エピローグ
「絶対許さない…
うっ、私の可愛いリシュルカが…」
今日は家族と屋敷の者でリシュルカを祝うはずだったが、思いもよらない乱入者により全てをぶち壊されてしまった。
しかも私以外は皆が知っていたとか、いじめだろうか。
「父上、大人気ない。」
「現実を見ろ、リシュルカのあの幸せそうな顔。」
「今まで散々邪魔をしたツケが回ってきたんでしょうに、嫌われなかっただけロウン様に感謝なさったら?」
「父上の敗因はリシュルカの気持ちを考慮に入れなかったからでしょう。
自業自得ですね。」
次男、妻、長女、長男の順に次々容赦ない言葉がかけられる。
心当たりがありすぎるだけに反論もできない。
妬ましいことこの上ないがリシュルカの隣に座る婚約者になりやがったロウン皇子のおかげで、愛娘は幸せそうに頬を染めて笑っている。
とてもとても可愛らしい。
「こうなったらリシュルカが三十歳になるまで結婚させないぞ!!!」
「旦那様、悪あがきはお止めください。
大奥様が襲撃してきますよ?血祭りにあげられますよ?
勿論、旦那様だけがですけれど。」
執事長の冷静なつっこみに私は歯軋りし、酒をあおったのだった。
私の母の襲撃など、肉体的にも、精神的にも無事で済むはずがない。
どいつもこいつも私の気持ちを汲んではくれない。
花嫁の父はいつだってナーバスで孤独なのだ。
「二年後を考えただけで涙でそうだ…
あぁでもリシュルカの花嫁姿どんなに可愛いだろう…
見たいけど見たくない…」
「そう落ち込むな。
まだリシュルカの次はエスティアの婚約者探しがある。
あれは家において良い娘でない。マジュリカのように外に出してこそ真価を発揮する。
リシュルカのように相応しい相手を見繕ってやるのだ。」
妻の慰めなのかよく分からない言葉と共に私の肩を叩いた。
考えただけで胸がつまる。
マジュリカ以上に難航しそうな相手探しとなりそうだ。
深く深く溜め息をついて私は顔を上げた。
私にはまだするべき事が沢山ある。
まずはそう、
今まさにリシュルカを口説きに口説きキスをしようとせまる第八皇子に鉄槌を下さねばならないだろう。
私はキリリとした表情で二人の間へと立ちはだかったのだった。
こうして、リシュルカは婚約者をもつ事になったのでした。
翌日から大変な騒ぎになるとは露知らず、ただただ幸せな誕生日は過ぎていったのでした。
とりあえずはめでたし、めでたし。




