意思への変化
「ところでノアさんのスマホの待ち受けの方は?」
澪と紗也が飲み物に手を伸ばしたが止まる。
「晶さんです、綺麗に撮れていたので…。」
「ちょ…ちょっと見せてもらって良いですか?」
紗也がノアに向けて手を伸ばす。
ノアはスマホを紗也の手にのせる。
澪もスマホ画面に目を移すが全体が白っぽくはっきり見えない。
紗也は受け取ったスマホを凝視する。
「………、抜け駆けだ…。」
「どうしたの?」
「澪さん、これって…。」
紗也は澪にスマホ画面を向ける。
「…顔に加工はなさそうだけど…、ん…?」
「違いますよ!これが常に見れるって抜け駆けでしょ。」
「そっ…そうだね。」
「しかもほぼ白ってかなり狙ってますよね。」
「んー、私も仕事中だとほぼ白になるんだけど…。」
「…まぁ、そうですけど…、でもここに一人の写真はずっこいです。」
澪がノアの方に向きを変えて呼吸を整える。
「ノアさん、なんで晶さんの写真があるんですか?」
「晶さんのスマホと同じにしてもらいました。」
紗也が体をテーブルの上にのり出す。
「…ノアさん、晶さんが一番なんですか?」
「…!」
「…どうだったかなぁ…紗也さんも澪さんも美咲さんも一番だった気がするけど…。」
紗也が少し怯む。
「紗也ちゃん…真琴さんにはまだ知らないといけないことがあるから…ね。」
「…はい…そうですね。」
真琴は紗也が腰を下ろすのを不思議そうに見る。
「…どういう意味ですか?」
「ノアさん、真琴さんには説明するんですよね?」
「…はい…迷惑かけたくないので…、真琴さん聞いてもらえますか?」
「えっ、あっどうぞ。」
ノアが自分のHPとスキルについて話し出す。
真琴の表情は冷静に受け止めた顔をしている。
「…なんて言えば………何かの呪い?」
「…俺にもよくわかりません…なんか知らないうちになっちゃってました。」
「全部話したって…そういう意味だったんですね。」
「…はい。」
「さっき言ってた他の方たちもそれを知っている…と。」
「…はい。」
真琴の表情が少し曇る。
「気絶と記憶喪失…そこにお金…、私もシェアハウスをお勧めします。」
「!!!」
紗也と澪が真琴を凝視する。
「ないとは思うけど…今後悪意が芽生えてもおかしくない状況になります。」
澪が顔を下に向ける。
「確かに…下手したらもっと激しくも…。」
「ノアさんのサポートだけでは足りないので、保護にも着く人が必要です。」
紗也が真琴に体を向ける。
「…はい…でも…他の人に黙ってた方がいいのかなぁ?」
「…そこは…ノアさん次第っていうか…シェアハウスをどうするか…とか。」
「昨日ルールが必要って言ってたから、そこに入れちゃうでもいいのかなぁ。」
「ノアさんは他の方にお金の話をするつもりですか?」
「しない方が気まずくないですか?隠し事って苦手だし…。」
澪が何かを感じる。
「…保護に着く人も24時間ってことになると一人では無理だよ。」
「…そう…ですね…。」
「しかも、誰か一人がずっと一緒ってのも……。」
紗也が澪に向きを変える。
「えっ!?誰か一人…。」
「無理だって話だよ、みんな仕事も勉強もあるでしょ。」
「…うん。」
「みんなの休みを確認しないと、平日がね…。」
澪、紗也、真琴の顔が曇る。
「なんか…俺のことで悩ませてすいません。」
紗也が慌てる。
「…!?…ちがっ…違いますよ、ノアさんのことではなくて自分たちの意思です。」
澪がノアに少し近寄る。
「…そうそう、シェアハウスに私たちも一緒ってのが嬉しくて。」
真琴が笑顔になる。
「ノアさんの記憶喪失ってのは防ぎたいですね。」
「はい、そこが一番皆さんに迷惑かけちゃうので…。」
「ノアさんには毎日リスクでもあるんですよ。」
「…はい、でもレベルアップもしてるし…女性を知りたいとも思うし…。」
「目が合わせられなくても?」
「…目は…目は見れなくても、言葉は伝わります…。」
「ノアさんにとって澪さんや紗也さんは…なに?」
紗也が下を向き目をつぶる。
澪が真琴を凝視する。
「…友達…、…大事な存在です。」
紗也が口に手を当てると一筋の涙がこぼれ落ちる。
「みんな俺を気にかけてくれる大事な存在です。」
「あなたの意思はわかりましたが、物件が見つかるかは別ですよ。」
「はい、でも意思は変わりません。」
真琴の表情が和らぐ。
「はぁー、ちょっと力が抜けたぁー。」
「…?」
「だって女性を二人も連れてきてデートって言われるし、こっちはノアさんの秘密を持ってると思うと…。」
「私たちも真琴さんのこと知らなかったし、ちょっと構えちゃってました。」
紗也は下を向いたまま頷く。
「でもノアさんの体のことの方がもっと驚きましたよ。」
「それは…誰でも驚きます。」
「でもイケメンでお金持ってたら寄ってこない方がおかしいでしょ。」
「真琴さん…も?」
真琴の顔が真っ赤になる。
「俺ってイケメンなんですか?」
「…はい、…私にはそう見えます。…おっ…お金は関係ないですよ。」
紗也が顔をあげる。
「ノアさんは私から見てもイケメンです!」
「わ…私も…そう思います。」
「こんなボサボサ頭ですよ。」
紗也がノアの頭を見る。
「髪型は…それは昨日あのまま寝ちゃったから…。」
「ノアさん、気になるならこの後、髪切りに行きます?」
「デートって髪切るのも入るんですね。」
女性三人が固まる。
「………。」
「俺、なにか変なこと言いました?」
「…そんなことないよ。」
「じゃぁ、この後4人でノアさんの髪の毛切ってもらいに美容室行きますか?真琴さんは一日一緒で良いんですよね?」
「…はい、是非。」
「んー、私も整髪してもらおうかな?」
「それ私も考えてた、昨日カウンターで寝ちゃったからね。」
紗也と澪が楽しそうに笑う。
真琴が紗也と澪の顔を見て語気を強める。
「それなら私も!」
「みんなでデートですね。」
ノアが楽しそうに笑う。




