第三十九話 最凶と最兇
(バーン!)
その戦いは、凄まじい爆音と共に始まる。
「いいね、いいね〜剣or銃。いい対比関係じゃ〜ねぇーすか?クイーン」
「ピィピィ、うるさいね!(キン!)」
中距離から魔道銃の光弾を飛ばすチャットに切り掛かるベシル。
「お〜と、クイーンに迫られるとはドキドキしちゃうすね」
「女好きなのは良いけどさ、あんまお喋りな男は嫌われちゃうぞ!」
ベシルは、チャットに剣の先を向けて言った。
「ん?どうしたんすか。その剣は飾りすか?その異名は偽物すか?なんで剣止めちゃうすか〜クイーン」
「ふぅ〜そうだね、ちゃんと戦わなきゃ(シュ!)ね…」
(!)
ベシルは一瞬でチャットの真横に音も無く移動し
「そうは!」
「罪の鎖」
顔の側に手のひらを向けて鎖を全身に巻きつけ用とする。
(タッ!)
「避けた…」
「させない…ての」
チャットは、音も予備動作を一切無いベシルの高速の動きを意図も容易く避けて見せた。
「あ〜らら、避けられちったか」
「怖いすね〜クイーンの鎖は、捕まったら最後絶対脱出不可能。全身の力は抜け、魔量を封じ、道具もガラスの様に打ち消される。流石のチャット様もこの銃が無きゃ駄々の人間すから」
「ちゃっちゃと終わって楽になった方が…お兄さんのためかもよ♡」
甘え声を出してそう問いかけるベシルに
「そんな寂し事言わないで下さいよ。バトルまだまだこれからっすよ!」
そう言って加速でベシルのさらに距離を取るチャット。
「バター&ジョー!回転銃殺」
体制を反対にして頭を地面に向け、頭が地面につかぬギリギリのところで噴射にで自身を高速回転させながら周囲に弾幕を撒き散らす。
(キンキンキンキン!)
ベシルはそれをもろともせずに距離を積める。
「そう来くるすか…」
その声の先は天上から
「ん!」
チャットは今の一瞬でその場から何の気配を感じさせずに移動したのだ。
「マイフレンド、オ気ヅキニナラレマシタカ?」
「あ〜加速の(スピード)ことだろ」
「ハイ、彼ノ加速ノ練度ハ常軌ヲ逸シテイマス。ソノ速度もサナガラ、本来早スギル物体ノ移動デショウジル空気振動ヲ、全身ニ纏ッタ魔力ノ層ニヨッテ極限マデ減ラスコトデ気配ヲ感ジニククシテイマス」
アンキラがそう述べる様に、チャットは足音を消して高速移動するベシルさながら魔力による身体強化をしようし、空気の振動、足音、予備動作、あらゆる気配に繋がる全ての行動を極限まで減らす事であのベシルでさえ気配の探知が遅れるほどの移動スキルを見せたのだ。
「ボソボソ話してるとこ悪いんすけど〜」
チャットは銃を構え
「撃ち殺していいすかね?…弾幕の雨」
その時、天上から雨の様に降り注ぐ光弾。
「アンキラ!」
「ハイ、マイフレンド」
アンキラは、ベシルの掛け声と共に鉄剣制裁を動かし、光弾を捌き。そのままベシルは両手の鎖を伸ばしながら光弾に飛び乗りチャットに急接近する。
「そうだよな〜クイーン。それがあんたの弱点なんだから…」
(チャキ)
その周囲、真横に立つチャット。
(ギョロ)
ベシルがそれを認識しようとしたその瞬間
(バン!)
光弾は放たれた
「おいおいマジかよ…普通この距離から光弾止めるか普通〜」
「この程度で死んでたら、クイーンなんて言われてないでしょ」
「マジ…さーせん!」
ベシルは、空中でガラ空きになったその背中に蹴りを一発打ち込み地面へ
(タッタッ)
ベシルは地面に突っ込んだチャットに遅れる形で着地。
「おっと!」
チャットは、落下したベシルが鎖を伸ばそうとするのを察知して瞬時に後方へ下がった。
「で!今度はどんな仕掛けが待ってるのかな?」
「ふぅ〜純粋な実力じゃ〜クイーンは無理か…エリアカードオープン!」
その瞬間切り替わる周囲の空間。
「死電」
「ここは…」
(プープー!)
空間が切り替わた瞬間、ベシルの背後に強い光と共に現れた。
「魔道馬!」
ベシルは、背後に迫る電車のような乗り物に激突しそうになり、その天高く飛び上がってそれの屋根に着地する。
「ふぅ〜あぶ…」
「さーせんが…まだ来くるっすぜ。クイーン」
(プープー!)
回避したも思った矢先、今度は同じ見た目をした乗り物がもうベシルの乗るそれの横に激突し
(バーン!)
