プロローグ
街は明日から始まる祭りの前夜祭で賑わっている。
いつもは夜になると暗い街が今日は明るく輝いていて、
建物はきれいにライトアップされ、道にはたくさんの人々が行き交っている。
人に紛れて、人ならざるものも何体か見える。
それを上から眺めるようにビルの屋上で1人の少年と
全身真っ黒の服に白いマフラーを巻いている男が立っていた。
しかしその男は身長が2mほどもあり、顔には口や鼻はなく、
そこにあるのは大きな一つの目だけだった。
ひとつめの人外は少年に一つ聞いた。
「文はお祭りに混ざらないんですか?」
少年はゆっくりと答えた。
「うん。くるくるとここで待ち合わせをしてるからね…」
くるくるは屋上の少年、蔦岡文の友達、永仮理来のあだ名で、
髪が外にくるくるとパーマになっているため文からくるくると呼ばれている。
くるくるとはよく一緒に遊んでいて、今日も一緒に祭りに行くらしい。
「ねぇ、ひとつめ様?くるくるが来たらどこ行く?
ひとつめ様は口がないから食べ物よりは遊びに行く方がいいよね?」
「そうですね… 私は特に行きたいところはないのでお二人が行きたいところで良いんですけど…」
「いや、今日は『人外祭』の前夜祭、人外が主役の祭りなんだから、
ひとつめ様が行きたいところに行きたいんだよ。」
「ん〜… 行きたい場所…」
ひとつめの人外が少し悩んでいると、少年が聞いた。
「前から考えてたことがあるんだけど、人外って学校では軽く説明されるだけで、
詳しい歴史とかは説明されないんだけど、人外のひとつめ様なら何か知ってることってあるの?」
「人外について気になりますか?」
「まぁちょっとだけね」
「くるくるとの約束までまだ結構時間はありますし、寒くなってきたので、
建物に入ってから話しましょうか。」
建物の中は外と違って人の気配を全く感じず、完全な静寂が包み込んでいた。
少年はひとつめの人外に連れられて建物の一つ下の階に降り、一つの部屋の前についた。
「ここってなんの部屋?」
「見ればわかりますよ。」
ひとつめの人外が扉を開けるとそこにはたくさんの椅子が並べられていて、
その奥には小さなステージとスクリーンが降りていた。
「ここは今はもうほとんど使われていない劇場です。
昔はたくさんの人がこのステージを見にきていたのですがもっと設備が整っている
劇場がどんどんできて、使う必要がなくなったんでしょうね。」
少年とひとつめの人外は最前列の席に並んで座ると喋り出した。
「えっと… 人外についてでしたよね。話すと長くなるのですが…




