第九話 狂人と騎士
「ふっ!ふふふハッハハ〜面白いそうでなくてはな〜ニヒツ・トリビライザ」
ウルシーは不敵に笑い、ニヒツはただそれを、戦意の目で睨でいた。
「戦う前に一つ聞きたい。あなたは何故盗賊をやっているんですか?あなたと戦っていて思いました。あなたがお金や女性目当てでこんなことをする様な人にはどうしても思えなんです」
それを聞くとウルシーは構えた姿勢を戻し、ニヒツを先程まであった。買って貰ったおもちゃで遊ぶ子供の様な目を閉じ瞑った。
「小生はうぬの言う通り金やおなごには興味は無い。それは"BAD殿"が目的。」
「BAD?盗賊のカシラの事ですか」
「さよう〜…小生が目的はただ一つ強者と刺す合うことただそれだけ」
「強者と刺し合う…」
「さー!戦おう!語り合おう!我が力の証明のために!"」
ウルシーはその閉じた瞼を強く開き、また先の目楽しそうな目に戻った。だが、それとは対象的にニヒツは黙っていた。髪で顔が隠れ、影を作ったその姿は、その雰囲気を一際不気味にした。
「ではあなたは…自分の力の証明のために…この村の人々の様に襲って奪って傷つけて来たんですか?…この村も…その一つだったと言うですか…」
「それは、盗賊なのだから当たり前であろ〜。それともうぬの知る盗賊は"人に優しく、無欲で、見返りを求めず人々を助ける"様な、盗賊だったのか?それなら期待を裏切って悪いな」
彼は半笑いで答えた。この時、ニヒツの脳裏に浮かんでいたのは村で聞いたゲッコの話しだった。突然村に現れた盗賊達は、村の人々を襲い、脅し、そして…
"「え…?」
木が端微塵に….爆発する…姿を…
「アッハッハ!アッハッハ!アッハッハ〜ハ〜。わかったか、ガキ。」
「へ?」
ピンクの剣はシロムに近ずき、腰を落としてこう告げた。
「お前の仲間も…こう〜なるんだよ〜クックク!アッハッハ!」"
嘲笑った。
「自分の…」
「ん?何か言ったか。聞こえ無い…な〜」
ウルシーはまたも素早く移動しニヒツに接近そのまま、蹴りをニヒツの顔に決めようと足を出すが…
「自分の強さの証明に!戦意の無い他人を…巻き込むなー!」
ウルシーは最初から寸止めする気だった。寸止めして、(「お喋りは終わりだ。続きをやろー」)といつものごとく言うつもりだった。
ニヒツの…こんな姿を見る前は…
ニヒツが怒りを表すとその影を落とす前髪が赤き瞳に合わせる様に、上に逆立つと同時にニヒツの全身を奇妙な魔力が覆った。
ニヒツを覆うそれはあの戦闘に酔えつを感じ、楽しみ、笑うウルシーすら戦慄させた。
ニヒツが普段秘めている魔力を例えるなら純白!無色!だが、それとは違う何かがそこには混じっていた。表すなら…闇より黒き、漆黒の魔力。あまりにも対象的な二つの魔力はウルシーを戦慄させるのには十分だった。
(なんだ…この禍々しい魔力。今までのニヒツ・トリビライザから感じた。純粋無口な穢れなき純白の魔力とはまるで違う。ここまで対象的な力が一つの身体に同居できるものなのか…だが…面白い!)
