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行きたくなくても行かなきゃいけない やだ働かない

感想、レビュー、評価をいただきありがとうございます(*´∇`)

新たに1名様ブクマ登録いただきました!ありがとうございます!

皆様、今後ともどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m


前回のあらすじ。

図画工作のお時間

父兄参観の気分

宿屋の大将不思議と焦る

「みんな手伝ってくれてありがとー。お蔭で助かったよ。」


「ウチやニコのお服だから当然なの。むしろテティにお礼を言うの。」


「ん。ん。」


「そかそか。ありがとね、テティちゃん。お蔭様で荷運びがすんなり済んだよ。」


「テティは運んだりするのが得意なの、得意なの!」


自慢げに絶壁&ポッコリを張ってくるテティちゃん。一部の大きなお兄さん達には涎水モノだろう。ここが女性冒険者御用達(レディース)のお宿でよかったと言わざるを得ない。

いや、もしかしたら中には百合っ子もいるかもしれないから注意だけはしておかないければならないかもしれない。まったく、この世界は守るべき(モノ)が多すぎて困っちゃうわー。

労働に対する対価としての労いという大義名分を得たから取り敢えずテティちゃんの頭をなでなでしておくが、これは崇高にして感謝の行為だからまったく問題ないのである。

あ、結構髪質柔らかくて気持ちーな。


「テティちゃん髪の毛のお手入れって何か特別なことしてるの?確かここってお風呂ないよね?」


「え~っとね、お母さんがたまに洗ってくれるの、くれるの!わしゃわしゃしてもらうととっても気持ちいーの、気持ちいーの!お風呂はないけど、洗い場ならジャバジャバしてもいいってお父さんも言ってくれるの、言ってくれるの!」


「そうか~洗い場かぁ。そこなら確かに頭も身体も洗いやすくていいかもしれないなぁ。けど俺達が借りるわけにもいかないし、何か本格的に考えないとだなぁ~。」


この世界(ミロワールド)に来てから1回もお風呂入れてないし。最近じゃ冷めた水みたいな元お湯と言い張る液体を使って身体を拭いてるだけだから、そろそろ精神的にキツくなってきている。

お風呂がムリでも、せめて暖かいお湯をたっぷり使って(てっぺん)から足先(さきっぽ)までしっかりと洗いたい気分なのである。

それに、テトにゃん達の身体もたまにはしっかり洗わないとだもん。お風呂は習慣だから小さい時から当たり前に入る癖をつけてあげないとだ。じゃないと将来的に汚女となってしまう可能性だってある。それだけは避けなくては。


「そういうのはおいおい考えるとして、テティちゃんはそろそろお部屋に戻って寝ないといけない時間かな?階下(した)まで送っていくよ?」


「あっ!そういえばそうなの、そうなの!しっかり寝ないと朝に起きれないってお母さんにも言われてるんだった、言われてるんだった!」


はっとした表情をしながらお手てを広げてお口に当てる仕草をご披露いただいた。うん、やっぱりこれだな。若干コミカルで普通に可愛い。間違っても婆さんがやっていい仕草ではないことだけは確実だ。

みんなでテティちゃんを送りだしおやすみなさいの挨拶をする。こういう小さい所から作法を教えていくことは非常に大切だ。常識はしっかりお兄ちゃんが教えてあげるから!頑張るから!

決意を新たに寝支度を整える。テトにゃんはもうすっかり怪我が治ったみたいだし、ニコも体調に問題はないようだ。


(貧弱なのは俺だけかい。)


《ニコも酷い状態でしたが、重症度の程度で言えばマスターがダントツです。》


(自爆(やっちまった)前後の記憶が曖昧だからあんまりピンと来ないんだけどそうなのか。まぁ、腕が吹き飛んでるんだから当然と言えば当然か。

それにしても、難しいな。全然思った通りにならないし、物凄い集中力が必要になってキツいっす。カナデさん、フォローはよ。演算処理が追いつかないっす。)


《既に十分なフォローはしています、マスター。残りは自力で頑張ってください。》


(マジですか・・・。)


ここのところ毎夜繰り返し行っているスキル鍛錬の進捗が芳しくない。『魔力感知』と『気配知覚』を混ぜ込んだ状態で自分の魔力を制御しようと頑張ってはいるものの、未だに空気との境界線を作ることができていない。

濃度はかなり上げられるようになったが、ここから先は1つの壁がある気がする。それがスキル取得してるかどうかの差なのだろうか?