爆発する。
「うわ〜線路がめちゃくちゃじゃん。」
ベシルは、間一髪で避け周囲に異常さに気づく。
そう、周囲に広がるは上も下も横も入り乱れる線路と魔道馬。
「そうすね〜この無数の線路は見ての通りめちゃくちゃす。そしてそこを走る魔道馬の動きをめちゃくちゃ、どこから魔道馬が来るかなんてわかんね〜いつ衝突事故が起きてもおかしくない、そんなこの空間内で…どうやってそれをしのぐんすか?クイーン。」
「それはお兄さんも同じでしょ」
「いーやクイーン、さーせんけどそれは正確には違うすね。ライフゲームが行われたのはこれが初めてじゃな〜い。つまり、このエリアも既にチャット様は経験済みってもんすよ。」
そう、それはたった一つのシンプルな格差。経験と言うたった一つの差。この複雑で乱雑な線路を一眼見て理解するのは不可能。しかし、何度も経験のあるチャットならその不可能とも思えるエリアを攻略可能であってもおかしくない。ただそれだけの差、しかし一瞬の判断と発想がものを言う勝負と言う場に置いて、命と命のやりとりを繰り返す戦場に置いて…情報量の差は極めて重要である。
「それで!この空間に引きずり込んで何しようての!」
両者は、周囲の魔道馬を避けながら会話を続ける。
「そりゃ〜」
その時、チャットの前を魔道馬が横切り姿を消す。
「こう言うことを…さ〜」
(バン!)
背後から放たれる光弾
「同じ手を食うわけ…」
その瞬間消え去るチャット
(プープー)
押し寄せていた魔道馬に気づかず
(ダン!)
ベシルは、それに引かれる。
「危ねぇ〜」
「クイーン!こっちにもあるぜー!」
その時上空からもう一台の魔道馬が線路をチャットの仕業なのか線路を脱線し飛び込んでくる。
(バーン!)
車両同士がぶつかって凄まじい爆発が起きる。
「ヒューヒュー!綺麗な火花が上がっちまってる。まっどうせ死んじゃいねーだろけど!」
(バン!)
チャットは背後から忍び寄るベシルに気付き襲いかかる手前のベシルの顎に一発。
「え〜そこは気づかずに一発ってパターンじゃ〜ん」
ベシルはその光弾を避け、チャットはまたも距離を取る。
「残念、そうは問屋が下さんてよ!」
ベシルとチャット、両者の能力は互角とも思えるほどの技術のぶつかり合い。彼らを分けるは凶悪な鎖かはたまた兇器なる拳銃か…
「クイーン、上」
「またかよ!」
チャットが打った光弾によって上空から、魔道馬が落下してくる。
「ちっ、また見失った」
(バン!)
またも背後
(バン!)
次は真横
(バン!)
正面、左360°全方位、線路と魔道馬が入り乱れるこの場所でチャットは、加速を使い高速移動しつつ光弾を放ち続ける。
「あんたの弱点は距離だー!クイーン。あんたの鎖がどんな強力な力を持っていたとしても、発動出来なきゃ意味がない。鎖を使うにはある程度接近する必要がある。だから、さっきは仲間の力を使ってでもチャット様に近寄ろうとしたんだろ?違うか、クイーン。」
そう、それが彼が編み出したベシルへの攻略法、確かに鎖の能力がなんであれ触れられなくては意味がない。そして彼が使う武器は銃、本来遠距離から相手を狙う武器。
「なになに、これってそう言うゲーム。相手アラを探して指摘する」
「そんなの、どんなゲームいや…戦いでも同じすよねー。クイーン。」
「そりゃ〜そうだけどさ…」
不貞腐れるベシルをよそにチャットは締めの攻撃を仕掛ける。
「それじゃ、あばよ…最凶」
そのままチャットは、ポケットから取り出した召喚札からタレットを呼び出して光弾を発射させ、車両と線路が入り乱れるこの場所の、絶対になんの干渉も受けない位置から飛び降り。奈落の様なそこに落下して見せた。
(バンバンバンバンバン!)
鳴り響く銃声を心地よさそうにしながら自分は知らねーとたかをくくって勝利を確信したその時であった。
「ふ〜ふふっふ〜…ん?」
奈落の様に深い魔道馬の合間を落下して行くチャットが鼻歌を止め上を見上げる。
(ブゥワァー!)
すると視線の先に大きな炎と爆風が見え、それはチャットに向かって接近している。
「何事…」
「ロッハ〜」
炎と共に聞こえるその声の主は…
「クイーン?」
両手の鎖で二台の魔道馬を引き連れ
「お兄たま♡プレゼントで〜すよ!」
そしてベシルは、甘え声でチャットに両手の魔道馬と接触による炎を鎖で包んで投げつける。
「さーせん…マジさーせん〜」
(バーン!)
