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第二十一話 絶望の2

「愚僧の六感支配は…」

なんと、美しき花達(フラワーズ)の魔法に攻撃され、縛り付けられていたのは…ドクターだった。

「うっう…」

(愚僧の魔法…"銅鈴の静音(コッパーベル・ザ・サウンド)"は、鈴の音を聞いた者の全感覚を操ることのできる魔法。ここに来て、愚僧と出会った時点で貴殿の敗北は決まっていた。)

「くっ…」

ドクターは、自身の魔法でボロボロになったその身体を起こす。

「まだ立ち上がれましたか、貴殿の左目は確か…万病を見据え治癒する力を持つ左目。"薬眼(エリクサ)"その能力は、異能認識、万能薬、絶対構造理解の計三つでしたね。恐らくその中の万能薬で六感支配と言う状態異常を解除しましたね。しかし、肝心のダメージは残っている。万能とはよく言ったものです。ですがそれも無駄、何故なら薬眼(エリクサ)の万能薬の能力は、一日一回しか使えないはず。それなら、もう一度鈴の音色を聞かせればいいだけのことです。」

「それは、させない!大きな(ビックフラワー)そして、これを」

「召喚札…」

ドクターは、さっきよりひと回り以上大きな、薔薇を出現させ、召喚札その薔薇貼り付ける。

「マンドラゴラと大きな(ビックフラワー)複合(ユニオン)…大きな音花(ビックサウンドフラワー)

その薔薇からは、爆音が鳴り響く。

「君の魔法は、銅鈴の音を聞かせることで、相手の六感支配。つまりは、完全支配を可能とする。ならば、その音をさらに大きな音でかき消せば良い。考えて見れば単純だ…」

ドクターは、鼓膜が消し飛ぶほど大きな声で相手を攻撃。自身は、魔法の薔薇で耳を塞ぐ。だが…

(チリン…チリン…チリン…)

「鈴の音だと!」

ブロンズは耳を塞ぐどころか、動揺すらしていない。ただ、鈴をした腕でで、手を少し叩くだけで

「完全支配…完了だ。いってらっしゃい…夢の世界へ。」

「くっ…美しいき花達(フラワーズ)…の(ザ・スパイン)

ドクターがそう詠唱すると、薔薇の蔦からさっきまでなかった棘が出現。

「グハァ…」

棘を生やすとドクターは、その蔦でブロンズを攻撃。

「その分じゃ〜…近接戦に向いていないと言うのは…本当らしい…な…」

ドクターは、棘付きの蔦で薄れる意識の中、最後の攻撃だった。

「はは…最後の攻撃と言うわけですか…ですが無駄ですよ。こんな棘風情…ふん!」

自身の棘の刺さった半身に、魔力を纏い。棘を周囲に吹き飛ばした。

「はぁ〜この程度が64億の首とはな。五大国も聖貴族もいったい何を考えているのやら…まぁ〜しかたないでしょね〜。なんて立ってあなたは…戦争を激化させた原因であり、神の力を犯す禁忌の術。錬金術を生み出した災厄の魔女…"ローズ・ウェア"」

ブロンズは気絶している。ドクターの顔に触れ…耳元でそう呟いた。

「あ…なんだ…頭が…」

ブロンズの勝ち誇ったその顔は、急な眠気によって…断たれた。

「は!はあ〜はぁ〜。これは…幻覚じゃないよね。頬をつねると言うの試して見ても良さそうだ。(グウ〜パン!)あんっ!。うっん、変な声をが出てしまった。」

ドクターは、産まれて初めての頬つねりに喘ぎ声が漏れる。

「どうやって…」

「まだ起きていたのかい?単純さ、さっきの爆音の際。君は動揺どころか、耳を塞ぎもしなかった。それはつまり、君がただの鉱石系の自然属性の使い手ではなく、風の派生属性である。"音"魔法と合わせて魔法を使用していた。空気の強い震えによって起きる爆音を、自身の周りだけ音魔法によって音の層を作り。音を相殺した。そして、それをボクの左耳にも同じ様に、音を相殺した。だから、鈴の音色が聞こえたんだ。あ〜あと、これは盲点だったけど、君の能力は五感支配ではなく、六感支配つまりはボクの魔法も支配できるんだったね。通りで魔法の薔薇では音を防げない訳だ。」

