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ありさは新人プログラマー  作者: AIでライブ配信する人


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2/18

第2話 「それ、普通じゃないから」

「ありさ、ちょっとこれ見てもらえる?」


朝のオフィス。


入社してまだ二週間のありさは、先輩の悠斗からノートパソコンを渡された。


「昨日の夜から、このプログラムだけ動かないんだよね」


「どれですか?」


ありさは椅子を少し近づけた。


画面には、長いコードが並んでいる。


「……あ」


ありさの目が止まった。


「分かりました」


「え?」


「ここです」


ありさが画面を指差す。


「この処理、条件が一個抜けてます」


「いや、まだコード全部見てないよね?」


「全部見なくても大丈夫です」


「……なんで?」


「ここで止まってるので」


悠斗は半信半疑でキーボードを操作した。


ありさが言った場所を修正する。


実行。


――動いた。


「……」


「直りましたね」


「…………」


「どうしました?」


「ありさ」


「はい?」


「今、何秒?」


「え?」


「パソコン渡してから」


ありさは少し考えた。


「……十二秒くらい?」


「八秒」


「そんなに早かったですか?」


「そこじゃない」


悠斗は頭を抱えた。


「普通、新人ってもっと悩むんだよ」


「そうなんですか?」


「そうなの」


「でも、原因分かったので」


「だから、その『分かったので』が怖いんだよ」


ありさは不思議そうに首を傾げた。


「変ですか?」


「変」


「……」


ありさは少し考えてから、


「じゃあ、もっと悩んだほうがいいですか?」


「そういう問題じゃない!」


隣の席で同期の美咲が吹き出した。


「ありさ、面白すぎる」


「そう?」


「うん。なんか、すごいのに残念」


「残念?」


「褒めてる」


「ならよかった」


ありさは嬉しそうに笑った。


そのとき、課長がやってきた。


「ありささん」


「はい」


「昨日お願いしたデータ集計、できてる?」


「はい」


「もう?」


「はい」


「……どれくらいかかった?」


「三分くらいです」


課長がパソコンを覗き込む。


「これ、全部?」


「はい。ついでに去年との比較と、曜日ごとの傾向も出してあります」


「ついでに?」


美咲が横から画面を覗く。


「え、グラフまである」


「見たほうが分かりやすいので」


「これ、昨日私が一時間かけて作った資料より分かりやすい……」


「そうなんだ」


ありさは悪気なく答えた。


美咲がじっとありさを見る。


「ねえ、ありさ」


「なに?」


「もしかして、めちゃくちゃ頭いい?」


ありさは少しだけ考えた。


「普通だと思うけど」


「その答え、絶対普通の人の答えじゃないよ」


「そうかな?」


「そうだよ」


そのとき、ありさのお腹が、


ぐううう。


と鳴った。


オフィスが一瞬静かになる。


「……お昼、まだだった」


美咲が笑う。


「そこは普通なんだ」


「お腹は計算できないから」


「どういう意味?」


ありさは真顔で答えた。


「空腹になる時間を計算して、先に食べればいいと思ってたんだけど」


「うん」


「今日、忘れた」


「めちゃくちゃ普通じゃん」


ありさは照れくさそうに笑った。


「えへへ」


その笑顔を見ながら、悠斗は思った。


仕事だけなら、とんでもなく優秀な新人だ。


でも――


たぶん本人には、その自覚がない。


「……まあ、いいか」


悠斗がそう呟いた瞬間。


ありさが振り向いた。


「先輩」


「ん?」


「午後の会議って、何時からですか?」


「二時」


「じゃあ一時五十分に出れば間に合いますね」


「そうだね」


「でもエレベーターが混むので、一時四十八分に出ます」


「……」


「先輩?」


悠斗はため息をついた。


「やっぱり普通じゃないわ」


「またですか?」


ありさは首を傾げた。


そして、今日も何も知らないまま、楽しそうに笑った。

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