第十三話 美稀と一緒にお○○
美稀とパートナー(今時点では仕事のみ)となった次の日の朝。
新山氏(美稀の父)にとりあえず報告をする事にした。
『美稀さんも昨日担い手になりました。それで、美稀さんにはパートナーになっていただきました』と…
このまま言ったのではなく、こんな感じのニュアンスでちゃんと説明したので、ご安心を…。
でも…それを聞いた新山氏は…激怒。そうなりますよね…予想通りなリアクションをありがとうございます。
ちなみに、この事態を解決したのは…美稀だった。
いきなり刀を具現化して、父に斬りかかる娘。
美稀の刀の錆になりそうなところを…ギリギリのタイミングで仲裁に入る。
本気で攻撃するとは…流石に思わなった。
そもそも、最初の敵が…実の父とか…何を考えてるんだ美稀の奴は…。
これが、清々しい朝に起きた澱んだ出来事の一部始終である。
護衛に関してはこれまで通りと美稀が決断したので、新山氏に従う以外の選択肢は存在しなかった様だ。
話し合いも無事?終わったのでそろそろ学園に向かう。
美稀は…家を出る前から手を繋いでくる。恋人繋ぎ…指をしっかり絡めている。もう…美稀の中では、手を繋ぐのは当たり前なんだろうな…もう少し恥じらいというか節度ある行動は出来ないのだろうか?
美稀にそれを求めるのは…無意味なんだろう。疲れるから考えるのはやめて、とりあえず美稀の好きにさせよう。脳内会議の決定事項である。
結局…美稀とは、教室の前まで手を繋いでいた。靴を履きかえる時ですら手放さない徹底ぶり。
手を離す瞬間の美稀の目には憎悪の焔が燃え上がっていた。
いやいや、俺にどうしろと言うつもりなんだ?勘弁してほしい…朝からとても疲れる。
待合室の隅の席にいつも通り座り、昼食まで、大人しく寝ておこうと目を閉じる。
その昼食は…酷いものだった。
『颯、これおいしいですわよ。はい、あ〜ん』とか言って、勧めてくる。お嬢様方々の視線が痛い。
美稀…マナーが悪いんじゃないか?これ…
流石にこれはマズイと思い、拒否の意思表示を示す。
美稀は泣きそうな顔、この顔に弱いんだよな…思わず抱きしめたくなる衝動にかられるのだが、何とか押し殺す。
『はぁ〜』あれ…なんで周りからも溜息?
様子を窺うと…何だか周りのお嬢様方がガッカリしている。
実は、目の保養的な感じで見られてたのか?
こういう事をしないだろう方々だからな…意外に憧れがあるのかもしれない。
不穏な空気を感じる。気まずい…
美稀も空気が澱んでいるのを感じたのだろう。
周りをキョロキョロして、俺に『どうしよ?』って目で訴えてくる。
「俺、美稀に『あ〜ん』で食べさせてもらいたくなってきたな…さっき断ったのに申し訳ないのだが、またしてくれたら嬉しい…」
棒読み…自分のあまりの大根役者っぷりに、顔も引き攣る。
美稀は満面の笑顔で、早速フォークをこちらに向けている。
フォークに勢いよくかぶりつき、周りの様子を窺う。
先ほどまでの不穏な空気は霧散していた。
少し前まで平穏だと思っていた学園での警護…襲撃よりも恐ろしい事態が待ち受けていた…とは考えてもいなかった。
昼食が終わり、美稀の教室についたところで…姐さんに連絡していなかった事を思い出した。
朝から色々あった…とか言えるわけがない。
落胆しながらも電話をかける。
「もしもし?言い訳あるなら、聞くけど…?」
「大変申し訳ございません。言い訳なんてありません。許して下さい」
すぐに繋がったところからすると、ずっと待ってたんだろう。
「とりあえず、今の件が解決したらこき使うから…覚悟してなさい」
「・・・・・・・・・了解」
姐さんの『こき使う』ってのは、容赦ないからな…。
自業自得だから仕方ない…のか?納得出来ない気もするけど、諦めるしかない。何を言っても覆らないのだから…。別に俺が情けないんじゃない、姐さんが横暴すぎるのだ。
『それで…分かったわよ。太陽と月は合併したみたい。面子より生き残りを選択したらしいわね。先日…前回の襲撃の数日前に、どうやら太陽のトップが月の一人に負けたらしいわ。凪野さんが教えてくれたわ。その月の能力者、私が思うにあの男だと思う。太陽のトップ…見た目が一気に老け込んだらしいわよ。まるで精気を吸い取られたみたいだって」
姐さんの言葉に息を飲む。間違いなく、あの男の力だ。
電話を持ってない方の拳を握りしめる。
あいつを…ついに殺れる機会が訪れた。
身体が震える。恐怖からか…それとも武者震いだろうか…?自分でも分からない。
「そっか…ついに…」
言葉が知らずに洩れる。
「あんまり気負わない様にね」
姐さんが俺を気遣ってくれるが、その声は遠くで響いている様に感じられた。
電話を終え、残りの時間を学園で過ごす。その後、帰宅の途につく。
