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第8話【最終話】 王国が滅ぶ日。

「エトワール王国、国王ナイゼル・エトワール。並びに第一王子クロフト・エトワール、第二王子ファラン・エトワール。以上三名を聖女暗殺未遂罪で処刑とする!」


 高らかと叫ぶ処刑人。


 エトワール王国王都、ラトー広場で三台の断頭台(ギロチン)に首と両手首を固定されているのは、僕の父上と二人の兄上だ。


 僕を殺そうとした十人の暗殺者は、国王の差し金である事を白状した。キリクの拷問で、いとも簡単にだ。まぁ、普通の人間に耐えられる拷問ではなかったけれど......内容は伏せておく。


 僕は革命を起こした。冒険者達を筆頭に、ほとんどの民衆が聖女ジャンヌを支持していた。ジャンヌを殺そうとした国王を殺せ。それが民衆の総意になるのに時間はかからなかった。


 聖女ジャンヌ、つまり僕の指揮により、S級冒険者シャーロットを主軸とした冒険者達の軍勢はあっという間に王国軍を破った。精鋭である聖騎士団も、最強と呼ばれた団長ワトソンが死んだ今となっては、僕たちの敵ではなかった。


「何か、言い残す事はありますか?」


 僕は三人に向かって微笑んだ。


「た、助けてくれ! 私は何も指示していない! ジャンヌを殺せと言ったのは、きっと息子達なんだ!」


「ふざけるなクソ親父! 全部あんたの差し金だろうが!」


「そうだぞ、いい加減罪を認めたらどうだ! ジャンヌ様、僕は無実です!」


 見苦しい、罪のなすりつけ合い。結局最後まで、母上への謝罪はなかった。


「そうですか......では、王国は今日をもって滅亡です。私の母、ジャネット・ダルクの予言通りにね」


 ジャンヌは第三王子ジャンと、父親違いの妹。そう言う設定にしてあった。


「助けてくれぇー!」


 王族達は叫ぶ。だが、もう後戻りは出来ない。するつもりもない。


 広場には大勢の人々が見物にやってきていた。僕の友人である冒険者たちや、幼馴染のシャーロットもいる。


「王国は悪魔の手によって滅ぶ。もちろん、私は悪魔などではありません。私たちは、誰もあなた方に手を下しません。ですがギロチンの刃は落ちるでしょう。悪魔の手によって」


 僕は側に控える「色欲の悪魔」キリクを見た。彼は頷いて宙を舞う。そしてギロチンの刃を、三つ同時に落とした。キリクの姿は、僕にしか見えない。


 ダンッ。ゴロリ。三人の首が同時に転がり、鮮血がドクドクと流れて桶に溜まっていった。


「見よ! 処刑人が手を下さずとも、悪魔によってギロチンの刃は落ちた! ここに我が母上の予言は果たされた! 名誉は挽回したのだ!」


 民衆から、大歓声が沸き起こる。


「私の兄、ジャンはエトワール王家を追放され、ジャン・ダルクと名を改めました。私は兄と共に、新たな王国を築きたい。皆さん、力を貸して下さいますか!」


 オオー! と雄叫びが上がる。


 この日が聖ダルク王国、建国の日。僕はジャンとして国王に即位し、シャーロットを王妃として迎えた。


 そして時々、妹ジャンヌとして暗躍する。悪魔キリクと共に、影から王国を守る為に。


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