XXXI — これで……終わり?
数日が過ぎた。二週間かもしれない。あるいは、それより少し長いかもしれない。
もし誰かがこのページを読むことがあれば、真っ先にジェイコブに何が起きたのかを考えるだろう。なぜ、これを書いているのは彼ではないのか。僕は何日もの間、これを書くべきなのかどうかさえ分からなかった。自分のものではない日記を続ける権利が、自分にあるのかどうかも分からなかった。
それでも、起きたことを誰かが記録に残さなければならないと思う。
そして、もし彼にもうそれができないのなら……今度は僕が書く。
デレク。
すべては、太陽が昇ったときに始まった。
大尉は夜明け前に僕たちを起こした。命令は明確だった。空港へ向かう準備を整えること。僕たちはバックパックと武器、それから残っていたわずかな物資をまとめた。計画は単純だった。
空港に着く。
飛行機に乗る。
あの地獄から抜け出す。
だが、全員が同じ車両に乗れるわけではなかった。
ハンヴィーは二台あった。一台にはジェイコブ、大尉、そして四人の兵士が乗る。もう一台にはサム、ブリサ、エミリー、クラウディオ、そして僕が乗り、別の兵士が運転を担当することになった。
軍人たちと一緒に行くと決めたのは、ジェイコブだった。
そのほうが僕たちがゆったり乗れるし、自分は軍人たちと一緒でも構わないと言っていた。大尉のそばにいたかったという理由もあったのだと思う。これまでに経験してきたことを考えれば、僕たちの誰も軍隊をあまり信用していなかった。
僕たちは二手に分かれた。
彼らが先を行く。
僕たちは後ろを行く。
太陽が昇るとすぐ、大尉は無線で空港と連絡を取った。向こうからの返答によれば、飛行機はすでに滑走路にいて、離陸の準備も整っているとのことだった。
さらに、夜の間に外周フェンスの一部が破られたという報告もあった。
感染者が侵入していた。
最初は数十体だと言っていた。
その後、数百体だと言い直した。
滑走路をいつまで安全な状態に保てるか、保証できないとのことだった。
「急いでください」と、無線の向こうの声が言った。「飛行機はいつまでも待てません」
大尉は、こちらは到着すると答えた。
僕たちは出発した。
放置された車両や封鎖された道路を避け、建物の間から現れる感染者の集団をかわしながら、街を進んだ。誰もあまり口を開かなかった。
全員が分かっていた。これが最後の道のりなのだと。
やがて、僕たちは空港の側面にある出入口の一つに到着した。
そこからは、滑走路の一部と、いくつかの格納庫、そしてターミナルが見えた。
そして、飛行機も。
それは巨大な軍用輸送機だった。プロペラは四基あり、左右の翼に二基ずつ取り付けられていた。離陸の準備は整っていた。
ほかの生存者たちは、すでに機内にいると聞かされていた。
残っているのは、僕たちだけだった。
久しぶりに、これで本当に終わるのかもしれないと思った。
ここまでの道のりを乗り越えたのだから、飛行機の中に座り、道路も、死体も、銃声も、感染者も、すべて後ろに置いていけるのかもしれない。
そのとき、エンジンが始動し始めた。
凄まじい音だった。
空港全体が目を覚ましたかのようだった。
感染者たちが、あらゆる場所から現れ始めた。
格納庫から。
建物から。
駐車場から。
側面の出入口から。
貨物エリアから。
実際に何体いたのか、僕には分からない。
一万体。
それ以上かもしれない。
あの惨事が起きる前、空港は大勢の人であふれていた。今では、そこで死んだ人間が一人残らず立ち上がり、僕たちを出迎えに来たかのように見えた。
再び無線が鳴った。
「急いでください! 滑走路が危険な状態になっています!」
ジェイコブのハンヴィーが先を走っていた。
車両の前部で感染者をはね飛ばしながら、人だかりの中を進んでいく姿が見えた。何体かは勢いよく吹き飛ばされ、ほかの感染者たちは車輪の下敷きになった。
僕たちは後ろを追っていた。
そのとき、銃声が聞こえた。
感染者たちからではなかった。
後方からだった。
「いったい何だ……!?」
僕は振り返った。
黒いピックアップトラックが、猛スピードでこちらに向かってきていた。
軍用車両ではない。
避難用の車両でもない。
そして、その車内には武装した男たちがいた。
「後ろだ!」僕は叫んだ。
最初の銃弾が車体に命中した。
ガンッ!
もう一発。
ガンッ!