《明日は早くにギルドへ行く予定ですので、本日はこの辺にしておくのが良いでしょう。》


(そだな。だらだら長くやっても上達する気しないし。んむ~、でももう少しで何か掴めそうな気がするから最後に気合い入れてみていい?それ終わったら寝るからさ。)


《はい、マスター。それくらいでしたら問題ないでしょう。》


カナデさんの許可をいただいたので最後にちょっと気合いを入れてみよう。多分空想力(イメージ)が足りてないんじゃないかと思うんだよねー。魔法とか魔力とかってなんかそんな感じ(イメージ)じゃん?

だから、自分の境界とそれ以外の境界を強く意識できる、そんな妄想力(イメージ)を取り入れてみようと思うのだ。


(A・○・フィールド、全開!!)


・・・ダメか。多少境界がはっきりしてきた気がしたんだけど、こうじゃないのかな?もっとオーラ的なまとう的な感じのヤツじゃないとダメなのかもしれない。


(今日もできなかったかぁ~。最後にポーション飲むだけ飲んでもう寝るか!)


グイッと下級ポーションを飲み干すと、全身に力が漲ってくるのを感じる。これで怪我は全部治せたかな?顔と腕以外だけど・・・これで残りは5本だな。


(おやすみ、カナデ。)


《おやすみなさい、マスター。》



―――――――――――――――――――――――――――――――



翌日、朝の支度を整えてから食堂でのんびりご飯。変わり映えしないメニューかと思いきや、ニコのは食べやすいように工夫されていることに気付く。流石は大将。

サムズアップはこっちでも似たような意味合いのようなので大将へ向かって思うが(まま)に送ってみる。ぐっ、グッ、グゥ!怪訝な目線が返ってきた。おかしいな?

自称看板娘(おばちゃん)からお昼セットを受け取りいざギルドへ!テトにゃんとニコと連れ立って歩く。天気もいいから清々しいし気持ちがいい。

こんな日はピクニック行ったり動物園に行ったりしてみたくなるが、こっちの世界の動物園ってのほほんできるところなんだろうか?

働きたくない気持ちを押し殺してギルドに到着。まだそれなりに早い時間なのにそこそこ混みあっているギルドへ入る気を失う。ムサいおっさん臭が外にまで漏れ出ているような気さえする。瘴気か?

仕方がないので裏手に回り解体受付所へゴーゴー。昨日と同じ腕毛のおっさんがいた。軽く挨拶して割符を手渡す。

本来ならノリ的なアレな感じで「お金貰いにきたよ。働いたんだからお金ちょーだい?」とか気さくに声をかけたいところではあるが、ここは妹達がいる手前大人な感じでいかねばなるまい。教育者って大変っすね。


「例の取引の件で来た。約束通り金は用意してあるんだろうな?」


とっさに口をついて出た台詞の割に、そこそこ渋い大人な感じ(ハードボイルド感)が出てるに違いない。


「おいおい、物騒な取引現場みたいな雰囲気で言わないでくれや。健全真っ当な引き取りがギルド(うち)の売りだぜ?」


またもや台無しである。この腕毛とは気が合いそうにないな。話してる感じはいいんだけどどうにも感性に相違があるようだ。


「んも~、空気感とかもっと大事にしてよー?味気なくてつまらなかったら飽きちゃうじゃん?今回はいいけど、次からは気をつけてよね!」


「なんのことかよくわからねぇが、すまねえな?」


(空気が読めない腕毛はこれだから困るわー。)


《マスター、話しが進みませんので流していきましょう。》


相変わらずカナデさんはクールでマイペースなご様子だ。俺にできないことをサラッとやってのける。流石はカナデさん。


「とりま今回の査定額ってお幾らになったの?それなりにすると思うんだけど。」


「あぁ、今回預かった分は皮が2枚とも状態が良かった。傷らしい傷が見当たらなかったとこからみても、余程の手練れのやり口と見える。いったいどんな手練れを雇ったんだがしれねぇが、この辺りの奴じゃねぇのか?」


