才能の花
いろはと体育館に向かった。
球技大会の練習だっけ。
「うわぁー!!ひろぉーい!」
いろはテンション高いな。
この高校はスポーツが盛んだから、こういう設備にお金を使っているんだな。
スポーツ部員を寮に入れるとか、待遇がすごい。
「いろはちゃーん!」
「はーい!」
練習は男女別だ。
「じゃあな いろは。」
「うん!!しゅんちゃんも頑張ってね!」
「はいはい。」
練習試合は先に男子がやる。
ここはバスケ部として負けられないな。
「男子ー!負けんなよー!」
「わかってるーー!」
女子の声援なのかわからない声が飛び交っている。
「一条!」
「はい…?」
急に呼ばれて、後ろを見たらこの学校の体育教師で部活の顧問の父親がいた。
「んぅ……」
「分かってるならいいけど負けるなよ?」
「分かってる…」
分かってるけど、弘が相手か。
かなり苦戦するだろうな。
弘は俺の部活の仲間で、俺はアイツにあまり良く思われていないみたいだ。
「一条俊哉!」
「なんだ。」
「負けねぇ。」
「そうか。」
「宣戦布告だ。手を抜くなよ!」
「分かってる…。」
俺も負けない…から。
メンバーがコートに並んだ。
女子の声援も熱気を増していく。
そのなかに一際聞き慣れた声が聞こえた。
「しゅんちゃーーーん!!
カッコイイとこ見せてね!!」
あ、いろはだ。
周りの男子も「あの子可愛い」とか言っている。
カッコイイの基準は分からないが、
俺は俺なりのプレイをすれば良いのだろう。
俺はクルッといろの方を向いて、
「分かってる」
と言った。
そもそもアイツに聞こえているのだろうか。
分からないがとりあえず。
「俺はこのチームに最善を尽くす
だから、俺を使え
…絶対に勝つぞ。」
周りの空気がピンと糸を張った気がした。
試合は無事に俺達が勝った。
相手は弘なだけあって、大分僅差だった。
「しゅんちゃん!」
「なんだ。」
「おめでと!」
「あぁ、…いろも頑張れよ。」
「りょーかいでっす!」
そういえばいろはもう運動してもいいのか。
女子の試合が始まった。
女バスの試合は興味は無いが。
いろはが出るのなら…と思い最前列を試合を観ていた。
1点入れる度に満面の笑みでこちらを見てくるいろはに周りの男子は釘付けだ。
多分俺の顔を見ていたんだろうけど。
試合が進むにつれ、やはりいろはの凄さを改めて感じていた。
高く飛び上がって打つレイアップ
素早く相手を避けるドリブル
誰にパスするか見極める眼
それを生かして的確にパスをする判断力
本当素質があると感心する。
女子の試合が終わった。
結果は圧倒的だった。
「しゅんちゃん!!見てた?」
「見てた…」
「やったぁー!」
子供みたいに喜ぶアイツを可愛いと思ってしまう。
この調子でいったら、本番も勝てるだろう。
「バスケ部入れば。」
「えー、吹奏楽部がいいな!」
楽器好きだな…本当に。
あの4人で、習っていたバスケ。
今思うと、とても懐かしく感じる。
あのときから、いろはのスポーツのセンスには惚れ込んでいたが、今の方がずっといい。
……バスケ部に入れば、いいのに。