「さーあこい!ニヒ」
「はい…では遠慮なく」
「な…」
それはすでに…そこにいた
「ふっ!」
ニヒツはウルシーを空中蹴りで吹き飛ばし
「ぐおー!早い」
その直後攻撃を防ぐため構えた腕を両手で取って、ウルシーの胴体から顎にかけてガラ空きになり、そのまま顎にクリーンヒット
「ふぅ〜」
「かぁ…グ!」
ウルシーは、宙に挙げられると同期に一瞬白目をむいて意識を飛ばす。そのまま地面にドン!と大きな音を立てながら落下した。
「これが痛みです。彼らが味わった心の痛みに比べてれば…ちっぽけなものですが…」
「ふっフフフハッハ!ふっうぬが力の片鱗見させてもらったぞ。もう魔力を纏わずして良いのかな?身体強化を、行えば。そなたの実力はその程度では無いはず」
ウルシーは回転しながら立ち上がる。
「それは貴方も同様です。なぜならあなたもまだ魔力を出していないのだから」
ウルシーの顔に影が落ちる。
「そうか…小生とした事が失敬した。相手に本気を出せと言いながら…自身が本気で無いなど愚行であったな。では(スウ〜)…これで(!)どうかな」
(…)
膨張する肉体と共にそのスピード、攻撃、防御。全てがまた、力の次元一枚超えた。
「どうだ。このスピード、小生が先程言った時速60と言う速度はあくまで平気の話し、この小生はこの肉体を鍛え抜く事で、約その五倍。300と言う速度を実現した。どうだ?君が先にまで見せた速度では追いつけんぞ。さ〜魔力を使え、そして噂に聞いた520と言う速度…この小生に見せてみろ!」
「…」
ウルシーはそのとてつもない速度でニヒツの周りを高速で動き回りそうつげた直後ニヒツ認識と言う視界で伝えられる電気信号が脳へと届き次の回避行動を取ると言う動きが決して出来ないほどの近距離かつその超スピードで一般騎士ならば腰を抜かし動くのを忘れる程の勢いと殺気をはらんだ死の一撃をニヒツに放った。
「勝った…」
ニヒツは、その凄まじい速度の ウルシーの攻撃を受け止め。腕を掴む。
(どう言うことだ。まさかこの男…)
「無刃…卯月流…餅月」
その時その場の空気いや時間が静止した。その余った左手で放った一撃は軽く振りも弱いはずの一撃、ウルシーが放った助走ありきの速攻と比べれば限りなく弱い一撃だが…その一撃は、見た目より数十倍重かった。
「く…ぁ」
ウルシーは吹き飛ば無かった怪我もなかった。だが、その一撃の異常なまでの重さに驚愕していた。時速300と言う超人的な速度の一撃を避けるでも無く受け止めると言う行動、その上攻撃までもが正確に腹のちょうど腹筋があるであろー頑丈なはずの攻撃が届きにくいはずの場所へ入れた一撃が、まさか…こんなに重いなんて…
「殴る蹴るの繰り返し…ここまで単純な攻撃ならモンスター(怪物)でも容量を掴みますよ。こんな程度の力何ですか…あなたが村の人々を脅かしてまで手に入れ用としていた力は」
その言葉…普段のニヒツにな絶対に言わないであろう。相手を小馬鹿にする様なその言葉。それを聞いてウルシーは何かが吹っ切れたのかもう一度高速の間合いでニヒツに攻撃を仕掛けるが
(避けられた!)