「それは…わかる…だが…愚僧に何を…」

ブロンズは切れそうな意識の中、必死に眠気を抑え、地面に這いつくばってドクターに聞く。

「あ〜、それはさっきの棘に仕掛けて置いたのさ。」

「仕掛…ける…」

「大型モンスターも一撃で眠らすほど強い麻酔をね。君の魔法、自分の感覚も支配できるのかと想定していたから。効くのは早い方がいいとおもって。ほら、薔薇の棘。刺さったろ。あれは出し入れすることが出来るのと、自身で作った毒を薔薇に飲ませて棘を使って相手の体内に注入する。つまりは、自然のお注射見たいなものさ。」

「そん…な…バカ…な…」

「何を言っているだい?君が自分で言ってたじゃないか。ボクのことを錬金術師だって、だから毒の調合ぐらいは朝飯前さ。」

ドクターは不適な笑みで答えた。

「そん…な…愚僧の魔法は…最」

「最強だよ。君の魔法は…それじゃ〜意識が飛ぶ前に君の敗因を教えてあげようか…。まず第一に、君はボクを舐めすぎた。相手が誰であれ、侮ってはいけない。こんなの、戦場じゃ〜常識だろ。ま〜平和になった200年で生まれ育った君たち騎士団では到底理解できないかも知れないが…そのニに、君は努力を怠った。他の騎士もそうだがね。この国の騎士は自身の才能にかまける雑魚ばかりだ。使用変化と言うのは、複合(ユニオン)を除いて、全て鍛える事で習得できる。なのに君達は、自身の魔法をひけらかすばかりで、技術を磨こうとしない。それが君達騎士団の敗因さ」

「かぁ〜…」

ブロンズは、いびきを抱えて寝ている。

「な〜んて、もう聞こえちゃいないか。」

第三ラウンド!ドクターWIN!

その頃ベシルは…

「はぁ〜とんだチートてすね。相変わらず。」

「でしょでしょ〜。」

シグネットと対峙していた。

「やはり…わかっていましたとも。この戦い勝利することは、あたくしでは不可能だと言うことは…」

「へ〜諦めがいいじゃない〜。」

「諦め?そうですね。あたくし一人で討ち取るのは諦めましょう。」

「ん?」

「出番ですよ!"RD"…」

加速(スピード)で大きな音を立てて現れたその正体は…

「ワァ〜オ、あんたが来てくれるとはね〜。こりゃちょっと本気で行かないとまずいかもね。」

大きくRDと書かれた囚用のツナギの様な銀色の服に身を包み、顔が見えないくらい深くフードを被ったその男。

「及びでしょうか…シグネット様。」

「例の奴を…頼む…」

「例の奴?」

「了解!」

そう言うとその男は、黒いダイヤモンドの床に触れ…

「弾け踊る(フラックス)

すると突然地面が虹色の鉱石となり。それが弾け飛んで、フロアの床が消し飛んだ。

「え?」

落下した。

シグネットは落下の直前。光速で安全な最上階に続く階段に乗り込み。

「バイバイ〜…あの世にね…」

とベシルに告げた。

「こりゃ〜まずいね〜。」

ベシルは鎖で身体を丸めて鎖を全身に纏う。

落下と同時に弾け飛んだ鉱石が光速でベシルの襲い掛かる。

「弾けた物は…必ず戻る。それが(オノ)の魔法。」

「本来物体は光速を超えられない。だから光術で光速で動く術、光速移動(ルーメン・ムーブ)を使う際は、同じ光術である。光化(ルーメン・フォルム)を使用して、肉体をエネルギーに変化させ、一旦物体を止める事でそれを可能にする。普通…わな…」

二人はベシルが、光速で動く虹色の鉱石に襲われるところを見上げながら、そう話していた。

その頃落下し、襲われるベシルは…

「流石にピンチじゃね?これ…ま〜でも地面に落下するまで待てば…」

「と、"貴君"は考えるだろ〜。しかし、地面を見たらそれが不可能である事は明らかだ。」

「え〜マジ〜」

ベシルが驚愕したその先にあるものとは…

「地殻…この大地の中心に存在とてつもなく熱い空間。そこに落下すれば流石のあなた様でも死亡する。だが、あなた様の鎖はその温度すら封じる事が出来る。だが!それをすれば鎖の中でだんだん酸素は失われ、鎖を解除しようものなら…焼け死ぬ。だからと言って途中で鎖を解除すれば地殻まで続く、光速で弾け飛んで光速で元に戻る彼の魔法の鉱石。"弾け踊る(フラックス)"によって蜂の巣になる。つまり!…あなた様に残された選択しは…」

