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シルスベール

ここは大陸の北側の国、シルスベール。この大陸の食料源だ

国土の半分を農業に使い、海に面した土地の殆どは漁業に使われている

「・・・・・・・・・」

そんな国の数少ない兵士(この国の兵士は喧嘩の仲裁や道案内くらいしかやることがないため数が他の国に比べて減ってきている)であるもうすぐ三十路の男、バン・トリールはガチガチに緊張していた

彼がいるのは城へと続く橋の前。城は湖の中心に建っているため、城に行くにはここを通るしかなかった

彼の目の前には二人の男がいた。一人はつい最近たった一人で魔人を殺した人だった。巨大な剣を持っているので間違いない

そしてどういうわけか、その隣には最近王都で現れたという英雄が立っていた。噂の特徴と完全に一致していた

二人の後ろには彼らの仲間らしき人達がいる。フードを目深に被ったのと騎士らしき男といるが、一番目立っているのは金髪の少女か

本当にこの世のものなのかと疑問に思うくらい綺麗だった。あの宝石のように青い眼で見つめられてお願いされると何でもしてしまうかもしれない。ではなく絶対するだろう

英雄らしき男が軽く会釈をしてからバンに話しかける

「ジャック・リルクルドです。王の召喚に応え参上致しました」

「そ、そうでしたか」

「王への謁見は許されるのでしょうか?ご都合が悪ければ明日にでもまた伺いますが」

「少々お待ちください!」

バンは城の中へと入り、中の兵士に事情を話す

「それなら話は聞いている。すぐに連れてきてくれ」

ジャック達を城に連れて入る。ジャックの仲間らしき人達が面白そうに呟いている

「木造とかいうやつか」

「これって地震がきても壊れないんですかね?」

「実際に大丈夫なんじゃないか?建築して数百年と経つ家もあるみたいだし、数百年地震から耐え抜いた証拠だろ」

そんな言葉を聞きながら先ほどの兵士に王の元へ連れて行ってもらおうとしたが、どういうわけかいなかった

仕方のないのでバン一人が彼らを王の元へ連れて行く。その途中で彼らの一人からこんな質問をされた

「なあ、なんでこの辺りの建築物は全部木で出来てんだ?これって東方の国で主になってるやつだろ?」

「え、ええとですね」

質問にバンはうろ覚えの知識を必死に絞り出して言葉にする

「大昔にこの辺りを開拓した際に大量の木が余ったんです。ちょうどその時に家がなくて困ってる人や仕事がなくて困ってる人達がいたので、その人達に開拓という仕事を与えて仕事が全て終わったら褒美に家を与えてやれば木材も減らせるし開拓も進むし開拓が終わったら今度はその人達に農業をしてもらおう。となって木造が多くなったそうです」

海の方には皆さんに馴染みのある建物があると思います。と付け加えておく

「そっか、あんがとよ」

「いえいえ。ちゃんと知りたければ図書館に行けば良いと思いますよ。あそこなら古い本がたくさんありますから」

「本がいっぱいあるんですか⁉︎」

ここで食い付いてきたのは金髪の少女だ

少し動揺しながらもバンは答える

「え、ええ。歴史書の他にも魔道書もありますが」

魔道書と言っても、あそこにある本はそこら辺にある物なんですけどね。とは思うのだが言わないでおく。もしかしたら他の国の人からすれば珍しい物かもしれないと希望を抱いて

そうこうしていると王の間の前に来ていた。ノックをして用件を伝える

「陛下。ジャック様がお越しになられました」

「入れ」

バンは大きな扉を開け、ジャック達を通す

そのまま一礼して部屋を出る。わざわざ他国の英雄と呼ばれる人物がやって来たのだ。一兵士が聞いていいものではないだろう

(気にならないと言えば嘘になるけど、まあ聞いて何かに巻き込まれるよりはいいか)

廊下を歩いていると、さっきの兵士が立っていた。口を開けてぼーっとしている

「おーい怠け者。仕事をしろ仕事を」

兵士の背中を適当に叩いてバンは持ち場に戻ろうとする

「・・・・・・・」

何故か、本当に何故か、バンは兵士に振り向いた

そこには、誰もいなかった

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