ニヒツは ウルシーの攻撃を避け。
「多連ドロップ」
連続で殴る
「かぁ…」
痛みは突然やってくる
(速度では確実小生が優っている。だがこの男…単純な身体速度では無く、肉眼で…その目で…我が超近距離、時速300kの全方位攻撃を完全に見切っている。)
ニヒツはウルシーの防御の体制にある両手を痛みでこじ開け、そのまま全身を凄まじい速度の連撃にやられ、遅れて頬へのアッパーを受け土の天井の奥の奥の奥まで凄まじ勢いで吹き飛ばされ、その奥にある上の階の対兵器用に作られた。鉄板の地面に激突し、勢いよく落下し、その場にはウルシーの巨体が見えなくなる程のクレーターができた。
「ふぅ〜…」
(だめだ…この男には勝てない。本来ならこんな手段は使いたく無かったがやむ終えん)
うつ伏せに倒れたウルシーは魔力を使う前にニヒツに質問をした。
「君は私の目的を聞いたね〜…では、君の目的…"夢"はなんだ…」
「…僕の夢は…全ての人の笑顔と命を守り救える大英雄になる事です」
それを聞いたウルシーは「ふっ…」と鼻で笑った
「ん!」
「ニヒツ・トリビライザ!うぬは言ったな、"そんな理由で"…と。確かに力の証明の為に他人に危害を加えるのは"人道"から外れた行為かも知れん…が…、知っているか?人道と言うものは常に…強者が語るものなんだよ。」
その時ウルシーどんな手を使ったのか、ニヒツの背後にいた。ニヒツはそれに気づき回避をしようとしたが、行動が数手遅く。ウルシーの攻撃を背後からおもっきり受けた。
(こっこの感覚、鰭…か)
そうその攻撃は先程の打撃では無かった。まるで鋭い刃物に切られたような傷あとがニヒツの背中全体に抉れる様な形で残った。バシャン!とウルシーはまた地面の中へ…
「うぬは"オレ"が、背鰭や両腕の鰭のみで攻撃していると思っているかも知れんが違うぞ。先も言ったろ〜この"オレ"は…鮫と狼のハーフだと」
ウルシーは、地面の中にダイブする。
「ぐぅ…がはぁ…」
その後のウルシーの攻撃はニヒツが起き上がり、立ち上がる間も与えず…その鮫の巨大な鰭と狼の鋭い"爪"でニヒツの全身を地面に潜りながら地上に上がるたびその攻撃を繰り返した。
「うぁー!」
ニヒツは、地面から現れ回転しながら襲ってくる鋭い鰭や爪に攻撃される。
「ニヒツ・トリビライザ!うぬは言ったな"守る"と"救うと"!だがそれもまた強者の理論。うぬはそれらをまるで正義の様に語るがいな!いないな!それは…違うよニヒツ・トリビライザ。君の言う理論は全ての人を救うのでは無い!社会的強者のみを掬い上げる。言わば…独りよがりの正義だ!」
「独り…よがり」
「なぜ、"人道"が"守る"ことが"救う"事が強者の理論なのか…それはごく単純なこと!人道、理想、夢などと言うことを他人に語れるのは、全てそれを語るだけの環境があるからだ。弱者は…差別され、迫害され、罵られ、罵倒され、暴行を受けた真の弱者に!」
「ぐぅー!」
隙も与えずウルシーは連続で攻撃してくる。
「"他事を語る余裕などありはしないからだ"」
ウルシーは会話…いや、一方的に意見や自信の考えをニヒツに話し長ら、止まらず地面を潜っては出て潜って出てを先程のスピードよりもさらに早くその人外の速度で行っていた。
「…」
攻撃はまだ続く。
「毎日の自己の生活!」
「…」
ニヒツの身体中に抉る様に大きな傷あとが一つ二つと増えていく。
「他人からのいじめ」
「…」
「親からの…同情と悲観の眼差しを…」
「…」
「向けられた事があるか!」
「がぁ…はぁ…」
その一撃は、繰り返すごとに威力が増し、それと同時に乱雑な起動を描いていた。
「結局わからんのだよ。うぬの様な、魔法騎士団学校を飛び級卒業する様な…"恵まれた優等生"には…」