運転手は反射的に身をかがめ、その一方でサムとクラウディオが武器を構えた。
ピックアップトラックは、僕たちの横を追い越していった。
そのとき、僕は車内にいた男の姿を確認できた。
白い服を着ていた。
見覚えがあった。
彼と話したことがあるからではない。
名前を知っていたからでもない。
以前、彼を見たことがあったからだ。
ショッピングモールでライダーズを率いて現れた、あの男と同じだった。
ジェイコブを襲った、あの集団と同じだった。
彼らが戻ってきた。
そして、僕たちを狙ってやって来たのだ。
黒いピックアップトラックはジェイコブのハンヴィーに並び、窓に向けて発砲した。
煙と車両に遮られ、ジェイコブの姿が見えなくなった。
「ジェイコブ!」サムが叫んだ。
ピックアップトラックは加速した。
一瞬、あいつらはこのまま去っていくのだと思った。
だが、車両は急旋回し、前部をジェイコブのハンヴィーの後部に叩きつけた。
衝撃で、二台とも進路を外れた。
ジェイコブのハンヴィーはバランスを失った。
黒いピックアップトラックも同じだった。
二台はアスファルトの上で回転し始めた。
ハンヴィーは一回転し、屋根を下にした状態で横転した。
ピックアップトラックは横滑りし、砂ぼこりを巻き上げながら、その隣で横転した。
僕たちの運転手はブレーキをかけようとした。
だが、間に合わなかった。
僕たちは黒いピックアップトラックに衝突した。
衝撃は凄まじく、僕の頭は車内に叩きつけられた。
数秒間、視界が真っ白になった。
何も聞こえなかった。
ただ、鋭い耳鳴りだけがしていた。
意識が戻ったとき、ブリサは気を失っていた。
エミリーは額から血を流していた。
サムは座席につかまり、苦しそうに息をしていた。
クラウディオは頭に手を当てた。
僕も、何か温かいものが顔を伝って流れ落ちるのを感じた。
運転手は完全に混乱していた。
そのとき、叫び声が聞こえた。
男たちが黒いピックアップトラックから降りてきていた。
彼らはAK-47を持っていた。
全員が武装していた。
そして、彼らが起き上がる一方で、衝突音が感染者たちを引き寄せ始めていた。
最初は数十体。
その後、数百体。
やがて、数えるのをやめた。
滑走路は感染者で埋め尽くされていた。
空港全体がうごめいているかのようだった。
それでも、飛行機はまだ待っていた。
無線から、パイロットの声が聞こえた。
「これ以上は待てません。滑走路が危険な状態です」
「もうすぐ着く!」大尉が答えた。「あと一分だ!」
「感染者を機体に近づけるわけにはいきません」
飛行機が動き始めた。
「待て!」大尉が叫んだ。
だが、待ってはくれなかった。
輸送機は滑走路を走り始めた。
エンジンが唸りを上げた。
感染者たちはその後を追って走った。
何体かは車輪にぶつかり、ほかの感染者たちはプロペラによって左右へ吹き飛ばされた。
飛行機は滑走路をどんどん加速していった。
そして、車輪が地面から離れた。
だが、ほんの数秒後、異変が起きた。
飛行機が傾いた。
最初はわずかに。
その後、さらに大きく。
エンジンの一つから、煙が柱のように立ち上った。
機体は高度を失った。
そのまま回転した。
そして、滑走路の端に墜落した。
凄まじい爆発が起きた。
火球が空港を照らした。
僕たちは、その光景を見つめていた。
誰も何が起きたのか理解できなかった。
飛び立ったはずだった。
それなのに、今では全員が死んでしまった。
パイロットが操縦を誤ったのか。
飛行機に故障が起きたのか。
分からない。
結局、僕たちには最後まで分からなかった。
だが、もう脱出の手段は残されていなかった。
二度目の機会もない。
残されたのは、僕たちだけだった。
そして、何千体もの感染者。
運転手は再びエンジンをかけようとした。
エンジンが反応した。
車両が動き始めた。
「待て!」僕は叫んだ。
彼には聞こえていなかった。
「ジェイコブがまだあそこにいる!」
窓越しに、横転したハンヴィーが見えた。
兵士たちが車内から脱出していた。
ジェイコブもいた。
ライダーズが彼らに向かって進んでいた。
白い服の男は、まるで何事でもないかのように感染者たちの間を歩いていた。
ジェイコブは二人の男と戦っていた。
そのうちの一人が、彼に飛びかかった。
ジェイコブはどうにか相手を振り払い、取っ組み合いになった。
大尉がハンヴィーから出て、ライダーズの一人に向けて発砲した。
男は倒れた。
すると、白い服の男が銃を構えた。
発砲した。
大尉の腹部に銃弾が命中した。
大尉は体を折り曲げ、そのまま膝から崩れ落ちた。
ジェイコブは白い服の男に飛びかかった。