「ふぅ〜、よし!復讐完了。」
「まさか…車両ごと投げつけられるとは…」
「はにゃ?お兄たま生きてたの?」
ベシルの行動により周囲一体が吹き飛び線路も魔道馬も消し飛んだことでエリアが崩壊し素の空間に戻った。そして、目の前で血だらけボロボロになりながら立ち上がるチャット。
「は〜やっぱ"あんたさん"の力借りなきゃダメか…」
「あんたさん?」
そう語る彼の背後にある影が、姿を変え異形と化す。
『そう気に病むなって。何も"テメェ様"の遊び相手を取る訳じゃね〜。少し"あっし"が…手を貸すだけさ、一緒に打ちかまそうぜ…"相棒"』
赤紫色の異形の影がチャットにそう語りかけた。
一方BADは…
「さー!楽しい楽しい逆転ターイム。これぞ遊び(ゲーム)の醍醐味よ。」
BADがスモークに煽りを散らしていた。
「数?こちらだっていくらでも!」
スモークが周囲に煙を放ってそこからゾロゾロと現れる兄弟達。
(キューン…ビキュー!)
彼らが放つは、使用変化の一種、外界が一つ弾丸。
その魔法の弾丸が、BADを襲う
(!)
(ボカーン!)
弾丸が、何かに衝突。大きな砲煙が発生する。
「アッシュ!流石できる女は違うぜ〜」
アッシュが、魔法の弾丸を切り裂き、その先の分身達をブレイドで切り伏せる。
「ちっ!しかししかしだ、その砲煙すら」
砲煙の中から産み落とされる無数の分身。
「身共の兄弟の贄となるだけのこと…」
上空に天高く伸びる砲煙から落下してくる分身達を
「血妖の槍」
バーヴァンシー達が作ったその槍の先が押し寄せる軍政を串刺しにする。
「バーヴァンシー…」
「我々もいることをお忘れなく」
「そうなんですけどですけど〜」
スモークは、悔しそうに歯を食いしばって彼らを睨む。
(キン!)
アッシュが、急接近しスモーク本体に襲いかかる。
「そう簡単には…」
スモークは、それを防御を纏った足で受ける。
「お〜い、お兄様!」
背後のBADに築き右に回避
「だからそう何度も同じ手は…」
「そうかい…」
BADの不適な笑みと同時に、スモークの周囲を取り囲むバーヴァンシー
(いつのまに…)
「自分の魔法を利用されてちゃ世話ねーな!」
BADが、その先に斬撃を放つ。
「何を調子付いてやがるこんなもの…配線絶対防壁」
またも円形の完全防壁を展開し、バーヴァンシーの達を防ぎ。円形にしたコードを元に戻すことで周囲一帯にコードを伸ばして攻撃を仕掛ける。
「はぁはぁはぁー!結局女だよりか?このヒモやろーがー!」
「ヒモ?女だより?そうかもな、俺様は一人じゃ〜何にも出来ね〜クズ男だ。たった一人の絶対の最強じゃ〜ねぇ〜。でもな、だからこそさっき言ったはずだぜ。おれは"最強"じゃね〜…」
スモークが、防壁を解いた瞬間、その先にいたのは…
「斬撃が静止している…」
(ポン!)
斬撃が宝石の女アッシュへと変わり。
「"最協"だ…」
(ジャキン!)
「ぐはぁ!」
その剣は先程ヒビを入れた心臓部へと直撃し、それを砕き割る。
「おいおい童貞くんよ〜、漏れてるぜ…大事な魔法が…」
完全に割れたそれから、煙が漏れ出てスモークもその場に崩れ地べに倒れ込む。
「諦めな、ここで終わりなんですけど…」
BADとアッシュが剣を構え、周囲のバーヴァンシーをゾロゾロ集まって血でつくった槍を構え包囲すしバーヴァンシーの一人がスモークに対してそう言った。
「諦める…諦めるか…ふはははぁ…」
「おい、兄貴。もう終わりに…」
「ざけんな!(ドン!)」
スモークが地面を強く叩くと、周囲を包囲しているバーヴァンシー達は、その槍をスモークに近づける。
「この身共が諦める?勝負をか…この裏番である身共が…上からもの言ってじゃねーぞ!クソガキ!」
「あ"!テメェー!異加減に…」
「やめろ、フワクルちゃん。」
「BAD様…」
BADは、切れかかったフワクル髪金バーヴァンシーを静止する。
「もう、観念しろ。勝負は終わりにしようぜ…兄貴。勝負ってのは引き際が肝心、何も命まで…」
「情けか?それは情けかー!」
「…」
「そう言うとこが昔から嫌いなんだよBAD…この身共のことをいつも蔑みやがって…なんだ!魔法か?剣技か?知力か?人望かー!。いっつもいっつも痴れは身共にねーもんをぜーんぶ持ってやがる。それだけじゃ飽き足らず身共の周りのもんまで奪おうとしてやがる!。部下から信頼、期待…何もかも痴れのもんだ…」
「…」
BADは、何も言い返せない。
「なんだよ、次は同情か?。そう言うのが上から目線でムカつくんだよー!…そうだ…身共が…」
その瞬間、スモークから放たれる強烈な黒い煙のが周囲に放たれる。
「ゲホォゲホォゲホォ、これは…いったい」
「黒い…煙…」
その視線の先に潜むのは…
「頂点なんだー!」