「めっぐ…まれた…」
その時遠のく意識の中でニヒツの頭をよぎったのは…あの記憶…
「おばあちゃん、嘘だよね。元気なんてしょ!おばあちゃん…おばあちゃんー!…ぐっ…ぅ」
ニヒツは炎の中に長時間いたせいか酸素不足で倒れてしまった。
「ニヒツー!大丈夫かぁ…息はしとる。こうしちゃおれん、早く炎から出ひんと…」
すると扉の奥から青い和服姿の男が現れニヒツを担いで外に出ようとしている。
「おばあ…ちゃん…」
ニヒツがそう言うとは横の瓦礫の中に倒れている老婆を見つけた和服男が近寄る。
「…右の胸、心臓の真横に瓦礫が刺さっとる。(…)やはりも〜手遅れか…この歳でこんな怪我しはったらもし生きとっても…助からんやろう。アリスはん…最後までこの子を守ったんやな〜…かんにんな…ニヒツ」
袴男は串刺しになったニヒツのおばあちゃんの名前を呼び言葉の詰りでニヒツを抱きかかえ走り出した。
数個の瓦礫と炎が袴とニヒツの道をはばむも
「ふ!」
(あれ?シーラ…さん?なんで…)
和服男は、4、5メートルはあるであろ〜大きな瓦礫を腰に下げた"刀"た呼ばれる。細くが切りなく細い刀身で切り裂いた。その刀身はあまりに細く、外観からは脆そうに見える頼りなき刀身は、世界の常識と言う期待を裏切った。
「どかんかい!瓦礫共」
その刀身は、太さも、重さも、大きさも。その全てが勝るはずの大きな瓦礫の山を切り裂く、いや、吹き飛ばした。
(…)
ニヒツはその光景を見たと同時に意識が途絶えた。
「うっうぅ…こっここは…どこ?」
「おはようさん、ニヒツ」
そこには火事の時駆けつけてくれたシーラと言う青い和服の男が背の無い椅子に座っていた。
「シーラ…さん。ここは」
「ここは病院どすわ、それより調子はどうかえ?」
「はい、少し頭が痛いですけど、大丈夫です。ぼくは…なぜここに…!」
その時流れたのは老婆の死の瞬間。ニヒツは思い出し、俯く。
「…おまんのおばあちゃんは、立派なひとですわ。最後まで、おまんを守り切った偉大なおかたどす。…ほんま守れんで、すまん!」
シーラは頭を深く下げてニヒツに詫びた。
「いえいえ、…おばあちゃんは僕を守って命を落とした…僕にもっと力があれば…シーラさん!お願いです。僕に強くなる方法を教えてください!」
ニヒツは病室のベットの上で身を乗り出し、シーラに懇願した。
「…それはあかん…」
「なんで…」
「ニヒツよ、少し問おても良いかの〜」
「はっはい?」
シーラの目に影が落ちその形相を隠した。その場はそれに合わせる様に凍りつく。
「おまんはなぜ刃を振るう。」
「刃?」
「おまんはなぜにわてに刃を振るう方法聞く」
「それは強くなるためで…」
「おまんはなぜ…強くなりとう」
「おばあちゃんや村の人達を守るためで…」
「おまんは誰にその刃を向ける!」
「誰って…」
その時顔を隠す様に覆った影は怒りと共にその姿を消し、彼の静かな怒りの形相はニヒツに重く向けられた。
「剣術…いな、武器術ちゅうわもとより"殺人"のすべ…おまんに刃を他人に向ける覚悟があるんか…ニヒツ」
「刃を…人に…」
シーラは手に持ったひょうたんを肩に担ぎ立ち上がった。そのままニヒツに背を向け最後にこう告げた。
「これは、おまんが優しい子やっちゅうことをしぃとうから言うさかい、きぃ悪くしとうなら謝る。だけん…こっから先の話は覚悟決めんとあかひんで、おまんがどう言う道を辿るにせぇ、刃の道は冥府より辛い地獄の道…その傷治りはってから来たいんやったら道場にくればええで。そこで、この回の答えは聞くさかい。それまでに考えときぃ…ほなさいなら」
ニヒツは病室のベットのなか一晩考えた。その覚悟の回答を…そして夜が明け。
