表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/15

15. 裏の話 1

【創造時点初期段階。汚染度11%。早急な問題改善を要望。】


「作られてからまだ間もない世界なのに、異常なほど汚染の進行が早くておかしいと思っていたんですが、女神様。これ、本当に大丈夫なんですか?」

「たかだか11%汚染されたくらいで大騒ぎするな。直せないわけでもないし、ちゃんと修復する力も与えてきたじゃないか」

「予備の空間がないから、『冒険の神』様が一時ファイルをくださったんですよね? 主神様に見つかったら大変なことになるんじゃないですか?」

「大丈夫だって。少し汚染された世界なんて珍しくもないし、私にぞっこんな冒険神が言いつけたりするはずもない。審査を受ける時までに普通の世界にしておけば何の問題もないよ」


いつも能天気で怠け者の女神が、その場しのぎでうまく解決してきたとはいえ、信用できないのも当然のことだった。どう見てもこんな神が『愛の女神』だなんて、間違っているにもほどがある。女神に仕える天使は、不安定になりつつある世界を見つめながら悩んだ。


原因自体はわかっている。女神が前の世界の浄化のためにこき使っていた魂が、個人的な目的のために世界を崩壊させようとしたからだ。『愛』という条件で世界を構成しさえすればいいのに、すべての仕事を配下の天使に押し付け、本人はたまに優雅ぶって下界に降臨しては帰ることを繰り返していた。


問題が起きても解決しようとはせず、十中八九は他人に代わりにやらせようと押し付ける。それが他の神や天使であるだけでも腹立たしいのに、下界の生物に莫大な力を与えたことが問題の始まりだった。


「それにしても、本当に力が強くなりすぎていますよ。もっと早く力を回収するか、別の人間に渡すべきだったのに」

「だって仕事は本当に上手くやってくれたんだもの」

「結局それが原因でこんな状況になったことを忘れないでください」


天使は上司である女神を横目でにらみながら、通じるはずのない願いを口にした。魂を満足させ、清らかな世界を創造し、汚れた世界は除去する。それが神の役割だ。徳を積んだ魂から有益な力を引き出し、その力で創造した世界を豊かにする。


だが、汚れたものが積み重なり、汚染された世界の方がはるかに多いのが現実だった。本来なら特別な人間に力を与えて自然に世界を改善させるか、神が直接介入して最初から作り直すのが正道である。


ある世界線で生み出された『魔法少女』という存在に興味を持ち、下界の人間に神の力を分け与えたあと、自分のやるべき仕事を押し付けた。まあ、それもほどほどにしていれば問題なかったのだろうが。


「契約のせいで力も回収できないし。一時的に作ったジオラマだとしても、一応はひとつの世界なんですよ。無責任すぎます」

「これほど巨大な負のエネルギーを受け止められる空間がもうないんだから仕方ないじゃない。何が起きても冒険の神が助けてくれるでしょ」

「そろそろあの方も怒りそうですけど?」

「まさか。そんなはずないでしょ? こんなに美しい私がお願いするんだから」


神が解決すべき問題を人間に押し付けた。それが簡単なことのはずがない。耐えがたい限界点に達するまで持ちこたえながら、彼女は神にもうやめたいと願った。しかし神はその願いを聞き入れず、人間は負の力を操る存在へと変わっていった。


あまりにも長く押し付け続けたせいで強大になった力。それに対抗するため、さらに力をいくつにも分けて数十人、数百人の魔法少女を生み出した。神の力が世界に混ざれば、それ相応の反動が生じるものだ。


愛の女神には、その反動を保管できるだけの空間が残っていなかった。ちょうどその頃、彼女にぞっこんだった別の神が手を貸してくれたが、数え切れないほど長い歳月の間に、このようなことがどれだけ繰り返されてきたと思う?


「じゃあ私はのんびり休むとするかな」

「少しは働いてください!」


また新たな人間に役割を押し付けた女神は、怠惰に仕事を放り出してだらけている。もちろん自分の仕事も休めない天使は、他の世界にも別の魂を割り当てながら、募る不安を隠せずに顔をしかめた。


うんざりするほど繰り返された状況だが、そろそろ何かとても不穏なことが起きそうな気がする、と。主神様が他の神々の世界を点検する時期が近づいていた。創造した世界を管理できず、役目を果たせなかった神や天使の末路は知っている。


堂々とそんなことにはならないと言い張る女神を、本当に気楽に信じていていいのだろうか。負の力を育て続ける魔法少女は、このまま放置すれば本当に神を脅かす存在になるかもしれない。少なくとも現在の状況では、世界の汚染度を十分に加速させることができる。


『とりあえずは、折を見て様子をうかがいながら見守るしかない』


覗き込んだジオラマの中では、すでに数年の歳月が流れていた。


【現在の汚染濃度13%】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