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主夫耐性発動

ノアは病室のベッドで目を覚ます。

うたた寝をしていた女性はいなくなっていた。

テレビの画面で頭の上を確認するとHP40になっていた。

「おぉー、レベルアップしてるよ。」


テレビの前にメモ書きがあった。

サトウノアさんへ

ごめんなさい。

寝られた様なので一度帰ります。

改めて朝ご挨拶に来ます。


「ん?今何時だ?」

「七時前か…、病院だと御飯出るかなぁ!?」

コンコン、ドアがノック音の後に開く。

「起きられましたか?サトウノアさんでよろしかったでしょうか?」

看護師の女性が入ってくる。

「昨日の事故の後のことは覚えておられますか?」

「自転車にぶつかって、立てなくて、…病院来て、…ギプスつけられて、…寝ました。」

「……救急車で病院に来る途中で意識なくしたとか、CTの後に一瞬意識戻してすぐ意識なくしたとか、そういう細かいことは覚えてませんか?」

「細かいこと!?気にしないタイプなので、別にいいです。」

「……そういう意味ではないのですが、…先生の往診があるので、その時に聴かれると思います。」

「食事はできそうですか?」

「腕は動くので、食べさせてもらわなくても自分で食べれます。」

「……お腹は空いてますか?気持ち悪いとかないですか?」

「お腹は空いてます。お風呂入ってないから気持ちは悪いです。」

「……吐き気とか胸の所がムカムカするとかはないですか?」

「吐き気はないです。胸の所がムカムカは…昨日の女性のメモを見たので、心配させてないかモヤモヤします。」

「……食事はできそうですね。ひとまず朝御飯をお持ちしますね。」

「はい。」


看護師の思考

やっぱり外人さん?日本語は流暢だけど…。

こっちの言葉の理解が微妙なのは頭を打ってるから?この人と喋るとなぜか違う方向に行ってる?

どっかズレてるのになんか安心感がある!?


看護師さんが朝食を置いてくれる。

「ありがとう。」

ノアは看護師さんの目を見て言う。HP-1(残り39)

「看護師さんの手料理、あっさりした味付けが、朝食にピッタリで美味しいです。」

「えっ!?あっ、いや、私の手料理は濃いです。」

「手料理は恋…。なるほど、それは俺も食べてみたいです。」誤爆HP-1(残り38)

「…ん?…食べられているから問題はなさそうですね。」

「はい、ごちそうさまでした。」

看護師が朝食を片付ける。

「10時頃には往診がありますので、それまではゆっくりしててください。」

「あのー、今日は帰れるのですか?」

「MRIとかも必要になると思いますので、多分もう一泊はして頂くことになると思いますよ。ご家族には連絡してくださいね。」

「…家族はいないです。…もう一泊か、…まぁいっか。」

「誰か来てくれる人はいないのですか?」

「誰もいないです。でも看護師さんがいるからいいです。」

「えっ、…(なんでそうなるの…?)」

看護師は返答もせずに部屋を出ていく。


入れ替わりに自転車の女性が入ってくる。

「おはようございます。お体大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫。」

「よかったぁ…、ほんとうに……よか……った。」

女性は安心したのか泣き出す。

「泣かないで、いたって健康ですので。」

HP1回復(残り39)

ノアはベッドから降りて女性の頭を撫でる。主夫耐性発動

「はい、もう大丈夫!?」

女性は落ち着きを取り戻す、ノアは何が起きたか理解できない。

「ノアさんの手、なんかすごく落ち着きました。」主夫耐性発動

「ん!?あれ!?耳の奥でなんか聞こえた!」

もう一回頭を撫でる。HP-3(残り36)

「ん!?なんも聞こえない。」

女性は再び頭を撫でられたことでノアを意識する。

ノアは女性の上向きのなんとも言えない表情と目線に困惑する。HP-2(残り34)

「ノアさん、彼女いますか?」HP-5(残り29)

「えっ、いませんよ。」

「なら、怪我させた責任もあるので、身の周りのお世話をさせてください。」

「身の周りのお世話……、えー!?」HP-30(残り0)

………プツン。


ノアはベッドに倒れ込む。

女性はなぜ倒れたか理解できない、意識の戻らないノアを見て看護師を呼びに行く。


ノアは思考の奥にいた。

暗闇の中で光る人と向き合う。

光る人の言葉かわからないが空間全体に響いてくる。

「君はレベル4になり、HP40と主夫耐性を手に入れた。」

「主夫耐性って何ですか?」

「女性耐性と同じで自然と体が反応する。女性が弱った時に守ってあげようとする言葉や行動が主夫耐性だ。その時はHPに変動が起きない。」

「女性は君から家長のような安心感と距離感が生まれる。」

「距離感!?今、身の回りのお世話って…結婚!?」

「それは君が勝手に補完したようだが!?君のいつもの勘違いだよ。」

「なるほど、いつものですね。」

光の人は消え去り意識が切れる。


…目が覚めると病室内に医師と思われる男性と看護師と自転車の女性がいた。

男性がノアを見下ろす。

「サトウノアさん、大丈夫ですか?」

「君は大きなショックを受けた時に、意識をなくすような体質なのかな?」

「よくお分かりですね、特異体質みたいでして、女性にちょっと弱いみたいなんです。」

医師が看護師と自転車の女性を退室させる。

「これで大丈夫かな!?」

「特にその体質で困ったことはあるかね?」

「特に何も感じてませんよ、落ちると記憶が飛んじゃうみたいだけどへっちゃらです。」

「では昨日の意識喪失も脳の異常ではなく、それで起こったのかな?」

「そこをよく覚えてないもので、たぶんそうなんだろうなぁって感じです。」

「一応MRIの検査は受けてもらう、異常がなかったとしても経過観察は必要になる。」

「ずっと入院ってことですか?」

「定期的…そうだな1週間後と2週間後に問題なければ大丈夫だろうな。」

「えっ、2週間!?」

「MRIで問題なければ明日退院はできるよ。通院してくれればいい。」

「検査は男性看護師に対応してもらうが…、入院の方はあの女性が担当なんだ人不足で勘弁してほしい。付き添いの女性はどうする?」

「心配させたくないので、…メモに連絡先だけもらえれば、こっちから連絡するんですけど…。」

「連絡先だけもらえればいいんだな、後で看護師に言っておくよ。MRIの時間だからベッドで寝たまま運ぶよ。」

「ありがとうございます。」


ノアは検査に運ばれていく。

女性は寝ているノアに声をかけれず看護師の説明を受け帰っていく。

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