「ニヒツくん〜朝ご飯ですよ〜ニヒツくん?まだ寝てるのかしら、まあ〜あんなことがあった次の日だものね。でも、朝ご飯はちゃんと食べないとね〜怪我が治りませんよ〜と…あれー!大変ですー先生!」
看護師さんは、病室のカーテンを開けると、そこにはすでにニヒツの姿は無い。その状況に慌てた看護師は、急いで先生を呼びに行く
「どうしたのかね?そんなに慌てて」
「ニヒツくんがニヒツくんが!いないんです」
「ん…なにー!いない!」
看護師が朝食を持って病室カーテンを開けるとその視線の先にニヒツの姿はなかった。慌ててそれを医者に伝える看護師をよそにニヒツは道場の中で、片手にひょうたんの酒を持っているシーラに覚悟の回を問われていた。
「(スゥ〜)かぁ〜…で、おまんの覚悟を聞かせてもらおか?」
「はい!…この世中には、今回の火事の様に理不尽に傷つき、涙を流す人がいる。そんな人達に寄り添い守り救える…」
"「最後におばあちゃんのお願いを聞いてくれるなら、どうか…ずっと…」"
「僕は、全ての人を守り救える"優しい剣"を目指します!」
ニヒツは火事で死ぬ間際に放ったおばあちゃんのセリフを思い出しながら、そう覚悟をシーラに伝えた。
「"優しい剣"…つまり"無殺の剣"をめざすーちゅーことか…」
「はい!…ダメ…ですか…」
ニヒツは不安の表情のなか、シーラの声を待った。
「くっ!かーかっかっか!」
「え?」
ニヒツの不安はそのシーラの予想外の"笑顔"に打ち消された。
「よーわかったは、おまんの覚悟!」
「本当ですか!じゃー!」
「ちょいと待てや、おまんはまず…」
「あー!いたニヒツくんやっぱりシーラさんのところにー!」
「え!看護師さん」
その背後に現れたのは看護師と
「いかんぞニヒツくん、安静にしないと」
病院の先生
「かーかっかっか!まずはお勤め果たしてきぃー、話しはそないからでも遅くはあらへんやろ。」
「え?でも」
「心配しぃなやニヒツ、おまんの覚悟は聞いた。怪我が治るまで、まぁとってやるさかい、そないしてからまたおいでや。」
「(ふん")はぁい…」
ニヒツは鼻水を啜り嬉し涙を流しながら、その場を後にした。
それから二日後
「シーラさ〜ん」
「おーきよったか、怪我の方は大丈夫なんか。」
「はい!完全に治りました。て言っても、シーラさんやおばあちゃんのおかげで、元々怪我は少なかったですけど」
「まぁ〜元気なんやったらえぇわ!さっわての訓練は厳しいでぇ覚悟は!」
「出来てます!」
時は現在に
「これで…とどめだ!…インパクト(衝撃)」
ウルシーが地面を泳ぎ、撹乱し、全身で出せる最大限の力を振り絞った。時速300k、サメの鰭と狼の爪を利用し、魔力で強化までした。正真正銘、彼が"操れる"だけの全て力で出した一撃は…
ニヒツは、ウルシーの拳を掴む。
「あなたは言いましたね。僕が恵まれていると。」
ニヒツに捕まり。
「しま…」
「確かに僕は環境にめぐばれて育ったんだと思います。優しいおばあちゃんに強い師匠。そんな僕が、一族に、家族に迫害を受けたあなた方を咎める資格は無いのかもしれない。でも…それは他人を傷つけて良い理由には…ならない!」
純白の魔力を、まとった凄まじいニヒツの力に…
打ち消された。
「(ニヒ)…ニヒツー!」
ウルシーの凄まじい攻撃を受け止める。
「うぉ」
「オー!」
「…え?」
ウルシー充血仕切った獣の目で、ニヒツの顔面を、掴み。一瞬のうちに、ハスキーと相手の男をよそ目に、凄まじい威力とスピードで、木箱どころか核爆弾クラスの超魔導兵器までを防ぐはずのクレーターを凹ませながら数千発の拳をニヒツに浴びせる。
だがニヒツも負けじと全攻撃を、受け流す。
