えるまで、魔物は現れ続けるじゃろう』

「嘘だろ!」

『伸弥さん後ろ!!!』

「えっ」


 後ろから、身長2メートルはある魔物の剣が、俺の体を直撃する。


「がはっ」


 俺はそのまま吹き飛ばされ、壁に直撃する。

 肺の空気が一気に吐き出される。

 体を見ると、右上から左下にかけて切り口があり、そこから血が流れている。


「痛てーな、くそ野郎が」


 俺は身長2メートルの魔物を睨む。


『大丈夫ですか、伸弥さん!』

「ああ、大丈夫だ。あの野郎、絶対ぶっ殺すっ!」


 俺は2メートルの魔物めがけて走り出した。前から大量の魔物がこちらに攻撃を仕掛けてくるが、


 “身体強化”


 俺は身体強化で体中を強化して、2倍のスピードで大量の魔物に突っ込んで吹き飛ばし、無理やり突破する。


「行くぞぉぉぉ!!!」 


 クレアとレイナの魔力を限界まで解放し、2メートルの魔物に斬り込むが、剣で防がれる。


「まだまだぁぁぁ」


 俺は一心不乱に、二本の剣を振り続ける。

 まだだ、まだ行ける!もっと速く、もっと強く、この剣を壊すくらいに。


「助太刀いたします!」


 俺の横から走り込んで来た、竜人の女・イリスが、


「“身体強化”」


 体中を強化し、2メートルの魔物の顔まで跳躍して、


「“魔力撃”、はあぁぁぁ!!!」


 イリスは魔力撃を魔物の顔面に打ち込む。

 魔物の持っていた剣の力が抜ける。いける!

 俺はクレアとレイナで剣を弾き、


「うおぉぉぉぉ!!!」


 魔物の体にクレアとレイナを斬り刻み続ける。まだだ、死ぬまで斬り続ける。それから魔物を斬り刻み続け、


 ドンッーーー


 2メートルの魔物は、地面に倒れて死んだ。


「はぁ、はぁ、はぁ」


 俺は肩で息をしながら、地面に膝を付く。

 まさかここまで粘るとは、思わなかった。初めてこんなに剣を振った。流石に疲れたな。


「大丈夫ですか?」


 イリスが声をかけてくる。

 俺は息を整えて立ち上がり、


「ああ、大丈夫だ。それよりあと何人生き残っている?」

「私達以外、全員死にました」

「そうか」


 俺は周りを見渡し答える。

 魔物の数もだいぶ減ってきたな。これなら生き残れそうだ。


「よし、じゃあ残りの魔物も倒すぞ」

「いえ、それは私がやります」

「えっ。でもまだ結構残ってるぞ」

「大丈夫です。これくらいなら問題ありません」


 そう言ってイリスは、魔物たちの前に行き、


「“竜化”」


 その瞬間イリスが光始める。

 その眩しさに目を細め、光がなくなりイリスの方を見ると、そこには一頭の竜がいた。


グオオオオオオ!!!!!!


 鳴き声を上げた瞬間、何体かの魔物は意識が飛び、倒れていく。

 威圧のスキルか。

 そしてイリスは、魔物に向かってブレスを吐き、次々と魔物を倒していく。

 ブレスを躱した相手を、爪や尻尾で倒して、気づいたら魔物がすべていなくなっていた。

 そしてまたイリスが光り、光が収まると、人間の姿になってこちらに歩いてくる。


「驚きましたか?」

「ああ、結構驚いてる」

「私はイリスと言います。さっき見せた通り、竜人族です」

「俺は伊藤伸弥だ。伸弥でいい」

「あの、伸弥様。伸弥様はこのまま、先へ行かれるのですか?」

「様って。まあそうだな、俺はこのまま先に行くけど」

「で、でしたら、私も一緒について行ってもいいですか?」

「えっ、一緒に?」

「はい、お願いします!」


 おおっ、何かすげー必死だな。一緒にか〜、どうしよう。まあ、イリスは強いし困ることはないか。


「わかった、いいぞ」

「本当ですか!」

「ああ。これからよろしくな、イリス」

「はい!主様」

「えっ、主様?」

「はい。竜人族は、自分より強い相手に出会ったら、その者に生涯付き従うと決まっているのです!」

「そうなのか。まあいいや。じゃあ行くぞ、イリス」

「はい、主様!」


 そうして俺達は、イリスを仲間にして、十一回層に足を踏み入れる。


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