攻略モード
紗也の座っていた椅子が倒れ、店内に大きな音を響かせる。
紗也はテーブルに手をついてノアを見る。
「あーっ!」
カウンターに座っていた晶、美咲、彩香が椅子を反転させて紗也を見る。
澪は凛に立ち上がるよう促し、ノアを椅子に寝かせる。
玲奈は真帆の間に入り、両足を椅子にのせる。
右手で心拍数を確認する。
晶が歩みよる。
「落ちた?」
「はい!」
「玲奈さん、澪さん、それがHP0だよ。」
「さっきの話だと10分で目が覚めるんですよね?」
紗也が玲奈の慌てた顔を見る。
「そうです、けど…10分間の記憶も…。」
「…私のさっきの話はなかった事になるってこと?」
「座って丁度10分ぐらいなので…おそらく全部…。」
紗也が椅子を直して座る。
「なんで…、かなり厄介な人じゃない…。」
玲奈がノアの顔を見る。
晶が固まる真帆に確認する。
「真帆さん!どこでダメージ与えたかわかる?」
「…私が凛ちゃんが前かがみになったから何か見えた?って聞いたらブラって言って倒れた。」
「なるほど、真帆さんが誘発した形で自ら…。」
「えー、私なの?」
「最終決定打はそれですね。」
「凛ちゃんのブラは?」
「見えたんだと思いますよ。そこで『悪あがき』で1で耐えた後に自滅です。」
凛が自分の襟元を広げて下着を確認する。
「大丈夫、見せれるやつ。」
紗也が突っ込む。
「そこじゃないです。しかも覚えてないですから!」
蘭が座布団を持って来る。
「頭の下にいる?」
玲奈が手を出す。
「足の下に入れるのでこちらに下さい。」
「あら、足を上げる方がいいのね。」
「はい、失神したら血を頭に流す方が大事なんです。」
「なるほどね、次あったらそうするね。」
澪が晶を見る。
「この後どうすればいいんですか?」
「…放置するしかないんだよ。」
「回復も10分おきなんですよね?」
「そうだよ…音楽聞かせると2曲なら1ぐらいは回復できるよ。」
「もうみんな聴かせちゃいました。」
「蘭さんと玲奈さんと彩香ちゃんがまだじゃない?」
玲奈と蘭が晶を見る。
「私は…先にごめんなさいがやり直しに…。」
「それが10分ぐらいなら音楽とあわせて20分は稼げるから、HP3になれば帰せるよ。」
「やっぱりやり直し…か。」
「時間稼ぎだからあきらめて。」
晶が真帆を見る。
「真帆さん起きたノアさんの対応する?」
「…要は女をイメージさせない方で進めればいいんでしょ。」
「そうだよ。する?」
「彩香ちゃんは座らせずに曲だけ聞いて説明すればいけるんじゃない?」
「なるほど、それなら…凛ちゃんと蘭さんが交代でいけるかな。」
「私…邪魔…。」
凛が移動しようとする。その手を澪がつかむ。
「今はノアさんのことを考えて行動するしかないの、邪魔だなんて思ってないよ。」
凛は頷いた後、下を向いたまま真帆の横の席に戻る。
蘭がノアを見る。
「えー、私がノアちゃんの隣でいいのぉ!?」
晶が蘭を見る。
「だからノアさんは簡単じゃねーっての。」
「みんなより一歩前には出るかもしれないわよ。」
「やれるもんならやってみろ。」
紗也が晶を見る。
「二人はなんでそんなバチバチなんですか?」
「なんでかなぁ、晶さんが私には当たりが強いのよねぇ。」
「その悪気のなさだよ!」
「晶さん、彩香ちゃんの曲を聞きにいかなくていいの?」
「…聞いてくるよ、どうせあんたは『このままで』だろ。」
晶がカウンターの彩香の所へ行く。
玲奈と澪が元の席に戻る。
真帆がノアの足の下に置いていた座布団に手をかけ、玲奈を見る。
「これもう外していい?」
「はい、いいですよ。」
「急に起き上がらないよね?」
「そうですね…少し頭がボーっとしてるはずですから…。」
晶が戻ってきて真帆にスマホを見せる。
「彩香ちゃんの曲は『ハート』だそうです。」
「ありがとう、使わせてもらうね。」
「じゃぁ、私はカウンターに戻るね。」
蘭がノアの頭側に座り、立っている晶に手を伸ばす。
「晶さん、私にアイスコーヒー入れて。」
「…はいはい。」
晶がカウンターの中に向かう。
蘭がノアの顔を覗き込む。
「それにしてもイケメンねぇ、チューしていいかしら。」
紗也が下を向き、真帆、澪が蘭を見る。
澪が右手を伸ばし蘭の前をふさぐ。
「ダメです!」