「死…のみと言いたいのでしょうが…彼女を舐めない方が良いと思います。シグネット様…」

「なぜです!」

「それは…彼女が世界最凶…もしかしたら、死と言う因果すらも、封じてしまうかもしれない。」

その頃ベシルは…

「そろそろ酸素もキツくなってきちゃったし〜。あれ使うと、疲れるから嫌なんだけどな〜。」

その頃上では

「それはないだろ〜流石の奴も…」

不審な金属音

「ん?」

突然なった不審な音とともに

「鎖!」

「たっだいまー!」

「は?…」

ベシルは上に戻ってきた。

「どうやって!」

「え?お姉さんの鎖同時射出4つで、しかも無限に伸びるから。鎖の一つで身体を守って、もう一つを上に投げて鎖を伸ばせばして、それを元の長さに戻せば戻ってこれるじゃん」

「は?」

「はは、そういう事ですか。シグネット様、あの鎖伸びた後腕に纏える長さまで戻れるんですよ。」

「でっでも、身体を守るには…」

「だから4つ鎖があるんだって、無限に伸びる鎖をね。」

その言葉を聞いてシグネットは唖然とする。

「はは!」

「そんなの…チートだー!」

「だから自分で言ってたじゃん!」

そう言って、シグネットはその場で膝を突き、白目をむいて気絶した。

第二ラウンド ベシルWIN

「…」

「それで…あんたはどうすんの?理想の息子…ラインハイド計画別名RDの第二世代。いや、こう言った方がいいかな?"ラインハイド2世"くん。」

その頃ニヒツは…

そこは城どこかにある。凄まじく高い天上を持つ…円柱の土台の上。

「ここにいたんですね…」

その場所の周辺は、底が見えぬほど深い円形の穴

「来てしまったんだね…ここに…」

その中心に立つ、右目が完全に隠れるほど長い黒髪と、一本だけある紫メッシュの髪。口から足まで覆うほどの長い黒の軍服に黒のブーツ。そして軍服の口元に描かれた。ニッコリマークを逆にした様な紫の決して笑わないマーク。その正体は…

「ヒュースさん…」

「何かね?」

「どうしてですか…」

「どうして?何がかな」

「なぜ!彼らを…団の仲間を殺したんですかー!」

「…」

ヒュースは黙っていた。

「彼らは…彼らは!あなたを慕い…信じていた。それなのに…なぜ!」

「任務だからだ」

「任務…」

その言葉に、ニヒツは目を見開き唖然とした。

「そうだ…」

「任務だったら!人だって殺していいんですかー

!」

「そうだ…」

「え…」

すでにその言葉は、ニヒツの倫理観から外れた…言葉だった。

「逆に聞くが…貴様は、私がなぜ黒騎士と呼ばれるまでに至ったのか…考えたことはあるか?」

「それは…騎士として活躍し、その強さを証明したから…」

「それでは…どうやってその強さを証明するんだ。どうやって活躍を国に提示するんだ。」

「それは…」

「それは任務だ!任務をこなすこと、どれだけ多くの任務を!どれだけ過酷で辛い任務だろうと!それを物怖じせず、やり遂げる。それが例え…同胞を打つことになろうとも。それがかつての部下だとしてもな…」

やはり、ニヒツには理解できない。

「じゃ…じゃー!あなたは!今までも…黒騎士になるまでにも数々の人々を殺して…」

「そうだ!」

「…嘘だ…嘘だー!」

ニヒツは頭を抱えてうずくまる。

「それなら好都合だ…」

ヒュースは、ニヒツに暗黒剣を向けた。

「ヒュースさん…あなたは、ブラックビレッジと言う村の人々を…殺したことはありますか…」

「あー…」

「あなたは…王宮専属錬金術師の女性を…殺したことがありますか…」

「あー…」

(ふぅ!)

剣を天高く上げ…振り下ろす。

ニヒツは後ろに避けた。

「最後に聞きます…」

「なんだ…」

「これからも…それを続ける気ですか…」

「あー…もちろんだ」

ニヒツはこの言葉を聞いて、その俯いく顔には…その赤眼には…

「わかりました…あなたこれからも人を傷つけると言うのなら!…僕があなたを…打つ!」

剣を初めてヒュースに向け、顔を上げたその充血し、血走った目には…涙が…流れていた。

「こい!」

「うぉー!」

ヒュースは、ニヒツを煽り。自身の元に近寄らせる。

「すまない…」

ヒュースは接近するニヒツの胴体に防御無視全てを塵に変えるその剣で心臓を…

「つく!」

ニヒツはその瞬間ヒュースの視界から消える。

「消えた!」

「あ!」

ニヒツは、一瞬で背後に周り凄まじい威力の蹴りをヒュースの背中に決める。

(凄まじい威力…ほとんどモーションが見えなかった…。あの女か…)

「ドロップ!」

ニヒツは、ヒュースの剣に触れる。その直前で、横に避け、身体に直接剣を…

ヒュースも、瞬間的その攻撃を避けた。

「僕はあなたを許さない…」

それはニヒツの心通(ハート)によってヒュースに伝えられた凄まじいほどの殺気…

「そんな目をするとはな…では見せてやろ〜最強の壁を…」

その瞬間…二人の目があったその瞬間!

