71話 彼女達は恋人の元へ
前回のあらすじ
サジタリウスは、シェダルを悪に仕立てケフェウスに仲間になるように話すが、ケフェウスはそれを拒否し、戦いの火蓋が切って落とされた。
サジタリウスの能力、『心臓を穿つ矢』によって生み出された矢は、星神教徒全員が使用でき、ケフェウス達に、心臓を狙われれば防御不可の攻撃が雨のように、振り注がれた。
ベラトリクスがその矢に撃たれそうになった時、彼女は突然姿を消したのだった。
「な、何が起こった!?」
オリオンが驚きの声を上げる。
驚いたのはオリオンだけではない。ケフェウスやタビト、騎士達どころか、サジタリウスまで、驚いていた。
「ふぅ。何とか間に合った。」
ケフェウスが声のする方。自分の後ろを確認すると、そこにはベラトリクスを抱えたアンドロメダがいた。
「メダ!!」
ケフェウスが、ベラトリクスを下すアンドロメダの元へと走る。
「無事だったんだな!良かった!ってことはスコルピオは?」
ケフェウスの言葉に、アンドロメダは笑顔を見せた。
「倒したよ!胸を貫いたから多分死んだと思う。」
その言葉を聞いてほくそ笑むサジタリウス。
しかし、その笑みに、ケフェウス達は気づかなかった。
「いやはや、スコルピオを倒したとは、お強い人だ。
しかし、油断をしていたらいけませんね。」
サジタリウスがそう言うと、『心臓を穿つ矢』をアンドロメダに向けて放つ。
アンドロメダは、矢に風の魔法をぶつけ、威力を殺そうとしたが、矢の勢いは止まらなかった。
ケフェウスが「避けろ!!」と叫び、アンドロメダが姿勢を低くすると、矢はアンドロメダの頭上を通り抜け、騎士達が入ってきたドアから、部屋を出て行った。
ケフェウスが、アンドロメダに説明をする。
「あいつの矢は、心臓に向かって飛んでいる限り、防ぐことはできないんだ!!」
そして、彼は『星神教徒』を見渡しながら、さらにつづけた。
「しかも、その矢をここにいる『星神教徒』全員が使ってくる。それで苦戦していたところなんだ!!」
ケフェウスの言葉を聞き、アンドロメダは、サジタリウスに向かって、矢を放つ。
その矢は風の魔法によって、急激に加速する。
「速い!!」
サジタリウスが、今までと違い、少し驚いた表情をし、右手を前に突き出した。
すると、彼の前に大きな土の壁が生成され、それが矢を防いだ。
「くっ!能力に頼りっきりで、防御が薄いってわけでもないようね。」
アンドロメダが、自分の不意打ちが失敗したことを悔しがる。
矢を打ち消したサジタリウスは、土の壁を消しながら、いつもの口調で話した。
「おやおや。困ってしまいましたねぇ。魔法が使えることは、もっと先まで隠しておきたかったのですが。」
そして彼は、アンドロメダの方を見る。
「いい腕ですね。矢を放ってから、魔法をかけるまでの時間の短さ。そして、あの強さ。貴方、いったい誰から魔法を教わりました?」
彼の質問に、アンドロメダは彼を睨みながら、「貴方達に教える理由がありません!」と返した。
それを聞いて、サジタリウスは大きく笑う。
「確かに!敵に教える筋合いはありませんよね!気になるところですが、いいでしょう。
お互い仲間が揃ったことですし、改めて話をしませんか?」
その言葉を聞いて、ケフェウスは「お前達と話すことは、もう無い!」と叫び、彼に向かって走り出そうとする。
すると、
「動かないで。動いたら斬るわ。」
ケフェウスの首の後ろに、冷たい手が触れた。
次回予告
ケフェウスに触れたのは、死んだはずのあの少女だった。
サジタリウスは、彼女が生きていた仕掛けを話し、再びケフェウス達に交渉を始めるのだった。
次回 72話 人の心はあまりに脆く。