「ん?皮剥いだのならそこら辺の商会の筋肉奴隷2人組だったけど?あれってそんなに手際よかったの?」


「いやいや、解体の錬度はそこまでじゃねぇよ。まぁ、秘密にしたいっていうならそれでも構わねぇよ。冒険者の内情は伏せるってのは暗黙の了解だしな。」


「別に秘密にするようなことは何もないけど、細かい話しは面倒だからそれでいいよ。査定には関係ないんでしょ?」


「もちろんだ。ちなみに査定額は狼皮が1枚銀貨で30枚。<マーダージャック・ウルフ>の魔石が1つ銀貨5枚。それと、臨時の討伐報酬が出てたからそいつが1匹あたり銀貨15枚だな。」


「ちょうど銀貨100枚か。そこからいくらかギルドに引かれるんだっけ?」


「あ、あぁ、お嬢ちゃん計算がメチャクチャはえぇな。一応全体の2割はギルドの取り分として貰ってる。だから狼の分でのお嬢ちゃんの取り分は銀貨80枚だな。」


「ふむふむ。それが税金代わりになってるんだもんね?なら仕方ないかなー。」


「・・・普通なら銀貨20枚も減るってんで騒ぎ出す連中ばっかりだから査定額は教えてないんだが、やっぱりお嬢ちゃんは驚きやしねぇか。」


「え?だって、ちゃんとリーフさんに聞いてたし。ロクに説明聞かないで騒ぐ連中と一緒にしないでよ。心外だっつーの。それにしたって狼皮の買い取り価格高すぎない?普通そんなに高くなったりしないでしょ?」


「あぁ、それは当然だな。普通ならこんなに使える皮は納品されることがねぇ。切りつけた傷や魔法を使ったにしても焦げ跡とかがあるのが常だ。だから真品としての今回限りの買い取り価格だ。いつもこんなもんだとは思わねぇでくれ。」


「ふ~ん?<マーダージャック・ウルフ>に()えればになるけど、いつでもこんな感じにできるけどね。」


「にわかには信じらんねぇが、それはそれで買い取り価格が下がっていくぜ?今回のも捌く先があっての買い値だしな。」


「それもそうか。狼皮(こんなの)を丸ごと買い取るようなのは一部の好事家だけだろうし。」


「そういうことよ。それと、あとは<丸蜂(バルボル・ビー)>の分の査定か。こっちは魔石と討伐報酬が2匹で銀貨1枚。それと尾針が1つ大銅貨1枚の固定買い取りだがそれでいいか?」


「んむ~、となると、討伐セット報酬の方は1匹余って銀貨7枚と、尾針が大銅貨15枚分だから銀貨換算で3枚。ってことは占めて銀貨8枚が俺の取り分ってことでいいのかな?」


「そうなるな。ギルドの取り分まで計算するにしても、いやに(はえ)ぇがな。」


日本円にして実に170万円以上の稼ぎが急に降って湧いたような自体で現実感はまったくないな。だって俺の年代だとバイトしてるヤツがいたくらいで、年収とか数万から数十万くらいがせいぜいだし。

俺が普通に大学出て就職してたら初年収の半分より多いかもしれないもん。それが大して労せず手に入ってしまっていいのだろうか?それとも冒険者ってこんなもんなのかな?


(カナデさん相場わかる?)


《はい、マスター。狼皮は貴族向けに売られることになるでしょうから高額なのは納得です。また、討伐依頼が臨時で出ているのはもしかするとメタリカ家からかもしれません。そう考えると妥当な価格でしょう。

また、<丸蜂(バルボル・ビー)>に関しては腕毛が言っているように、査定含めて固定となっているようですので問題ないでしょう。》


流石はカナデさんペディア。頼もしすぎる有能さだ。もし、カナデさんがいなかったら多分色々とボったくられたりとかで大変な生活だっただろうと思う。

情報をしっかり持ってるからポーカーフェイスや駆け引きだってできるんだもの。今回は必要ないけど。


「これくらいの計算は普通だよ。査定もそれでいいし。ただ、そんな大量の硬貨をジャラジャラ持ってたくないからさ、できるだけまとめてもらってもいいかな?なんだかんだ言って重そうだし。」