(ドゥーン!シュシュシュシュシュシュシュシュシシュシュシュシュドゥーン!シュシュドゥーン!)

その凄まじいほどの加速(スピード)と、剣撃のぶつかり合いは、すでに常識には認識すら不可能なほどの速度。そして、今までに見たことが無いほどの衝撃(インパクト)を放って、周囲に逆鱗が走る!

(シュシュシュシュドゥーンシュシュシュシュドゥーン)

だが、今だ…剣と剣がぶつかり合うことは無い。何故なら、ヒュースの剣が一撃でも剣に当たればニヒツの剣は塵となり、ゲームオーバーが決定する。対してヒュースも、この足場の少ない戦場で落とされれば落下死は避けられない。

(シュシュシュシュシュシュドゥーン)

二人は一瞬の気を緩めることなく、凄まじい速さで、剣を打ち続ける。

その時、ヒュースの消滅の刃がニヒツの剣を握る右腕を切り裂く。

「これで終わりだ。」

誰もが、そこできっと諦めるだろー!だが、ニヒツは違った。

全力(フルパワー)!…衝撃(インパクト)!」

例え、利き腕を犠牲にしても、ヒュースの後頭部へ全力の蹴りを入れ攻撃を続ける。

「くっ…舐めるなー!」

ヒュースは、着地する直前のニヒツの左足を切り裂く。

「くっー!(ガシ!)青月(ブルームーン)抜刀!」

ブルームーンの青き月光の刃まで出して、残った左腕で剣をにぎりしめ。残った右足で立って、身体を捻って強く切り付ける。

「無駄!」

残った右足を斬られ。」

倒れる瞬間偶然ヒュースの方へ切り裂く形で落ちた青月(ブルームーン)

「そん…な…」

青月(ブルームーン)の光すら…ヒュースの暗黒剣・(ブラックダスト)の前では…無力だった。

月光の刃すら…ニヒツを裏切った。

「まだ…だ…」

それでもニヒツは…諦めない。

「いや…もう終わった。他の団員と同じ様に…(ボキ!)」

「うぁー!」

ヒュースは、折れないニヒツの心を折るためにあえて、塵に変えず。足で腕の骨を折る。

「くっ!」

(ブウォン!)

それは、ニヒツの目から放たれた殺気。

(ブウォンー!)

だが、それもヒュースの凄まじい殺気によってかき消される。

「やはり…貴様もこの程度か…」

ヒュースは剣を向けてそう言う

「ま…だ…」

「はぁ〜なぜここまでの力の差を見せつけられて、貴様の必殺の刃すら砕かれてもなお…立ち上がる。」

ニヒツは、地面に這いつくばりながら答えた。

「僕の…正義を…果たすため…」

「正義だと…では問おうか…お前の正義とはなんだ…」

「全ての人の命と笑顔を守ることです!」

「では、法とは?」

「正義です。」

「では、法は誰が定めた…」

「国です…」

「ならば…私に歯向かう貴様はなんだ…」

「僕は…」

その時初めてニヒツは言葉に詰まった。

「答えられぬか…ならば教えよう…国にあだなす貴様は…悪だ…」

「僕が…悪…」

その時ニヒツは自覚した。自分が戦っているのは、人々を危険に晒す悪であると言う。大義名分が今まであった。ウルシーの時も、村にやってきた騎士団も、街を襲った薬中も…しかし、今相手にしているのは…人々を脅かす一個人では無く…人々の住む国自体なんだと言うことを、そして目の前で人殺しをしたと認めた存在は、他ならない正義の代表者。帝国最強の黒騎士であることを…

「だってそうだろ、貴様は今や懸賞金を出されたお尋ね者。しかも、今貴様と共闘しているのは、かの有名な大犯罪者…"ベスル・ラブ・アンベシル"なのだから…」

そう、自分が信じてついていった。共に帝都を攻めようとしている。女は、国の敵対者、法の違反者、人々を脅かす象徴的な存在であることにも、同時に気付かされた。

「僕は…」

「それでは、再び問おか…お前の正義とはなんだ!」

「僕の…僕の…」

こうしてニヒツは、立ち上がる足も、剣を握る腕も、そして…立ち向かう"覚悟"もなくした。これで昇進書面の完全敗北となった。

(あれ…正義て…なんだっけ…)

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