作戦会議?
カレンと出会った翌日、ダンジョンは特に危険ではないとカレンからの情報で避難所を早々に引き払って家に帰ってきた。
周りからは居るように言われたが避難所に居た所で何が変わる訳でもない。
家と避難所はそんなに離れてないしな、だったら住み慣れた家が良いしカレンやケロの事もあって全会一致で帰る事になった。
そうして家に帰って早々にさっそくダンジョンを攻略するために兄妹はリビングで顔を突き合わせる。アリアドネの糸方式が使えないのでもっと別の方法で攻略しないといけない。いくらカレンが帰りを保証してくれるとはいえ万が一もありうるし、自分一人でも出れる様にしておかねば。
「なあカレン」
「んむ?なに紅?」
「返事が可愛いなおい。じゃなくてカレンはどうやってダンジョンで正しい道を選んでたんだ?」
そうだなそれは気になる。アリアドネの糸方式の事も知ってたしひょっとしてカレンはそういう攻略に強いのか?
「力技」
「力技?」
「ん。術を発動するための力、魔力とか妖力とか神通力とか色々言われてるソレを周囲に薄く広く伸ばしてその跳ね返りで周囲を感知するの。そうすることで力の及ぶ範囲を地図として頭の中に組み立て続けられる。あとは地図通りに進んでいくだけ」
「それ難しい?」
「人によるかな。持ってる力の量とどれだけの範囲に力を伸ばせるかで情報量が変わるし、入ってくる情報を上手く頭で組み立てるのは大変だからうまいく折り合いをつけないと頭が茹る。その辺は慣れかセンスだね」
それは難しいというのではないだろうか?
やってる事はあれだ。ソナー。打ち出した力の反射情報をうまい具合に脳内処理すると・・・難しいぞ?せめて地図に組み立てるのは道具使った方が良いのでは?
「なるほど、ソナーか。・・・・・・・・・こうか?」
「うんそう。欲を言えばもっと薄く引き伸ばして、薄くて柔らかい布を広げる様にして空間を把握する」
「む。薄く薄く薄く・・・布を平げる様に・・・・・」
「おー上手上手」
出来てるよ。うちの弟天才なんじゃね?兄ちゃんとして鼻が高いわー。取りあえず自分用に力を打ち出す道具と帰ってきた情報を処理して映像化する道具を作ろう。
力の使い方は分かるから問題ないけど、俺紅みたいに使えそうにないし、多分量も少ないから力を増幅する装置も組み込もう。
え-とだから道具は力を流し込む→力が増幅する→増幅した力が周囲に広がる→戻ってきた力を回収する→回収した力が地図になる。って流れだな!
この道具は一体型が良いなぁ。取り敢えず箱を用意する。あんまデカいと使い辛いから両手に収まる大きさにしよう。
さっき食べたお菓子の箱でいいや、真ん中をべりって開けるタイプの箱と画面は黒いから黒い紙だな!あとはハサミとセロハンテープ、ペンが有れば出来るな!
「母さんハサミとセロハンテープとペンある?」
「あるわよ。はい」
「ありがと、あと黒い紙ある?」
「紙じゃなくてセロハン紙ならあるぞ」
「まじかよ父さん、なんでだ?まあ良いや、一枚ちょうだい」
「ほれ、ハサミで指切るなよ」
「はーい」
よし!準備バッチリ!黒い紙じゃなかったけど大丈夫だ!作りはじめるぞ!
まずは箱のべりってされた部分を切ります。邪魔だからな!
箱の中にペンで『増幅!!』と力強く書く。なんか中で力が強くなるイメージだ!
箱をふさぐようにセロハン紙をセロハンテープで貼り付ける。地図が出てくる画面だな!
外の表に親指を当てる場所を描く。スイッチ兼力を入れる場所だな!
箱の裏側にスピーカーを描く。強くなった力がここから出て行って広がるんだ!
スピーカーの隣にマイクも描く。戻ってきた力が入るところだな!