相手の銃を叩き落とした。
リボルバーが地面に落ちた。
ジェイコブは男の腹部を殴った。
続けて、顔を狙おうとした。
男はその一撃をかわし、反撃の拳を叩き込んだ。その一発で、ジェイコブは後ろによろめいた。
そして、感染者たちが到達した。
一体がジェイコブの背後に現れた。
肩に噛みついた。
ジェイコブが叫んだ。
別の感染者は、地面を這いながら彼の脚を歯で捕らえた。
三体目が脇腹に飛びかかり、脇のすぐ下に噛みついた。
ジェイコブは倒れた。
それでも、戦い続けていた。
まだ立ち上がろうとしていた。
まだ、白い服の男に手を伸ばそうとしていた。
僕は、あそこにとどまることができなかった。
彼を置いていくことなどできなかった。
僕は拳銃を取り出した。
「止まれ!」運転手に向かって叫んだ。「止まれ!」
返事はなかった。
「引き返すんだ!」
クラウディオが僕を見た。
「駄目だ」
「彼らを助けに戻らなきゃならない!」
「もう何もできない!」
「止まれ!」
運転手は走り続けた。
僕は拳銃を取り出し、運転手に向けた。
「車を戻せ!」
そのとき、ジェイコブの姿が最後にもう一度見えた。
彼は地面に倒れていた。
周囲を取り囲まれていた。
白い服の男は、まだ彼の目の前にいた。
ジェイコブは身を守るために片手を上げた。
その後、何が起きたのかは分からない。
クラウディオが座席から立ち上がったからだ。
頭に鈍い衝撃を感じた。
彼のショットガンの銃床だった。
僕は倒れた。
意識を失う直前、サムが体を起こそうとしているのが見えた。
ブリサはまだ気を失っていた。
エミリーは血を流していた。
そして、クラウディオが僕に銃を向けながら何かを叫んでいるのが見えた。もう、その声は聞こえなかった。
その後、すべてが闇に包まれた。
どれほどの時間が過ぎたのか分からない。
何が起きたのか、サムが教えてくれた。
ハンヴィーは空港を離れた。
運転手は引き返さなかった。
クラウディオが主導権を握った。
彼らは道を切り開くために何十体もの感染者をはね飛ばし、その場を離れた。
彼らの背後では、飛行機が燃え続けていた。
ジェイコブはあそこに残った。
大尉もあそこに残った。
兵士たちもあそこに残った。
そして、僕たちは生き延びた。
それを感謝すべきことなのか、僕には分からない。
僕たちは知らせを待つため、身を隠せる家を見つけた。
一緒に来ていた兵士は、翌週、命を落とした。
彼の首に巻きついた縄で、浴室の中に首を吊っているのを見つけた。浴室に入ろうとしたエミリーが最初に気づいた。
その兵士は、無線でほかの部隊と連絡を取ることに成功していた。
そこで、彼は真実を知った。
もう飛行機は残っていなかった。
もう脱出の手段はなかった。
軍隊は国を放棄していた。
そこに残っていた部隊には、自力で何とかするよう命令が下されていた。
それは、タバタも例外ではなかった。
兵士は通信を最後まで聞いた。
その後、浴室に入った。
そして、首を吊った。
遺書はなかった。
説明も残されていなかった。
床に置かれた拳銃と、閉ざされた扉の向こうに広がる沈黙だけが残っていた。
僕たちは、森の中にある家に身を寄せた。
最初の数日間、僕たちはほとんど話さなかった。
サムはほとんど口を開かなかった。
ブリサは何時間も窓のそばに座り続けた。
エミリーは、頭を打ったときの傷を抱えたままだった。
クラウディオは見張りをしていた。
そして、僕は……
空港のことを考えずにはいられなかった。
ジェイコブのことを。
あの最後の光景を。
噛みつかれた後、立ち上がろうとしながら歯を食いしばっていた、彼の姿を。
あの日から、およそ一か月が過ぎた。
こんなに早く、またこの日記を開くことになるとは思っていなかった。だが、その後に起きたことを記録に残さなければならないと感じている。
あの家に落ち着いてから数日後、一台の車両が現れた。
僕たちは略奪者だと思った。
あるいは、食料を求めてさまよっている、追い詰められた人々かもしれないと。
だが、武装した男が三人、家に入ってきた。
敵意があるようには見えなかった。
しかし、彼らも僕たちを信用していなかった。
彼らは、はるか遠くから来たと言った。
誰かを探しているらしかった。
ただ、いったい誰を探しているのか、正確には説明できなかった。
分かったのは、何週間も無線の信号を追い続けてきたということだけだった。
彼らは、小さな共同体の一員だった。
人数は二十人にも満たない。
その共同体を率いているのは、ジェームズという男だった。
災厄が起きる前、彼は不動産業者だったという。
今では、彼の住んでいた地区に残された人々を率いていた。
