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第八話 オスカーの帰還(完)


オスカーの部隊が作戦に出て二か月、作戦を終えた。


この作戦は極秘の作戦だったため、事後国民には知らされたのだが、この10年ほどお金に困っていた貴族や商人を狙って、詐欺を働く集団が国内で活発に活動したため、詐欺集団の捜査と全滅のため、オスカーの部隊が作戦を行ったのだった。


そして、被害者には全額ではないものの受けた被害の投資資金が返されたのだった。


その被害者の中にはナディアの父も含まれていた。



詐欺集団の討伐が終わり、オスカー達の部隊が王都に戻ってくる。


帰還してくる日、ナディアはソワソワ。ミリアに言わせたら、こんな日ぐらい休んで出迎えればいいのに、真面目なナディアは仕事に出てきている。でも、ソワソワして仕事が手につかないようだった。


「ナディア、今日ぐらい休めばよかったのに……」


「でも、もともと仕事だったので……」


「いつもきちっとしているナディアなのに、今日はなんだか抜けてるわよ。恋する乙女って感じ?」


ミリアはクスクスとほほえましいものを見るようにナディアを見るのだった。


「そ、そんなことはありませんよ」


ナディアは咄嗟に顔を引き締める。


「怒っているんじゃあなくてほほえましいなぁって思ってるだけよ、私も恋人欲しいわ」


「こ、恋人……」


ナディアはミリアに言われてオスカーと恋人だと再認識するのだった。


恋人らしいことがないまま、オスカーが作戦のため王都から離れたため、改めて恋人だと考えると恥ずかしくなり、顔が赤くなってしまう。


その様子に、ミリアはくすっと笑う。


「さぁ、早く仕事を終わらせて、恋人を迎えに行ってきなさいよ。後ちょっと仕事頑張って」


「はい、ミリア先輩、頑張ります」


そう言って、ナディアは張り切って仕事を再開するのだった。





その日の夕方、ナディア達が仕事が終わる頃、オスカーの部隊が騎士団の詰所に帰還したのだった。


帰還して早々ジョンが侍女の控室までナディアを探しにやってきて、声をかけてきた。


「ナディアちゃん、仕事終わり? お疲れの所ごめんね。オスカーがナディアちゃんに会いたいらしいから、申し訳ないけれど、執務室まで来てもらえるかなぁ」


「いえ、私の方こそオスカー様にお会いしたいです」


ジョンはそう返事をしたナディアを連れ、執務室にやってきてドアをノックする。


「どうぞ」


誰が来たのかわかっているとばかりにオスカーの嬉しそうな声が聞こえる。ジョンが扉を開けると、オスカーが扉に向かって歩いてきていた。オスカーの目はナディアを捉えていた。


「ナディア、呼びつけて申し訳ない」


そう言って詫びるオスカーにナディアは首を横に振る。


「いえ、オスカー様にお会いしたかったです」


二人は近づき見つめあっている。


恋人とは言え、未婚で婚約をしていない二人を二人っきりにはできないため、ナディアを連れてきたジョンは部屋の隅の椅子に腰かける。


「二人っきりにできないから、俺がここに居る事をお忘れなく!!」


ナディアとオスカーは今ジョンが居る事に気付いたとばかりにジョンの方を向くのだった。


「ジョン、申し訳ない。ナディアしか見えていなかった」


普段なら周りに気を配るオスカーなのに、ナディアに会いた過ぎてジョンに気付いていなかったことに少しショックを受けつつ,オスカーはナディアを見つめたまま、ソファへ案内するのだった。そして、二人で横並びにソファーに腰を掛ける。


「オスカー様、おかえりなさいませ」


ナディアが嬉しそうにそう伝えるとオスカーは嬉しそうな顔をする。


「ただいま、ナディア。会いたかった」


オスカーはナディアに会いたい気持ちが積もり重なり、本人に会えた喜びで思わず抱きしめる。ぎゅっと抱きしめられたナディアは驚きつつもオスカーを抱きしめ返す。


「オスカー様、私も会いたかったです」


抱きしめたナディアが微笑みながらオスカーを見上げるとオスカーも自身の持つ獰猛で目つきの鋭い目を細め優しく微笑み返してくれるのだった。


二人の間には恋人特有の甘い空気が流れる。そのまま、二人は嬉しそうに見つめ合い続けるのだった。


end



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