「あぁ、そっちの方が助かるな。細かいのはいくらあっても足りんからな。棒銀が50枚相当、大銀貨が20枚相当、それと小銀貨が10枚相当で各1枚ずつ。最後に銀貨を8枚でいいか?」


「うん、それで問題ないね。すっきりして助かるよ。端数分の<丸蜂(バルボル・ビー)>は次回に持ち越しでいいのかな。それじゃそろそろかえr」


「あーーっ!ソウさん!ソウさん見つけました!ちょっとこっち来てください!お話しがありますので!!」


はい残念ー。リーフさんに見つかっちゃったよ。もうギルド(ここ)での用事は済んだから買い物に行きたかったのに。

あんまり話しが長くないならいいんだけど・・・。


「リーフさん、ちょっとお久?今日はこれから色々と予定が詰まってるんだけど、いまからじゃないとダメ?」


「ダ、ダメに決まってますよぅ!ソウさん見つけたら絶対に連れてくるようにってミレーさんにも言われてますし、それに色々とお話し聞かないとダメなんです!お願いですから来てください!!」


「ダメか・・・。あんまり長くないといいんだけど。」


「ソウ、怒られるようなことしたの?あの女の人すごく怖い顔してるの。」


「いや?別に何もしてないよ?リーフさんには倒したモンスターの魔石とか渡しただけだし。問題はないハズだよ。うん。」


「あ、そういや報告書はあげちまったぞ?お嬢ちゃんの名義で狼皮(コイツ)とか。」


「マジで?ゴブであれだけ五月蠅かったし、あんまり目立ちたくないんだけどなぁ。」


どうにか言い訳して逃げようと考えていたが、どうやらリーフさん達に更なる情報(ねんりょう)が投下されていたようだ。柔らかそうな身体(パーツ)を揺らしながら小走りでこっち来るし逃げられそうにないな。


「ちょっとお話しをさせていただきたいだけですので、着いてきてもらっていいですかっ?イヤって言われても連れて来いって言われてるんです!お願いします!」


「んむ~、正直面倒くさいけどリーフさんにはお世話になってるし、行ってあげてもいいよー。ただ、この娘達も一緒でいい?俺の妹なんで。」


「い、妹さん?ですか・・・?ええっと、妹さんにはちょっと見えないような気もしないではないですけど、もしダメって言ったらどうなります?」


「それはもちろん、断固として同行を拒否しますが?」


「で、では仕方ないですね。皆さんでこちらに来てください!ミレーさんがお待ちです!」


「ミレーさん怖いな。なるべく簡単に済ませてほしいなー。テト、ニコ、ちょっとギルドの会議室に寄る用事が出来ちゃったから一緒に来ておくれ。」


「わかったの。」「ん。」


先を行くリーフさんの後ろをゆっくりと着いていく。それと、2人には小さな声で注意を促しておくのも忘れない。


「ポーションのことと、この背嚢(リュック)のことは俺達だけの秘密だからね。聞かれても言っちゃダメだよ?」(ボソボソッ)


「昨日使ってた不思議な背嚢(リュック)のこともなの?」


「そう、これは特別製だから使ってるところを人に見られるのもちょっとダメなの。2人とも、秘密にしてくれるかな?」


「うん、だいじょーぶなの。」「んっ。へーき。」


とてもいいお返事をいただけたから多分大丈夫だな。思えば昨日<丸蜂(バルボル・ビー)>を回収した時に口止めしておくの忘れてたわー。しがみついてくるテトにゃん達が可愛すぎて注意力散漫になってたっぽい。気をつけないと。

しっかりと反省し、次回以降の教訓に活かすと決める。別にバレたからってすぐにどうこうなることじゃないけど、変な噂とか立つとやりにくいしこれくらいの注意はしておいて損はない。

作戦会議が終わったと思ったらもう会議室に着いてしまった。リーフさんの後ろ姿を堪能できる時間も最早これまで、か。(しょぼんぬ)


