第十九話 金と黒と桃
「ベシルさん…」
「ロッハー〜ニヒツ様。」
騎士団一同が、その存在の登場に唖然とするなか、ニヒツもまた、その存在の異質さに唖然としていた。
「0(シード)だと…なぜお前がー!」
そう叫ぶゴールドの首筋にピンクの大剣が…
「そりゃ、上を見りゃ〜わかるでしょ〜よ。」
背後にはBADの姿
「上だと!」
ゴールドが上を見ると、ニヒツ達の周囲だけに、狙ったかの様にヒビが入り、そして地面が割れた。
「ベシルくん、階段からじゃ間に合わないからって、何も一撃で地面破壊して地下にいるニヒツくん達のもとまで降りるのは…得策とは言えないと思うのだがね。」
「いや〜でも間に合ったしー、結果良ければ全てよしじゃん?」
「はぁ〜君って奴は…」
そう言いながらドクターは、長い花の蔦を使って降りてきた。
「流石フェラ姉ーは違うね〜。」
「下郎ー!なぜ帰ってきたー!この一族の恥晒しがー!」
BADの背後に現れる、金で出来た花の円盤。
「久しぶりに合う実の弟に…そりゃないだろーよ!…姉上様。」
ゴールドの作り出した魔法の円盤から、光の速度のビームが放出される。放出と同時にルチルは光の速度でそれを避け上に跳び地下の狭い天上に、張り付く(ステック)で張り付きそれを避ける。
「ま〜いいですわ。今回の任務は、モルモットの捕獲でしたけど、下郎共が相手では武が悪いですからね〜。それに、今回の任務が果たせなくとも、0(シード)下郎をこの場に誘き出すことが出来ましたから。」
「随分と潔いな、サイドコーンちゃん…」
「人を髪型で呼ばないで下さるかしら、わたくしの名は、ゴールド・K・ゾンネ。それに、潔いが良いかは…このわたくしが揃える帝都最強にして"最美"の騎士団。黄金の光花の一団を倒してからにしてくださるかしら。者共、やっておしまい!」
そう告げると、一瞬光がきらりと輝く間に、ゴールドはその場から消え。そして、残った騎士団は一斉にベシルに襲い掛かる。
「じゃーそーさて…もらうかねー」
ベシルは襲いかかってくる。騎士団達を石の大剣で吹き飛ばす
「うわぁ〜敵には容赦ね〜。」
「魔道銃部隊一斉射撃容易ー!…打てー!」
地下通路の両サイドから現れた騎士団はBADのいる。天上へ一斉射撃を開始する。
「数は多いが…おせぇ〜。」
BADは、天上から降りて降りて、魔道銃の猛攻撃をウケるが、その全ての弾が、ポッケに手を突っ込んで歩いて見えるBADには当たらない。
「攻撃が…当たらない…」
「そんなはずは!魔道銃は、音速ですよ。」
「だから…それがおせぇって言ってんだろ…」
「なに!」
BADは、騎士団の背後をとって、そのピンクの宝石の大剣で切り裂く。
「安心しとけ…峰打ち…ツー奴なんだろ。」
BADは、誰かの受け売りの様にキメ顔をしてキメ台詞を言った。
「よっしゃー!あとは任せられるかい?ルチルくんー!」
「いいすけど…BADって呼んでくださいって言ったじゃないっすか!フェラ姉ねー!俺様一応犯罪者なんで、偽名は守ってくださいよー!」
BADは、残った銃撃団員の攻撃を避けつつベシルと話す。
「わかってるわかってるって。じゃー!行くからねー!」
「ウィースー!」
そう言うと、ベシルはドクターの蔦をつかみ、ニヒツとシロムを担いで上に向かった。
「よーし、ここまで来れば地上かな?て〜」
周囲には民間人を見てベシルとドクターは何かに気づいた。
「下手な芝居は…やめたまえ…魔量の流れでお見通しだ。」
「あ〜あ模倣を見破るとはね」
模倣とは、ユニオンによって生まれる無属性魔法の一種である。この魔法を使用すると、想像した姿に変身することができる。しかし、能力は変わらず、見た目だけを再現する。魔法騎士団要請学校で一番最初にやる技でもある。使用するこつは、なりたいものへのイメージ力である。
「ベシルくんほどじゃ無いがね。ボクの眼も…少し特別なんだ。」
そう語るドクターの緑の左目には、十字の印が浮き上がっていた。
