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苦手な方はご注意ください。

ツリー・オブ・ライフ ~精霊たちの異類恋愛譚~

晩夏のハネムーン

作者:葵ふたば
ヘイゼル×ルチシャ
異種婚姻譚(竜×人間)


古い伯爵家に生まれたルチシャは、いずれ家の為に嫁ぎ、子を残すのだろうと思っていた。
けれども幼い頃に、父に見放された母親の悲劇的な姿を目の当たりにしたせいか、恋や結婚に対して特別な期待も望みも持たなかった。

………貴族に生まれた女の義務として、いずれ、誰かと。

そんなルチシャの前で、真っ二つに割れた祠から出てきたのは、竜王を名乗る眉目秀麗な男性。
不思議な理屈のもと、運命の相手であると告げられたものの、ルチシャは竜のことも精霊のことも何も知らないのだ。
このままお断りするべきかと思ったが、穏やかで泰然とした姿の竜王にルチシャは知らず心惹かれていた。

「きみがもし一欠片でも僕を好きなら、好意を前面に引き出すための呪いを編むよ」
そんな困ったことを言う竜王に、ルチシャは素直に自分の心を告げた。
貴方に惹かれています。だから、貴方のことをもっと教えてください。
………あと、呪わないでいてくれると嬉しいです。

竜王であるハシバミの精霊と、貴族令嬢の、結婚に至るまでの物語。


⚫︎シリーズ作品ですが単品としてもお読みいただけます。
⚫︎ページ内に視点の変更がある場合は▽、場面の転換は▼にて表現しています。



【プロローグ】

耽溺という言葉の意味を身を以て思い知ったのは、ルチシャが十九歳になった晩夏の頃。
地上で最も力ある竜である竜王に、嫁入りしてからの事だった。

深い深い太古の森のなかに佇む、木と漆喰壁で出来た大きく荘厳なお屋敷、その一室。
部屋の主が竜の姿に戻っても困らぬよう、主寝室は人間には想像できないくらいに広く、天井も高い。
そんな寝室に置かれた、人間が五人くらいは横になれるサイズのベッドに、人型になった竜王とその妻であるルチシャはぎゅっと身を寄せ合って横になっている。
自分を抱き込むようにして眠る竜王の立派な体躯に頬を寄せながら、ルチシャは小さく欠伸を噛んだ。

目を閉じれば今でも思い出せる。

ルチシャが生まれ、十八年間を過ごしたカントリーハウス。
その裏手の森にひっそりと佇んでいた、竜が眠るという伝承を持つ祠石。

すべてはそこから始まったのだわ…と、ルチシャは夢と記憶の狭間にその身を委ねた。


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