第10話「動くけど、ちょっと気になります」
午後三時。
ありさは、昨日から作っていた機能のテストをしていた。
「……動いた」
画面を確認する。
入力したデータが正しく表示されている。
「よかった」
隣の美咲が振り返る。
「完成?」
「たぶん」
「たぶん?」
「動いてはいます」
「じゃあ、いいんじゃない?」
ありさは画面を見つめる。
「……でも」
「何?」
「ちょっと気になります」
ありさがコードをスクロールする。
「ここです」
「何が?」
「同じ処理を三回しています」
美咲は画面を見る。
「ほんとだ」
「今は問題ないです」
「じゃあいいんじゃない?」
「はい」
ありさは少し考える。
「でも、あとで変更するとき三か所直さないといけないです」
そこへ悠斗がやってきた。
「どうした?」
「動くんですけど、気になるところがあります」
ありさが説明する。
悠斗がコードを見る。
「……確かに」
「まとめたほうがいいですか?」
「うん。でも今日中じゃなくてもいいよ」
「分かりました」
ありさは少し考える。
「今やります」
「え?」
「今なら覚えてるので」
「まあ、それはそうだけど……」
ありさはコードを整理する。
数分後。
「できました」
悠斗が確認する。
「うん。こっちのほうが読みやすい」
「よかったです」
「ありさ、こういうところは早いよな」
「ありがとうございます」
ありさは嬉しそうに笑う。
すると悠斗が、
「でも、最初の頃よりコードの書き方変わってきたな」
「そうですか?」
「うん。前より読みやすい」
ありさは少し照れながら画面を見る。
「じゃあ、少しは成長してますか?」
「してるしてる」
「よかった」
ありさは満足そうに頷いた。
その直後。
「……あ」
「どうした?」
「このテスト、一本だけ失敗してます」
「え?」
悠斗と美咲が画面を見る。
ありさは少し考えて、
「たぶん、私が入力する値を間違えました」
「そこは普通に新人なんだな」
「?」
ありさは笑って、もう一度テストを始めた。