「まさか、我ら黄金の光花の魔法が見破られよーとは、流石…"薔銀の魔女.ローズ・ウェア"その名は伊達ではありませんか?」
そう語る、編み込みショート襟足編み込み男団員がドクターにそう語ると。周囲にいた人々全員から湯気が出た瞬間その姿は、紛れもない騎士団員達に変わった。
「ベシルくん、ここはボクに任せて先に行きたまへ。大人数戦は、ボクの得意分野だ。君には負けるがね。」
「OK〜それじゃニヒツ様ー!シロムくん!出発おしんこー!」
そう言うとベシルは、シロムとニヒツを担いで、加速にも匹敵するほどの速度で走って言った。
「ふっ」
「一人とは余裕ですね〜。流石"魔女"様だ。」
「そんな古臭い歴史を…まだ根に持つとは…君たちもまめだね。美しき花達」
その頃ベシル達は、帝都のビルの壁に鎖の先端をぶっ刺しながら…
「うぉー!スッゲー!」
ビルの間をワイヤーアクションがごとく飛び回る。
「へへ〜!凄いでしょ〜。人呼んで蜘蛛女ってね!」
「…」
だが、ニヒツは一人考え混んでいた。
「なんだー!あのデカい薔薇はー!」
遠くから大きな音がしたと思い、シロムが後ろを振り返ると、高層ビルが立ち並ぶこの帝都ですら、はっきり見えるほど大きな薔薇が咲いている。
「お〜盛大にやってるね〜あっちも。」
「…」
そんなニヒツを見てベシルは言った。
「おねいさんを許せとはいわないよ。正義感の強いニヒツくんじゃなくたって、世界一の犯罪者しかも、16億人を殺した。そんな殺人鬼に手を貸したく無いのはわかる…だから、ニヒツくんはニヒツくんの戦いをしなよ。今やってるこれも、今回の戦いも、協力でも共闘でも無い。ただ私が勝手にやってること。」
「…」
「犯罪者が、君を誘拐したに過ぎない。その到着地点が偶然。帝都の王城だっただけの話ってね」
そう語るベシルの前でも、当然ニヒツは黙っていた。
「そこで、止まりなさいー!」
「おーと、空飛ぶ武装機械馬車が飛んできやがった。女の子と子供二人に容赦ないな〜。」
帝国は空飛ぶ武装機械馬車に搭載された。魔道マシンガンを表に出し
「え?マジ…」
「打てー!」
魔導マシンガンを連射してきた。
「うわぁー!マシンガンを人に向けちゃいけまーせん」
ベシルが、例の赤黒い鎖を腕に纏い高速で腕を振ると、騎士団のマシンガンのエネルギー弾を全弾ばじき返える。
「おい!こっちくるぞー!全員退避」
空飛ぶ武装機械馬車のマシンガンを全て壊した。
「あれ?空飛ぶ武装機械馬車が壊れてない。」
騎士団はベシルが、跳ね返した球を全弾マシンガンのみに当てていたことに驚いていた。
「女の子にマシンガン向ける奴がいるかー!全く。」
「ずげ〜ベシル姉ちゃん」
「…」
ニヒツが考え混んでいると、目の前に見えるのは高層ビルの立ち並ぶこの街には、合わないゴシック調の宝石でてきた建物。
「おー!スッゲーキラキラしてるぞー!あの建物。」
「あ〜間違いね〜あの"ブラック・ダイヤモンド"で作った。胸糞な建物は…」
「まさか…あれがー!」
「帝都…王城…」
そこに聳え立つは、帝国のシンボル。王帝ディムナシルヴァが住む王城。
"金剛石の王城"
ベシル達一向はそこに到着するのであった。
「よーし、到着到着。」
「ここがー!でっけー!カッケー!眩しー!」
シロムは、見慣れない景色の中でずっと目が輝いている。
「…」
ニヒツ以外は…
「ニヒツ様…さっきも言ったけど…自分の戦いをしな。それをしに来たんでしょ。」
俯くニヒツの肩に手を置いて、ベシルはそのニヒツの目を真っ直ぐ見つめていた。
「…」
「どうしたんだ?ベシルの姉ちゃん。」
「うんん、なんでもない。それじゃーねー!」
ベシルは、ニヒツを見つめたあと。シロムの言葉を聞いてそのまま先王城に入っていった。
「どすんだよ…ニヒツ」
「…行きましょう…彼女らとは違う道を…」
「…その癖、ずっと足音消してんじゃん。」
ニヒツの心情は、揺れ動いていた。それはベシルがただの犯罪者であれば、迷うことは無かった。
"通りすがりのお姉さんかな?"