「完成!!」
「兄何作ったの?」
「地図!」
隣から覗いていた妹に一言そう言ってスイッチに触れて力を籠める。箱は小さく少し振動した後、スピーカー部分から不可視の力が出て行くのが分かった。まずまずだな、あとはちゃんと戻ってくるかだけど・・・
「お!戻ってきた!!」
「おー、兄すごい!」
「だろー!なんせ兄ちゃんだからな!」
「うん、兄だもんね」
「おう!」
一緒に覗き込んでいた妹にパチパチと拍手された悪くない。道具は狙った通り戻ってきた力をマイクで拾い画面に映像として地図を映し出した。
家の間取りからお向かいさんの花壇の花、道を二本挟んだところに友達発見!さらに向こうの道路脇で寝てるにゃんこの位置までばっちりだ!
「・・・朱ソレなに?」
「地図だ!」
「へー・・・・うわぁこんな雑なのにキロ先まで見えてるよ。職人泣かせ」
「ん?なんだ?」
「ううん何でもない。朱は魔道具作りの才能が有るんだねぇ」
「お?そうか?じゃあ将来なるか!」
色々作るの楽しいからな!しっかしもうちょい小さくなんないかなコレ、今は良いけどダンジョン内だと邪魔だよな?・・・・時計型とか?でも画面小さくなっちゃうしなぁ。
・・・まあいっか今度考えよう!
「藍も一人で出る方法考えるんだぞ?」
「ん。ケロちゃんが分かるから大丈夫」
「ダメだぞ!ケロ公とはぐれるかもしんないんだからちゃんと考えないと!」
「ケロちゃん藍の影から出てくるの」
「影?」
「うん。どこに居ても藍の影から出てこれるからはぐれないよ」
「そうなん?」
「うん」
「なら良いか!ケロ公藍を頼んだぞ!」
「わん!」
居間で元の大きさのまま父さんにひたすらモフられてたケロ公に声を掛けると藍の足元から顔を一つだけ出して返事をされた。成程確かに影から出れるらしい。
出て来た頭をわしゃわしゃと撫でてやると気持ちよさそうに目を細めて喉を鳴らす。猫何だか犬何だか分からん奴だな!
「影渡りが出来ると?上位種?え?上位の希少種なの?ハンターに狙われない?あ、ルールが有るから大丈夫か。首輪を付けるべきかなぁ」
藍の足元から顔だけ出しているケロ公を見てカレンがぶつぶつ言ってる。どうしたんだ?
「カレンちゃん?」
「うーんと、多分だけどケロはとっても珍しい子みたい」
「珍しい?」
「うん。だからもしかしたら藍たち以外のヒトが自分の物だって言ってくるかも」
「ケロちゃんは物じゃないよ?」
「うん。そうだね。でも馬鹿はそんな馬鹿を言うんだよ。だから馬鹿にも分かる様にケロに首輪を付けた方が良いかなって」
首輪、首に巻く輪っかで主にペットに所有の証として付ける物だよな?ケロ公は首太いし三つもあるけど何処に付けんのかな?
「くびわ、苦しくない?」
「市販品は小さいから苦しいかもしれないからスカーフとかにしようか、何なら作ってもいいかもね。要するに家族の印を付けるだけだから何でもいいんだよ」
「首三つあっけど何処に付けるんだ?」
「それぞれに着ければ?統一しても良いけど違うのでも良いし、三人で一つずつ贈れば?」
「「「おぉ!!ソレ良い!!」」」
足元のケロ公を撫でる藍といつの間にか隣に居た紅の二人と声がそろう。そうだよな折角首が三つあるんだから其々着ければ良いな!
あーでもない。こーでもない。と言い合いながらデザインを絵に描き起こして更には魔法とかあるし!っと言う事でこんな性能付けたいと横に書いた紙はカレンを経由してとある道具職人の手に渡り、数日後にはデザインそのままの首輪が届き、更にカレンの手で魔法付与をしてもらう事によって兄弟の考えたカッコいい首輪はこの世に誕生したのだった。
「ところで君たち作戦会議は?」
「「「あ」」」
と、トライアル&エラーで!!