「先輩!ソウさんをお連れしました!」


「リーフ!アンタにしては上出来よ!他の人たちにはなるべく注目されないように連れてきたんでしょうね?」


「はい!それはもちr」「めっちゃでっかい声で呼ばれてこっち来たから、注目度急上昇してるよ?」


「それホントに?!ちょっとリーフ!あれほど慎重に呼びなさいって言ったでしょう!?」


「い、いえ!だってソウさんが帰っちゃいそうだったから仕方なく、仕方なくだったんです!ごめんなさい!」


なんだか職場漫才のような見世物が始まってしまった。俺達はこれを眺めていればいいのだろうか?無為で不思議な時間だけが流れていく。


「ごめんなさい、ソウさん。呼びつけておいて見苦しいところを見せてしまって。」


「いや、それは別にいいからさ、今日のご用件ってのを伺ってもいいかな。時間もそれなりに押してるし?」


「そ、そうね。ごめんなさい。実は、先日提出して貰った<ピクシー・ゴブリン>と<ウォー・ピクシー・ゴブリン>なんだけど、他に情報って持ってないかって思って呼ばせてもらったの。」


「ゴブの?俺が知ってるのは話した分だけだけど、何かあったの?」


「えぇ、アナタの言っていたようにそれなりの規模の巣が移動している確率が高まったの。とある冒険者からの情報提供が元なんだけど、東の森の中はいま危険がいっぱいなんだそうよ。」


話しを聞くと、どうやらゴブの集団は思った以上に大きかったらしく、現在討伐隊が組まれているそうな。というのも、高ランク冒険者は東の砦の先にあるダンジョンにかかりきりなんだそうだ。

だから数対数でどうにかしようというのが本作戦の概要、というかもう全容だったりする。なんともお粗末な作戦である。


「まぁ、俺は知り合いとかいないから別にいいけど、大きな被害が出ないといいね?」


「なんでそんなに他人事なのよ!貴女もここのギルドの一員でしょう?参加要請が来てるハズよ!・・・来てるのよね?」


「いや?何も聞いてないけど?そもそも、ここのギルドは登録したばかりの新米Fランク冒険者にそんな危険なクエスト発注しちゃう感じなの?」


「そ、そういえばそうだったわ。貴女ランクの改定審査申請とか出していないものね・・・。」


「出してないよ。てかまだ登録して数日で出す人ってそんなにいるの?ランク上げ急いでないから別にまだいいんだけど。」


「登録してすぐに低ランクなんて不満だなんだと言ってくる人は沢山いたけど、貴女のようにランクアップをどうでもいいって言う人にはまだ会ったことがなかったわ・・・。」


どうやら俺がFランクだったことを忘れて棚に上げたままお使い(クエスト)させようとしていたらしい。何それちょっとヒドくない?危険な任務に俺みたいな駆け出しを連れて行こうとするなし。


「お話しってそれだけ?じゃあ、この間のゴブの魔石とか精算したいんだけどおk?」


「・・・えぇ、<ピクシー・ゴブリン>は1体につき大銅貨1枚の討伐報酬になるわ。それと、<ウォー・ピクシー・ゴブリン>は1体につき銀貨2枚。だから全部で」


「大銅貨12枚と、銀貨4枚。そこから手数料(ぜいきん)抜いて、銀貨5枚と銅貨12枚って感じかな?」


「え、えぇ。そうなるわね。」


「それくらいなら嵩張(かさば)らないしそのままでいいか。まぁ、討伐隊に参加する気はないけど何か協力できることがあればするかもねーってくらいでいいかな?いいよね?」


「えぇ、それでお願いするわ。もしランクを上げたくなったらすぐに声をかけてちょうだい。あなたならその時点でDランク・・・もしかしたらCランクにさえなれるかもしれないから。」


「あー、それもその内考えておくよ。あんま興味はないんだけどね。」


「と、ところでソウさん。先程から気になっていたんですけど、その、い、妹?さん?達って一体どういうご関係なんでしょうか?ちょっと気になっちゃいまして・・・。」


「どういうって、そのまま俺の妹達だけど?こっちの可愛い黒耳ちゃんがテトラリア。こっちの美幼女がニコ。どっちも可愛い俺の妹だよ。」


「そ、そうなんですか?身形(みなり)も整っていますし、ソウさんが大切にされているご様子なのがちょっと気にな」


「リーフ、先に挨拶でしょう?ごめんなさいね、うちのリーフは少し抜けてるの。私はミレー、このギルドの受付兼この子(リーフ)の教育担当みたいなことをしているわ。」


「すみません、ミレーさん!私は受付・登録担当のリーフです!あの、よろしくお願いします!」


「テトラリアなの。見ての通り獣人なの。」


「ニコはニコ。」


簡潔な返事で返す我が妹達。うん、全然話しが進まないし噛み合わないな。


「リーフさんが気になってることは色々あるだろうけど、とにかく2人は俺の妹なの。だから細かいことは気にしないでね?多分リーフさんが言おうとしてることって俺にとってはどうでもいいことだし。割とマジで。」