"終わったぜニヒツ様。大丈夫かい?たてる?"
"大丈夫かい?ニヒツ様!シロムくん。"
(何度も何度も…僕を助けたくれた。…それだけじゃない…あの人の目には…英雄がいた…)
ニヒツは、ベシルへの違和感を拭えぬものの。その足は、"自分の戦いをしに行った。"
そのシロムは…
「あれ〜ここ…どこ?」
二人に置いていかれ、城内で…迷っていた。
「えーと〜、確かニヒツはこっちの方に〜…あ!」
シロムの視線の先には、黄金の部屋が…
「お〜スッゲー!キンピカだー!」
シロムはその部屋に走って、侵入する。
「下郎〜あの時見たと〜り。馬…鹿…ですわね」
背後に現れるは、ゴールド
「あ"…喧嘩売ってのか、おばさん…」
第一ラウンド シロムvsゴールド
「あら〜事実を言われて切れてんのかしら〜。これだから…野蛮人は!」
(はっや!)
その速度は、光の速度で…
「困りますわ」
「グハァ!」
(ドーン!)
シロムを蹴った。
「これなら、一瞬で終わりそうですわ。」
(ヤベェ〜このおばさん、早すぎて見えねぇ〜。なんで人間が、こんなスピードを出せるだ〜。ハスキーが持ってた本に〜。物体は、光の速度を超えられないとか書いてあった気がするだが〜。ん?)
シロムは立ち上がり、構える。
「立たなければ良いものを〜。タフ過ぎるのも…考えもの…ですわですわ…ね」
そう言いながら、シロムに攻撃を仕掛ける。
(なに!)
ゴールドの光速の攻撃をシロムは一度受けただけで避ける。
「やっぱな…その攻撃、速いのは良いが単純だな!」
「なにを…」
シロムは何かに気づいたような口調で向かってきた。ゴールドを蹴るがゴールドには攻撃があまり効いて無いように見える。
「ルチルのやろーもそうだけどよ〜動きが単調なんだよ。その魔法、光の速度つうのは、俺が知る限りじゃ。数秒の間に世界一周しちまうだろ。つーことはよ、そんな速さの攻撃をこの短距離にで活かすには…"動きを単調にするしかない"だろ。」
(まっ、ハスキー部屋に無断で入ったとき偶然落ちてきた本の中に書いてあったことそのまんま、言っただけだけど。)
「あはは…そうですわね。流石間に慣れていない技を使うのは…舐めすぎましたわ。それじゃ…」
三つ黄金の花が出現。
「きやがったな!」
「わたくしの得意分野でいかせていただきますわ。輝ける黄金の花」
ゴールドはシロムに向けて黄金のビームを一斉乱射する。
「これぐら」
(はや!)