「あ、今日はパパの仕事の都合で帰ってこないわよ。ママも付き添うって。颯…我慢しなくてもいいのよ。二人きりだから」
ぶっ…。
美稀、お前なんて事を言うんだ…。少しは恥らえ、全く…
「そんな気にはならないから大丈夫だよ」
「あっそ…ま、いいわ。今からご飯の用意するから、颯はテレビでも見ながら待ってて」
「なんか手伝おうか?」
「邪魔だからいい」
バッサリ切り捨てられた。少しぐらいは俺だって出来るんだけど…
並べられた料理を見て驚いた。『張り切り過ぎちゃった』と照れ臭そうに言ってるけど、うん…本当に張り切り過ぎだ…食べきれるか正直自信ないが、残さない様に頑張ろう…
無理矢理詰め込んで、何とか完食したものの…動けない。『少し横になる…』と美稀に伝え、リビングのソファーに横になる。
それを聞いた美稀が、『先に風呂に入る』と言って立ち去って行く。
30分ほど経過した頃、美稀が風呂から上がってきた。いつも通りのパジャマ姿、二人きりとはいえ風呂上がりはちゃんとパジャマを着るらしい。美稀がベビードール姿になるのは寝る前だけらしいな…
腹具合も落ち着いて来たので、風呂に向かう。
一日の疲れを癒せるこの時間が好きだ。一瞬とはいえ、美稀と離れられるってのも大きな理由ではあるのだが。
「は〜、生き返る〜。今日もとりあえず無事に終わったな…」
幸せを噛み締めながら風呂に浸かっている。自分で最後だから身体を洗う前に湯船に浸かる。これも密かな楽しみである。
すると、突然風呂の扉が開け放たれる。
「背中流してあげるね、颯♪」
バスタオル一枚を巻いただけの、美稀が乱入してくる。
「お前‼︎さっき風呂入ったんだろ⁉︎自分で出来るからいいよ…」
「入ってないわよ私…颯と一緒にって思って待ってたもん」
「じゃ、俺一旦出るから…先に入れよ」
「嫌よ…一緒に入る。逃げるなんて許さないわよ。私も先に浸かるから少しスペースを空けてちょうだい」
そう言うと…身体に巻いたバスタオルが…ハラリと落ちる。
少しだけ、本当に少しだけ膨らんだ胸…その頂点で可愛らしく、でも存在感のある桜色のアレが俺の視界に飛び込む。
いつもベビードール越しに見ていたが、初めて生で見た。
綺麗だった…普段見ているものと同じとは思えない程に。
意思と関係なく唾を飲み込むと、ゴクリと音がしたような錯覚を起こす。
自然と視線が下に降りる。生えていなかった。その光景に更に興奮してしまう。
足がぴったり閉じられているので、筋が見えるだけで詳しくは分からない。
美稀の裸身に見惚れてしまっていた。
暫くして我に返り、美稀を見ると顔を真っ赤にして俯いている。
「颯…私も入ってもいいかな?見せてるんだから、見るななんて言わないけど、あんまりマジマジと見られると…恥ずかしいよ」
恥じらいの美稀を見て…自制心が崩壊しそうになるが…なんとか踏み止まる。
「悪い…」
一言詫びを入れ、美稀の入るスペースを空ける。
「はふっ…。一緒にお風呂入るの恥ずかしいね。本音を言うと…勢いで押しかけてみたものの、途中で恥ずかしくなっちゃった。だって颯、一生懸命見てるんだもん。私どうだった?私の裸見てガッカリしたよね?胸小さいし…しかも生えてないし…子供っぽいよね私さ…」
不安そうな美稀を見て…心がざわつく。
誤魔化そうと思う気持ちはなく…自然と言葉が出る。
「綺麗だった…見慣れてるはずの胸も直接見ただけで、普段より興奮した。全然子供っぽくない。生えてないのは…寧ろご褒美…ゴホン。とにかく美稀は魅力的だよ」
「本当に?良かった…」
そう言う美稀は、はにかみながらホッとした表情を浮かべる。
俺の言葉に安堵してくれたのだろう、そんな美稀を見て俺もホッとして息を吐く。
「颯…背中流してあげる。ほらほら、湯船から出て‼︎」
美稀に手を引っ張られ立たされる。マズイと思ったが…咄嗟の出来事でされるがままだった…
美稀の目が…おれの下半身に集中する。ソコは…しっかり大きくなっていた。
美稀は顔を真っ赤にしながら、チラッ…チラッと盗み見してくる。
「颯…私見て興奮してるの本当だったんだね…」
穴があったら入りたいとは…まさにこの事を言うのだろう…。
そのあと…背中を流してもらう事になったのだが、美稀はスポンジ代わりに自分の身体を使ってきた。
胸を背中にこれ見よがしに押し付けてくる。ポッチの固い感触がもろに伝わってくる。
恥ずかしいんじゃなかったのか?
流石に我慢出来なくなりそうになったのと、『背中を流してあげる』って話だったので、背中以外は自分で洗った。
「美稀、先に上がるから…お前はゆっくりしてきていいからさ」
そう言い残して…急いで風呂場を後にして…トイレに一直線。
トイレに何をしにいったか気になる?そりゃ当然ナニをしにですが…何か…?