くだらないことを言い出しそうなリーフさんに釘をかるーく刺しておいて、この話しはもう終わらせよう。テトにゃんの黒耳のことをとやかく言ってきたらオコしちゃうもん。主に俺が。

残念ながらここのギルドで働く職員は地元や地元周辺出身が多いみたいだし、多分宗教観だったり価値観だったりが近しい人が多いのだろう。それはとても悲しいことだ。可愛いは正義だということにだけ気付ければ人生楽しく生きていけるのに。


「それから、俺がモンスター狩る度にこうやって呼び出すのはもうやめにしてね。ギルドに来るの面倒になるんだよ。ただでさえここの人たちは絡んでくる人多いしさ。あんまりヒドいと俺も怒るからね。プンプンですよ?」


「「は、はい!」」


返事だけはいい典型なのかな。不安でしかないお返事を頂戴した。うちの可愛い妹達を見習ってほしいものだ。


「さて、それじゃ用事も済んだことだしそろそろいこっか。今日は収入もあったからお買い物がいいなー。」


報酬のお金も貰ったし、あっちの用件とやらもムダに聞けたからもういいだろ。


(討伐隊とか勝手にやっててって感じですよ。)


《冒険者登録を邪魔された件を未だに根に持っているんですね、マスター。器が小さいです。》


(それもあるけど、なんかここのギルドの人達の雰囲気好きじゃないんだよ。人族最大の防壁って感じが全然しないもん。って言うほど器小さくなくない?そこそこの容量あると思うんだけど?!)


《マスターの器に関しては同意しかねますが、確かにここのギルドにいる冒険者達は些か気概が足りていませんね。ゴブ相手にマゴマゴしているのも減点対象です。》


(やっぱりカナデさんもそう思う?あれだけ森の中からモンスター来ない来ないってフリ情報があったのに、結局鉄板(お家)芸とばかりに飛び出してきてる異常事態(エマージェンシー)。なのに、なんで今更になって準備してるんだか。超謎い。

それに、ミレーさんのあの感じからしてみると残ってる冒険者だけじゃ安全に狩り切れないってことなんだろうね。やる気も度胸もなければ実力もない、か。)


《はい、マスター。余所(よそ)者の、それも恐らく女性だと思いこんだままのマスターの援護をアテにしないといけないような腑抜けしかこのギルドには残っていないようですね。》


(・・・さり気なくディスらないでよ。俺は・・・男だ。多分。)


最近まったく男扱いされないから自信がどんどんなくなっていくが、俺はちゃんと男なハズだ。男のシンボルも健在だし、思考も男のままだ。ちょっと父性が出ちゃうこともあるけども。

それに、余所者に対してあたりが強すぎる門兵(ダゴマス)のこともあってそもそもこの街の印象自体悪い状態だ。一体なんの為に、誰の為に戦えというのか。意味がわからない。

ギルドに寄るとイヤな気分(アンニュイ)な気持ちになるから、今後も極力ギルドへは寄らない方向でF・A(ファイナル・アンサー)だな。


お読みいただきありがとうございます。

強力なポーションを使わなくても、段階的に使えば一定以下の怪我なら治せたみたいですね。ただ、時間をかけても自然治癒しない怪我は残ってしまう仕様のようです。

ギルドの雰囲気はあんまりうまくまとめられなくて苦手ですが、必要だし大切だしで書いています。

ちゃんと伝わっているかが不安でしかないです。


本編22話の誤字を見つけたので修正しました。

他に誤字・脱字等々ございましたらご報告いただければ幸いです。


次回予告。

装備はしっかり、準備もしっかり

家族会議

リハビリ開始

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