「ガキー!」
光速のビームを避けられるはずもなくシロム絶対絶命
「おい!ガキー!」
ゴールドの光速のビームからシロムを守ったのは
「ルチル!テメェー!なんでここにきやがったー!俺ちゃんはまだ許してねーぞ。」
ルチルだっだ。
張り付く(ステック)で周囲の壁に張り付く。
「うっせぇ〜ガキだな〜。今はそんなこと言ってる場合じゃねーだろ!いいか、あの女のビームは全て光速で飛んでくる。しかも、あいつは付与だ。だから、お宅の言った弱点もほぼ皆無だ。だから…」
「テメェーとは、組まねーし、テメェーの言うことは聞かねー!」
「だから言ってんだろーが!そんなこと言ってる場合じゃ」
「よそ見とは余裕ね。ルチル」
ルチルとシロムが言い合いをしているとゴールドが打ったビームを
(ちっ!これだから…)
「ガキは、嫌いだ。」
BADは愚痴をこぼしつつ、シロムをつれ光速で逃げる
「おい!」
「なんだよガキー!まだ文句あんのか!」
「ちげーよ。どうすればいい…」
「は…良いぜ、一回しかいわねーからちゃんと聞けよ。」
「おうよ!」
BADとシロムは共闘を決めた。
「うっし!了解ー!」
「ごちゃごちゃうるさいですわー!」
その速度はほぼ瞬間移動。
「黒星砂の(ネーロ・)…」
輝ける黄金の花から放たれるビーム。その威力は一発一発がダイナマイトなみの爆発と同等。だが!
「雑魚が調子乗るからよ。下民不在が!」
ゴールドの光速ダイナマイトが、シロムに直撃
「怪物完成形」
シロムは、ゴールドの攻撃で起きた爆風でやられたと見せかけ黒星砂で壁をつくり。爆発を防ぎ、黒の猿の体に狼の手足をもつ化け物になった。
(なに!)
ゴールドは、後ろに光速で退避
「危ない危な…」
「姉上はプライドが高い上に、自信過剰だからな、隙が出来ればつくのは簡単」
ゴールドの胸にピンクの大剣がぶっ刺さり貫通する。
「おいおい!何も殺すことは…」
「馬鹿ー!さっき言ったろこの女はー!」
「死なないわよ」
シロムの目の前には、さっき心臓を潰されたはずのゴールド
「なに!」
シロムを蹴飛ばし、そのままシロムが壁に近寄った瞬間、黄金の壁が開く。
「あのガキー!」
ゴールドは、BADに光速移動を使う。
「あんたもよ。」
「そうはいかねーよ。」
ゴールドの踏んだ床には…
「トラップ!」
魔法の地雷が爆発。
光魔法で避け
「そんなもん効かないわよー!」
黄金の光速ビームがBADを襲う。
BADは全弾を光速で避ける。
ゴールドは、追尾してくる光のビームを避けさせる事で、思考の読みにくい策士BADの動きを読みやすくして。同じように、光速で動くBADの隣に
「これで終わりですわ!(ダン!)」
BADが光速の蹴りで上空に蹴り飛され。その瞬間、建物の黄金の壁開く。
「あんたが"光術"を使うとはね。」
「俺だって使いだからねーさ〜」
(声が近い!)
さっき飛ばしたはずのBADが、黒い羽をはやして背後に飛んできた。
「あたりめーだろ。あいつ…アッシュを殺した技なんか、使いたかねーよ。」
これはまだ、俺様がBADと名乗る前、ルチル・ゾンネとして、騎士団にいたころ。
"俺様には、何もなかった…
「うぎゃー!うぎゃー!」
「お〜こっちの子は母さんにているな〜。」
俺達を産んで死んだ母にみれんたらたらだった内の親父は…母に似た姉上を愛していた。だから、俺には産まれながらに与えられるはずの両親からの愛すら与えられず。俺様は使用人達が面倒を見ることになった。
「ルチル坊っちゃま〜こっちですよ。」
「バーブバーブ」
それでも別に良かった。実の親からの愛でなくても、使用人達でも、よかった。だが…それすら…運命は俺様から…奪った。
「黄金の魔法…ルナルお嬢様が、黄金の魔法を、お使いになったぞ。」
「直ぐに、エール様にお伝えしないと」
黄金の魔法…ゾンネ家の投手は代々、ゴールドの名を冠し、黄金の魔法を扱うものと決まっている。だが、器に血筋が多少は関係あるとは言え、必ずしも黄金が宿る訳じゃない。派生した違う器が宿るものがほのとんだ。だからこの国では、たとえ分家の者であっても、黄金の器は宿れば本家の養子になれる。なのに…本家の娘である姉上は選ばれてしまった。