彼らは、何軒もの家を囲むように壁を築いていた。木材や金属くず、取り外したドアなど、周囲を塞ぐのに使えそうなものなら何でも利用していた。
要塞というほどのものではなかった。
安全だと言い切れるものですらなかった。
それでも、何もないよりはましだった。
この世界では、何か一つでも手に入れられることは、大きな意味を持つ。
その共同体は、ここから南へ二十日以上かかる場所にあった。
彼らは、古い無線通信や生存者に関する噂を頼りに、空港までやって来たのだった。
僕たちは、そこで起きたことを話した。
飛行機のこと。
大群のこと。
ライダーズのこと。
ジェイコブのこと。
彼らは黙って聞いていた。
最後には、僕たちの話を信じることにした。
そして、僕たちに居場所を提供してくれた。
あの決断を下したのがジェイコブだったら、きっと同じことをしたのだろう。
彼はいつも、行動する前に考えていた。
だが、ジェイコブはもういなかった。
だから、僕は申し出を受け入れた。
それが正しい決断だったのかどうか、分からない。
ただ、彼ならそうしたはずだと信じたかっただけなのかもしれない。
あの出来事の後、クラウディオとの関係は悪化した。
彼に殴られたことについて、僕たちは一度もまともに話し合わなかった。
冷静に考えれば、彼の判断が正しかったことは分かっている。
ジェイコブはすでに負傷していた。
感染者に噛まれていた。
何千体もの感染者に取り囲まれていた。
彼を助けに戻っていたら、おそらく全員が死んでいただろう。
それでも、僕の中の一部は、戻ってみるべきだったと思い続けている。
たとえ、彼の遺体を回収するためだけだったとしても。
誰にも話していないことがあるからだ。
毎晩、僕の心を蝕んでいることが。
時々、目を覚ますと、ジェイコブがまだあそこにいる姿を想像してしまう。
死んでいるのではない。
感染者たちの間を歩いている。
あの空港をさまよっている。
何かを待っている。
彼が死んだと考えるよりも、そちらのほうがつらいのだろうか。
きっと、そうなのだろう。
誰かが彼を殺してくれていたらいい。
彼が、あの化け物の一体にならずに済んでいたらいい。
だが、今はまだ、あそこへ戻ることはできない。
まだ、その時ではない。
武器が足りない。
人手も足りない。
あれほどの大群に立ち向かうための物資もない。
それでも、いつか必ず戻る。
約束する。
もし、あそこにジェイコブの痕跡が何か残っているのなら、必ず見つけ出す。
そして、彼にふさわしい埋葬をしてやる。
今、僕たちはジェームズの共同体にいる。
ここは少しずつ大きくなっている。
毎日、新しい人々がやって来る。
煙の合図や弱い無線信号をたどってくる者もいれば、ただ安全そうな場所を見つけるまで歩き続けて、ここにたどり着く者もいる。
僕が日記を書いている窓からは、小さな菜園で働く人々の姿が見える。
家の一軒の裏で、トマトを育てている。
別の人々は壁を補強している。
道具や食料、薬を探しに出かける者たちもいる。
僕たちは軍隊ではない。
十分な訓練も受けていない。
ほとんどの人が使っているのは、その場で作った槍や棒、テープで固定したナイフだ。
それでも、僕たちは生きている。
そして、何かを始めるには、それだけで十分なのかもしれない。
タバタについては、何も分かっていない。
あの日以来、無線で彼女の声を聞くことは一度もなかった。
何度も試した。
最初はハンヴィーの無線機を使った。
その後、ここで見つけた小型の無線機も使った。
何もなかった。
聞こえるのは、ただのノイズだけ。
かすかな声。
どこかに避難所があるのかと尋ねる生存者たち。
家族を探している人々。
まだ誰かが応答してくれると信じている人々。
そんな声を聞くたびに、ジェイコブのことを考える。
彼なら、きっと彼らを探しに出かけただろう。
彼なら、ここまで連れてこようとしたはずだ。
いつかタバタを見つけたら、この日記を見せるつもりだ。
そして、もし彼女も死んでしまっていたのなら……
どうか、何らかの形でジェイコブと再会できていることを願う。
サムは、ここに来てからほとんど話さなくなった。
ブリサとエミリーは気丈に振る舞おうとしているが、疲労は顔にはっきりと表れている。
クラウディオは見張りを申し出た。
一日の大半を、壁のそばで過ごしている。
彼は相変わらず、クラウディオだ。
そして、僕は……
ここで自分が何をすべきなのか、まだ分からない。
それでも、少なくとも一つの約束は守り続けている。
僕はジェイコブのバックパックを保管している。
中には、彼のカメラや、いくつかの持ち物、そしてこの日記が入っている。
