1月1日
1日。
あの後結局寝ないまま4人でウノをしていた。年が明けて始めにすることじゃないかもしれないけど、したくなったものは仕方が無い。毎回柊がスキップされてたのは本当面白かったわ。
4時ごろになって初日の出がみたいねーなんて桜がいったから
6:00までに初詣を済ませようという話になった。
「うわ、さっむ」
外に出ると、冷たい風が通り抜ける。ガウンはまだ必要そうかな。
支度の遅い葵と桜を待ちながら柊を見た
「これからどうするの?」
「とりあえず、神社に行って、その後日の出を見ようか。
時間が空くだろうけど、ひさしぶりに皆で散歩でもすればいい」
「あー、そういえばここに来てから皆で歩いたことないもんね。面白そう」
そう言ってアパートの二階から人通りのない街を見下ろす。
私達兄妹は去年の4月、高校入学と同時にここに引っ越してきた。
「遅くなって、ごめん」
「ちょっと桜かばんがひっかかってる!」
「えっ、葵取って」
「はいはい、……これで大丈夫」
「せんきゅー」
玄関でも何かとうるさい妹と弟。そんなことやってないではやくいこうよ、私達めっちゃ寒い。
そんな思いを込めて二人を見ていると私を見た二人が焦り出した。面白い。横の柊を見るとなんだか呆れたような諦めたような顔をしていた。
あれ、なんで?
「じゃあ、行くか」
柊がそう言って先頭を歩く。うー、頬にあたる風が冷たくて痛いな。
神社は坂の下の道路沿いにある。
まだこの時間は人が少なくていい。パラパラと何人かが歩いているだけ。
冬の朝って本当きもちがいいねえ。冷たい風が身体を通り抜けていくとなんだかわくわくしてくる。
「ご縁があるようにとりあえず五円玉はやらないとね」
「じゃあ俺は二重に五円があるように二十五円」
「あれってさあ、十五円って損する感じになるの?」
「知らん。金額が高い方が神様的にはいいんだろ、多分」
学業、商売繁盛、交通安全の神様だというこの神社。神様って二つ三つもご利益持てたんだ。
何段もある本堂へ続く階段がきつい。段数がかなり多いって言うのに柳は水泳で力をつけてるからすいすい登って行くし、桜は陸上部でエースやっているから当然早い。柊はこの家では頭脳派になるはずなのに軽々と登っている。なんでだ、同じ兄妹なのにこの扱いの差。私の運動神経全部持ってかれた……!
なんとか階段を登りきることはできたけど、息が少し荒いのを心配してくれたのか桜が水筒の水を飲ませてくれた。ありがとう妹よ。
「なにを願えばいいんだろ」
今年の抱負でも言えばいいのかな。まだ受験でもないし、コンクールやら大会みたいなものもないしな。
家内安全無病息災?まあ大事だよね。
「私はそうだな、大会で活躍すること?」
「優勝とかじゃないのか」
「なんかね優勝って言いきると遠くの存在になっちゃう気がして嫌なんだよね」
流石陸部期待のエース桜。今年も兄妹でうざがられない程度に大会の応援にちゃんと行こう。
んー、どうしようかな。まあいつも通りのことでいいのかな。なんだかんだ言ってこれが一番大事だって思うからね。
十五円を投げ入れ鈴をならし二礼二拍。お願いごとをして最後に一礼。これが神様への挨拶の仕方らしい。
お参りをすると一年が始まったそんな気がする。神道のことはよく分からないけど多分神様のおかげなのかななんて柄になく思ってしまう。
「姉さん、結局何を願ったの?」
覗きこんでくるように聞いてきたのは柳。
「そうだね、やっぱり今年も四人で楽しく暮らせるようにかな」
そういうと三人は顔を見合わせて笑った。えっ、どこに笑う要素あったの。
「楓姉さん毎年それだよね」
「確かに大事だけど。自分のこととか願わなくていいのか」
「姉さんらしいよー。こうやって毎年願ってくれてるからこそ今笑ってみんなで初詣いけるんだな」
なんだろう、そんな大層なこと何もしてないのに凄く恥ずかしい。でもやっぱりみんなといれることが一番いいから。私らしくない?いいでしょ新年くらいは。桜と柊も笑っていて。
そのとき、西の方が明るくなってきた。
「ああ、もう日の出みたいだ。見に行こうか」
四人で並んで冬の街を歩いて行く。うん、私は幸せものだ。