「凄いぞールナルー!流石吾の子だ。やはり、母に似ているソチ方が、優秀と言う吾の見立ては正しかったな。」
「本当に、おめでとうございます。エール様。」
こうして、選ばれざるものである。この俺様は…父からはもちろん、今まで構ってくれた使用人達ですら…俺様を見抜きもしなくなった。
「ねぇねぇ、遊んでよ〜」
「ルっルチル坊っちゃま。あ〜わたくしこれからお洗濯が…」
「わたくしも〜。」
使用人達は俺様から逃げて行く。
「ねぇねぇ、知ってるルチル坊っちゃまのこと」
「あ〜属性が宿らなかったですって」
「ゾンネ家の恥晒しよね〜。」
おまけに影口まで…ははぁ、笑えてくるぜ…それでも俺様は…努力した…必死で魔法の勉強して、剣術の勉強して、毎日頑張った。親の言う通り魔法騎士団にも入った。なのに…
「ルチル!これ、片付けといて」
「はい!わかりました姉上」
煽てられて、すっかり傲慢女王になりきったあの姉をみんな…
「君を…魔法騎士団団長に任命する。」
「ありがたき幸せ。」
俺の方が、魔法を上手く扱えるのに…
「ルチル!」
「はい!」
「これ捨てといて」
出されたは、馬鹿みたいに高いドレス
「ゴミ箱…直ぐそこですけど…」
「なに?わたくしに文句があると?」
「いえいえ、めっそうもない。姉上にそんな…」
甘やかされて育ちすっかり傲慢になった姉上を皆選ぶ。俺様はいつも…ずっと…一人…そんな心の折れそうな時。そこに現れたのが…アッシュだった。
「今日からメイドとして、使えさせていただきます。アッシュと申します。以後お見知り置きを」
最初は、他にごまんといる使用人の一人でしかなかった彼女。それが変わったのは…いつも落ち込んだり考えごとをする時に入る埃だらけの倉庫の中。部屋にいれば姉上に呼びつけられ、外に居れば影口を言われる。だから、一人になれてかつ、自分にふさわしい場所にいたかった。
そこには、なんでも金で解決しちまう。この城には不要なガラクタばかり。その中には、ミシンもあった。
「よし!できた。」
俺様は趣味でいつも姉上が、買った馬鹿高い服を、まともに来ちゃ〜いないのに捨てるから。その服を生地を、使ってミシンで何かを作るのが好きだった。女者の服だし、俺には着れないからな。そんなある時
「よーし!そろそろ冬だし久々マフラーでも〜」
扉の開く音
「失礼しま〜す。」
(ヤベ!)
ルチルは加速を使ってとっさに隠れたが
「え!」
とっさに隠れた先は、どこのパーツかもわからねー空飛ぶバイク(ライディングホース)の部品が入った段ボールの棚。
(しまった〜とっさの加速で、力入れすぎた〜。)
俺様の使った魔法のせいで、棚から部品が全部俺様の上に落ちてきた。
部屋の明かりをつけて、音の方へと近づいてくる彼女
「え〜と〜…ルチル様?」
彼女との初めて出会いで、俺様は、自分が落とした部品中で転んだところを見られた。
「いや…その…」
「大丈夫ですか?お怪我は…」
「いやいや…痛って〜。ないです。」
ルチルの頭に金属が落ちてくる。が、さりげなくその場を流そうとする。
「いや、今がっつり。頭に金属降ってきましたよね。」
「なんの〜ことかな?」
俺様は何事もなかったように、誇りを払って立ち上がった。
「うふふ、隠さないで、少し見せてください。手当しますから。」
それが、俺様とアッシュの出会いだった。最初はもう合うこともないだろ〜と思っていた。合うことがあったとして、いつも通り素通りされ、いつしか影口を言われる。それが普通だった。でも…
扉が開く
「ただいまー!って誰も返してくれないか…」
「お帰りなさい。」
「え…」
「ルチル様」
なぜか彼女だけは…
「はい!今出ます。」
ルチルは扉を開ける。
「ルチル様、お洋服をお持ちしました。」
「あ…ありがとう…」
「はい!どういたしたまして。」
なぜか、いつも…俺様を見てくれた。
