第四百十一話 ???にて
とりあえず、完結!(続編も同時更新してますが)
それでは、どうぞ!
「イ・ル・トちゅあぁぁんっ!!」
「滅べ、変態!」
そう言って、隣に出したキャノン砲を発射すれば、変態は、着弾しながらも、またムクリと起き上がる。
「まぁあっ! ユミリアちゃんったら、イケズぅ」
現在、とある世界の神界に滞在する私達は、そろそろ元の世界へ帰ろうとしていた。そして、見送りに来た変態へと、今度はマシンガンを構えてみせる。
「姉様、そのような輩に構う必要などありません。サクッと串刺しにして、煮え油の中にでも投入しておきましょう」
「ちょっ、ルクレチアちゃんまで、酷いわぁ。ワタシ、これでも創世神なのよぉ?」
目の前の創世神を名乗るゲテモノ……失礼、男神は、一応、その唇に紅を塗っていること以外はイケメンの括りに入っていた。真っ赤な荒々しい印象を受ける尖った短髪に、引き込まれそうになる深い紫の瞳。スマートながらも、鍛え抜かれた体の持ち主である彼は、実際のところ……本当に、残念ではあるが、確かに、この世界の創世神だった。
「ユミリア、ルクレチア、とりあえず、その神のことはどうでも良いから、さっさと帰ろう」
「あぁんっ、イルトちゃんまで、冷たいわぁっ」
シクシクと嘘泣きをする彼を放置して、私は、イルト様に言われた通り、早く帰るための準備を進める。
この世界に降りて数十年。あちらの世界ではそれほどの月日は流れていないだろうが、それでも、何年かは経過しているだろうことも予想できる。あちらに残してきたメンバーは、きっと、待っていてくれているだろう。
「……これで大丈夫かな?」
「うん」
「そういえば、フィオナはどこです?」
姿形は、この世界に来たばかりの頃から少し成長したところで止まっている。私達は神なのだから、外見年齢は自在に操れるのだ。だから、私達はその外見年齢を少し下げて、一応、あの世界を離れて二年くらいが経過した状態にする。ついでに、この世界ではゆったりとした衣服が主流だったが、今回は帰るからということで、元の世界に適した服装へと戻した。
町娘風のワンピースを纏う私とルクレチア。同じく町人風のラフな格好をしたイルト様。そうして、いざ、戻ろうという時になって、ルクレチアがそう質問する。
「さっきまでそこに居たはずだけど……?」
フィオナというのは、黒目黒髪に、黒猫の耳と尻尾を持つ私達の愛しい娘だ。とはいえ、こちらの世界でそれなりの時間は流れているため、すでに十三歳だ。もちろん、神である私達の子供なので、彼女も神ではある。
「お母様ー。準備、できました!」
そんな声に振り返れば、イルト様曰く、私に良く似たフィオナは、とある神をガッチリと鎖で拘束して引きずってきていた。と、いうか、鎖が膨大過ぎて、その姿は完全に隠れてしまっている。
「あらぁ、やっぱり、フィオナちゃんは、ラルフが気に入っているのねぇ。良いわよっ、連れていきなさいな」
「……フィー、ラルフも連れていきたいの?」
「うん! 良いでしょう? お母様っ!」
そう言って、ハイライトの消えた瞳で確認を取るフィオナ。
(まぁ、気持ちは分かるし……)
「良いよ。それじゃあ、行こうか」
予定人数が一人増えたところで問題はない。ここの創世神も許可を出しているため、どんなにもがこうが、ラルフに拒否権はない。私達は、全員で鎖の間から漏れる悲痛な叫びを無視して、創世神様に次元の穴を開けてもらう。
「恋しくなったら、いつでも帰ってきていいわよんっ」
「お世話になりました」
不敵な笑みを浮かべる創世神様に、振り返ってそう告げると、私達は、元の世界へと戻るのだった。
……え?
この世界での、う腐腐なお話が読みたかった?
残念、このお話のカテゴリーは恋愛であって、ビーとエルではないので、それはないです(笑)
続編は、『悪役令嬢の神様ライフ』です。
よかったら、読んでみてくださいね。
それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。