「うぬの認識はあまい。この世界で現在五大国のトップ立つ"英雄"と祭り上げられた奴らは、かつて総人口70億の七割を絶滅させた。あの最悪の戦争の立役者達…つまりはただの人殺しだろう。それを憧れ貴様らは騎士などと言う職に憧れたのだろう。それならば貴様はオレと同じ…」
「違う!」
ニヒツはウルシーを殴る
「ぐ…」
ニヒツの入れた足蹴が、ウルシーの拳を止め
「多くの騎士もかつての英雄も!」
腹パン一発!身体ごと吹き飛ばされたウルシー。
「ぅは!」
「その真には!国の人々と笑顔を守り、豊かにすると言う目的があった。」
ニヒツは加速で速度を上げ拳で攻撃する。
「それはただの理想だー!(ジジジジー!)その理想が…(ドン!)うぅ…どれだけのものを犠牲にしたか!」
ウルシーはなんとか、爪を地面に食い込ませ、体制を立て直し、ニヒツから飛んできた拳を拳で返す。
「うぅ…」
ニヒツはウルシーの攻撃を避け拳を入れる
「それでも…彼らは明日を信じて戦い続けた(ドン!)あなたのように強さの証明のためだけに戦う者は誰一人としていなかった!(ドカン!)」
ニヒツは、ウルシーを強く殴りつける。
ウルシーはまたも地面に潜り裏をとって鰭と爪を強化し攻撃する。
「ウルシーインパクト(鮫狼衝撃)」
(うぬは気づいているかな我魔法の性質を)
彼が潜ったその場所はなぜかぬかるみニヒツは大差を崩す。
「…」
「これで正真正銘おしまいだー!」
「だから僕は何度でも言う!…強さの証明に」
(バカが、そんな不安定な足場での、一撃など…)
「戦意の無い他人を…巻き込むなー!」
その瞬間ニヒツはぬかるんだ地面をもろともせずその拳はとてつもない
「ぐぅー…」
「うぉー!」
「ぐぅー!…(ドン!)がはぁ…」
その頬を抉る様に、入り。そのままウルシーは空中に投げ飛ばされ地べたへ倒れた。
「はぁはぁ…(ドサ)あなたの使う魔法"泥魔法"ですよね。獣人は土を海翼族は…水魔法を得意としますから、その複合魔法である泥魔法であることはなんとなく察していました。…ウルシーさんあなたは強い…だけどあなたの理想のその先に…明日はありますか…?」
(明…た)
"「ルーシャス!おーい。ほれ、これやるよ。」
ウルシーの薄れる意識のなか浮かんだ海翼族の国にして、ウルシーの故郷リール貴族国の光景。そこに誰かの名を呼ぶぼろぼろの服を着た、貧相でこの魚人の国にはふさわしくない狼系獣人の青年が、ルーシャスと呼ばれる少年に色紙を渡していた。
「なんだよこれ」
「オレさまのサイン!まえ行ったろオレさまはぜってぇ騎士団に入って英雄になる!そしたらそれ値打ちモンだぜ」
ルーシャスと呼ばれる少年と夢を語る青年の間には3歳と言う差はあったものの
「ぷ…オレら見たいな下民がか、しかもお前の魔力量で?」
「言ってろ言ってろオレさまはもう十(10歳)だからな明日の試験で一髪合格かまして、騎士団に速攻に入って、やるよ。そんで、魔法ができなくても、この強人な身体一つで英雄になって…育ちや魔力なんて関係ねーてことを世界に証明してやる。」
「せいぜい頑張れよ」
「んだよその態度ー!このー!」
軽口を言い合えるくらい仲が良かった。
その数日後、試験中のテロリスト集団の襲撃の際、皆を庇って青年が死んだこと。そして…そのテロリスト集団がテロリストを装った。国にの犬であり、下民でありながら優秀だった青年を、貴族の権威を守るため、殺した事を…知るまでは。
(明日…オレの"親友"の明日を奪ったのは…"この世界だ!")
その意識が途切れる間際に浮かんだ過去は、彼の殺意を掻き立て、その意識の覚醒と共に…彼の理性を
「ガァーーーー!」
「!?」
吹き飛ばした。