空港から逃げるために使ったハンヴィーも、まだここにある。家々の裏に停められたままだ。
彼のバックパックは、トランクに残されていた。
そのおかげで、僕はこれを書くことができている。
また書くことがあるかどうかは分からない。
長い間、これが最後のページになるのだと思っていた。
だが、今こうして、何かを再建しようとしている人々に囲まれて暮らしていると、一つのことが分かり始めた。
世界は、あの空港で終わったわけではない。
飛行機が墜落したときに終わったわけでもない。
ジェイコブを失ったときに終わったわけでもない。
僕たちは、まだここにいる。
そして、ここにいる限り、語るべきことはある。
だから、この日記を保管しておこうと思う。
何日か経つかもしれない。
何週間かもしれない。
何か月かもしれない。
何年かもしれない。
だが、また書こうという気持ちが湧いたら、このページを開くつもりだ。
起きたことを書く。
僕たちが見つけたものを書く。
誰を失ったのかを書く。
誰を救ったのかを書く。
それまでは、ただ前に進むしかない。
ジェイコブのために。
後に残してきた、すべての人々のために。
今も生きている人々のために。
そして、まだ見つけられていない人々のために。
これは終わりではない。
ただ、今はここで書くのをやめるというだけだ。
デレク。
終わり。
作者の言葉
最後まで読んでくださった皆さん、心から感謝します。
『Black Road』は、七年以上前から書き続けてきた作品です。その長い年月の間、人生のさまざまな事情によって、思うように執筆に取り組めないこともありました。物語の多くは、まとまった時間を取れない中で、断片的に、少しずつ生まれていきました。それでも、書き続けようと僕を突き動かす何かが、いつもそこにありました。
この物語には、僕自身の多くが反映されています。僕は昔から、ゾンビやサバイバルに関するあらゆるものが大好きでした。映画、ドラマ、ゲーム……。このジャンルには、心の底から惹かれています。『Black Road』は、そんな僕の好みを形にした作品です。冒険、喪失、緊張、さまざまな感情、そして難しい決断に満ちた旅なのです。
もっと時間があれば、もっと多くの道具や環境が整っていれば、あるいは違った形で作品に取り組めていれば、さらに素晴らしいものにできたかもしれない。そう思っているのも事実です。しかし同時に、今のこの作品が、長い時間をかけて積み重ねてきた、個人的で誠実な制作過程の結晶であることも分かっています。だからこそ、僕にとって特別な価値があるのです。
この作品に手を伸ばし、読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。そして、もし気に入っていただけたのなら、その感謝はさらに大きなものになります。もしそうでなかったとしても、ぜひ率直な感想を聞かせてください。どこを改善できると思ったのか、何が期待に合わなかったのかを知ることも、成長し続けるために欠かせないことだと考えています。
このプロジェクトは、もともと完全に個人的なものとして始まり、時が経つにつれて、出版作品へと変わっていきました。その道のりには、僕にとって非常に大切な人たちがいました。特に、心から愛している恋人のカロリーナには、たくさん助けてもらったことを感謝しています。経済的に支えてくれた両親のミゲルとルシア、そして『Black Road』の進捗を数え切れないほどの夜にわたって聞いてくれた友人のガロにも、心から感謝します。二人とも、制作の全過程を通して僕に寄り添い、力を貸してくれました。
本作に使用されている画像は、DALL·E 3のツールを使って生成し、その後Photoshopで編集したものです。常に、視覚的な体験をより良いものにすることを目指してきました。将来的には、アーティストによるオリジナルイラストを収録したバージョンを発表したいと考えています。また、コミック版の制作も計画しています。
そして、これで終わりではありません。
『Black Road』には続編があります。第二部はすでにプロジェクトとして存在しており、物語の土台も、始まりも、結末も、明確な方向性も決まっています。あとは、腰を据えて執筆を完成させるだけです。制作の進捗を追いたい方は、公式SNSで『Black Road』を探してみてください。そこで、進捗や最新情報、公開予定日などを共有していくつもりです。
この旅の一部になってくださったことに、改めて感謝します。
また会いましょう“Black Road: D̶e̶r̶e̶k̶'̶s̶ Tábata's Diary”.




