台風の目の婚約者②
保存したはずが消えて、真っ青になりました( ̄▽ ̄;)
ふて腐れたエスティアとロウンの二人が食堂に通されると、そこには人類最強の母が重々しい雰囲気をたずさえて鎮座していた。
自然と二人の背は伸びる。
母は二人が挨拶をする暇を与えず、クワッと目を見開き言った。
「二人ともおイタが過ぎるぞ。
リシュルカに迷惑をかけるんじゃない。あんまり酷いと私の堪忍袋の緒が切れるぞ?吊るすぞ?
弁えられない場合はいたしかたがない。リシュルカを私の故郷に留学させよう。
現王の兄や先代の父君はリシュルカを大変可愛がっている。
もしかしたらそこで誰かと結婚になるかもしれない。
私はリシュルカが家に残るのならば相手は皇子でなくとも誰でも…とはいかないが、まぁ、別な者でも構わないのだぞ?
現時点では皇子が最良かと言うだけだ。
あまり調子に乗るな。」
「も、申し訳ありませんでしたっ!
以後気を付けますのでそれだけは…!!」
真っ青になって腰を90度に曲げ頭を下げるロウン。
母はそれを気にもとめず、エスティアに向き直った。
「エスティア、婚約破棄になって自由にでき嬉しいのは分かる。
分かるが、限度がある。
子どもは元気に走り回るモノだがな、この前のような屋根走り騒動を起こすようなトラブルは許さんぞ?
ロウン皇子と気が合うのは分かるが悪のりが過ぎるのであれば領地におられる義母上の元に送るからそのつもりでりろ。
もう叱られて終わりではないぞ。」
「ごっ、ごめんなさい!お母様っ、私心を入れ換えますわっ!!」
真っ青になり、半べそで謝るエスティア。
食堂は思い沈黙に包まれた。
人類最強の母が出す圧力と眼力は半端ない。
二人は生まれたての子馬のようにブルブルブルと震えている。
「…わかればよい。
あまり我が夫を困らせるなよ。」
圧力は霧散し、母に席につくよう促される。
時間としてはほんの一・二分であったが二人にとっては一時間にも二時間にも感じられた。
崩れ落ちるように椅子に座ったエスティアとロウンは、リシュルカと長男夫婦が食堂に来るまでピクリとも動けなかったのだった。
「二人とも調子が悪いのか?」
あまりにも静かな二人に朝食中長男クランツが声を掛ける。
「少し口頭で注意したんだ。私がな。」
黙って静かに首を振るだけの二人の代わりに母が答える。
「あぁ、それで。
でも良かったな、二人とも。口頭注意だけですんで。」
フッと笑って言われたクランツの言葉にエスティアとロウンは更なる恐怖を感じたのだった。
ガタガタゴトゴト…
馬車は女学院を目指し走る。
その中ではリシュルカがひざ枕をし、優しく髪を撫でていた。
「義理妹君、余と代わってくれ。」
ジト目でそんな二人を見つめるロウンに、姉のひざ枕を堪能し癒され中のエスティアはニッコリ微笑んで言った。
「駄目ですわ。
生かさず殺さず、それとなく邪魔をしつつも応援するとの初期目標を思い出しましたの。
適度に邪魔をしなくては私がお母様に叱られます。」
「そこをなんとか。」
「ふふ、ロウン様たら体は大きくなってもひざ枕をしてほしいだなんて、小さい頃みたいですわね。」
「リシュルカ…余はもっとふれあいを求めたいが為に言ってるのだぞ。
お昼寝の為にしてもらったあの頃と違うのだ。」
ふんわり笑って言うイシュルカにロウンはガッカリ項垂れたのだった。
滑り込み更新セーフ。




