普通に生まれて当たり前に育ち、極々平凡に日常を生きる。
日常を送る。
学校に通って学友たちと勉学に励むと書いて好き勝手な研究をしては馬鹿騒ぎに発展して叱られ、渡し屋の仕事をこなしてはたまに厄介ごとを持ち込んだり持ち込まれたりしたのをため息とともに処理したり歓声と共に突撃した。仕事終わりの打ち上げでは声をあげて笑い、時にはやるせない持ちを誤魔化すように俺もカレンも騒いだ。
その日常の合間合間に死後に向けてのやるべきことをやる。案の定副リーダーにはバレたが自身の特異体質に多少の覚えが有った為最悪の事態になりはしなかった。むしろその時のいざこざでリーダーと副リーダーが付き合いだしたなどの珍事が発生し、詳細は伏せたもののそちらも紅とカレンの時の様に最大に祝った。
リーダーと副リーダーの他にも10以内に入るS級をニ、三人"こちら側"に引き入れたり、出そうな釘を叩きのめしたりとオレの仕事をこなしていく。
独りで寂しさを理解しない様に彷徨い続けた日々は暇で退屈で無味無感想な日々だった。しかしやるべき事がある100年未満の時間は、やりたい事の為に生きる日々は充実している。得難い経験と沢山の出会いがあった。
騒がしくも楽しい仲間が居て、生涯の友が居る。厄介ごともあるがそれを往なして時には死にかけるも、愛しいヒトと共に生きる日常は幸せだ。
世界を蒔き戻そうとも母から普通に生まれ、両親に兄妹と共に当たり前に育てられ、統一前ならいざ知らず今であれば極々平凡と言える日常を生きた。そうしてこれからも生きていく。
その日々の切欠は、
「カレン」
「ん?」
彼女に出会えたあの日だ。
あの日、オレはあの世界に、彼女の心に迷い込んだ事を心から感謝する。だっておかげでオレは傍らにいる最愛に出会えたのだ。
だから今日も告げよう。
「火蓮」
「なに?紅」
呼びかける俺に火蓮は首を傾げ言葉を待っている。俺を見て、俺が話すのを待ってくれている。
誰にも見つけて貰えなかった。誰にも認識されなかった。オレを待っているのだ。
誰も存在を認識し肯定してくれなかったオレをその目にうつして名前を呼び側に居てくれる。離れていかないオレだけの寄る辺がオレを待っている。だから二人だけの時にだけ呼ぶとっておきの名前を口にして、
「紅」
「なぁに紅蓮」
一瞬目を見開いて驚いても直ぐに嬉しそうに笑って返してくれる愛しいヒトに今日も想いを伝える。
「好きだ。紅、愛してる」
「ありがとう。私も貴方が好きよ紅蓮、愛してるわ」
「ありがとう」
告げた想いに彼女は幸せそうに微笑んで返してくれる。そして彼女に返されるあたたかな言葉にオレは唯々幸福感を噛みしめた。
この幸福な日々を何年も何百年も何千年も続けよう。たった一人のオレの番、魂が擦り切れることも無い未来永劫を共に生きる愛しいヒト。
ケシテ逃ガサナイヨ。
オレの愛しい紅。
別に逃げなんだけどなぁ。いつ気付くかな?
でもそんなところも可愛くって愛しいよ私の愛しい紅蓮。
これにて本編完結!
長年有難うございました!!
後日談とか幕間とかはチョイチョイ上げていこうと思います。
基本的には各々の過去編とか外から見た主人公たちの様子とかです。
あと、所々修繕が入ったりするかもしれません。