「えーだから、この任務にあたっての作戦には」
ルチルが黄金の光花団本部で作戦会議中。扉をノックする音
「誰だー!作戦会議中だぞー!」
扉が開く
「申し訳ありません。ルチル様はいらっしゃいますか?」
「ルチル副団長に!何のようだ。」
「はい!お弁当をお忘れなったようなので届けに」
女は申し訳無さそうに言う
「何を言っている。お前使用人だろ。使える者の分際でー!騎士団の会議を邪魔するなど…」
「いいんだ…アッシュ、ありがとう。」
「どういたしまして。」
彼女はどんな時でも、笑顔で優しく、そして公平だった。家族は彼女と俺達の関係をよく思うはずもなく。いつしか、表立っては会えなくなった。
ルチルがミシンをやっていると
「またここにいらしてたんですね。」
そこは前にもきた誇りだらけの倉庫だった場所。アッシュが掃除したため、今は綺麗だ。
「やっぱり、あの時はこれをやってらしたんですね。」
「ま〜貴族の人間が、こんなことをしていてはいけないとは言われているだけど…ついね。」
「凄くいいと思います。」
「でも、男らしくないし…」
「そんなの関係ありません。男とか女とか、ルチル様はルチル様なんですから。」
アッシュは、唯一俺様の趣味を認めてくるた。
「ねー、アッシュ。」
「なんですか?ルチル様。」
「僕達は…もう合ってはならないのでは?父上や姉上にも、そう言われたでしょう。僕には、力が無いから…だから、僕なんかのとなりにいちゃ」
「違います。」
「え…」
アッシュはそれを否定し、ルチルの腕を握った。
「ルチル様は"なんか"じゃありません。お優しくて、努力家で、器用な方です。魔法だって、属性は宿らなかったかもしれません。でも、使用変化を多く使えるようにされて、剣術も体術、光術だって使っている。それは、あなたの努力あってこそでしょ。」
「…」
「魔法は、精神、器、肉体。器は完全な才能ですが、肉体や精神は違う。それを、鍛えたからあなた様は魔法騎士団となり、前線でしっかりと活かして戦って副団長までなった。これは凄いことなんですよ。才能がなんですか、一人ぐらい"努力の天才"がいたっていいでしょう。」
その言葉は、産まれて初めてかけられた。俺様を認めてくれた彼女に…ひかれていった。表立って合えなくても、ここに来て。一緒に過ごした。借金のこともここで聞いた。クリスマス夜も、彼女のピンクの髪にあうように、赤のマフラーを…見つからなければいい、そうすればずっと一緒にいられる…そのはずだった。
扉が開く
「アッシュー!今日は何を作…ろうか…」
そこにあったのは、身体中を切り裂かれた。アッシュの身体。
「アッシュー!…しっかりしろー!おい!アッシュー!」
ルチルはズタズタに全身をわざと痛ぶられたかのように切り刻まれたアッシュに駆け寄る。
(まだ息がある…この焼けたような傷は…でも、この近くに火器なんて…は!光術…)
光術とは、その名の通り光を操る魔法である。魔法の属性には、必ず光と闇の性質があり。その魔法の本質的な部分を修行によって扱えるようになるのが光術である。魔力を持つものなら誰でも使えるが、それには、相当な精神の鍛錬が必要なためこの世界でも使える者は数少ない。
「あんたが悪いのよ。」
ルチルの視線の先に現れたのは…
「姉上…」
「ダメって言ったのに…家の言いつけに反いた罰よ!国でもそうでしょう。反逆者は…殺される…常識ですわ。」
(この女は何言ってんだ…反逆者…。)
「ルチル様…」
「アッシュ!」
「ありがとう…楽しいひとときを…」
「ダメだ!そんなこと言わないで!僕は決して、君がいないとー!…君を…"君を愛しているだ!"」
そう言うとアッシュは…ルチルの唇にキスをした。
「わたくしも…愛しています。」
「最後まで馬鹿女ね。自分の立場すら考えられない…愚か者よ!」
その時、息を引き取りかけたアッシュの身体に異変が起きた。
「そうだよね…アッシュ…これからずっと…一緒いよう。」
アッシュはピンクの剣となった。




